疑惑〜確定診断編 >>>>

「まさか自分が」と誰もが思っている

発端は検診での再検査

人生初のMRI検査だ!

組織採って調べてみませんか?

またも結果は持ち越しなのか……

Y先生との出会い

もう一度エコーとMRIをやる

浸潤性小葉癌かも?

痛い痛い痛い針生検

確定診断の日

「いい癌でよかったね」

知識武装して恐怖に立ち向かう

手術日と術式の決定

形成外科を初受診

どんどん気持ちが滅入ってくる

先生におまかせいたします!


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組織採って調べてみませんか?

翌週になって、結果を聞きにS病院を受診した。
もちろん私は「大丈夫でした。癌ではなかったですよ」という言葉に迎えてもらうつもりだった。
ところが、診察室に入るとM先生はまたもモニタをにらみながら眉根を寄せている。
「え? もしかして……?」
「いやね、はっきり『癌です』という感じには写ってません」
「そうなんですか? よかった」
「うーん、でもねえ『癌ではないです』と言い切れる感じでもないんだよねぇ」
「えっ! それって、どういう……」
「うー…………ん」
M先生はK病院から届いた検査レポートにも目を落とす。
「このね……造影剤の入り方のグラフね、このカーブがちょっとね嫌な感じなんだよ……」
「……嫌な感じ?」
「なだらかなカーブでなくて、ところどころでグングンって上がってるでしょ。こういう入り方ってちょっと、ねぇ……」
「癌だとそういうカーブ描くんですか?」
「……」M先生は私に視線を合わせるとゆっくり頷いた。断言できる感じではなさそうだけど。

M先生はまたもしばらく考えていたが、
「ねえ、組織採って調べてみませんか? これは痛みを伴ってしまうのだけど」と言った。
癌でないことをはっきりさせるためにMRIを撮ったというのに、結局はっきりしなくて針を刺されてしまうのかあ。
2年前にしたのは細胞診。採血用のような細い注射針でちゅっと細胞を吸引するだけなので、チクッとする程度だったが、これからやる検査は太い針で組織を切り取って採取するので局所麻酔をかけて行うという。
組織診をする針は太さが何種類かある。一番細いものでもボールペンの芯くらいあるのだ。まして私は乳頭直下に疑わしいモノがある。そんな敏感な場所にこんなもの麻酔なしに刺されたらたまらない。麻酔の注射がまた痛いのだけどね……。

麻酔を打ったにもかかわらず、生検はとても痛かった。ソロソロと針を刺しこまれていくときも痛いし、バネの反動で組織を切り取る瞬間は「パチンッ」という音と振動も加味されて、痛みで涙目になる。
私が小さく悲鳴をあげるたびにM先生は「痛かったねえ、ごめんねえ」と言いながら、結局3回も針を刺した。出血が多いので5分ほど圧迫止血される。
「うーん、刺した感触は柔らかいんだけどなあ……癌じゃないのかもしれないなあ……でもなあ……どうなんだろうなあ……」
M先生は道具を片付けながら呟いている。
「癌だと硬いんですか?」
「いや、何がどうと説明できるわけじゃない、ちょっとした感じなんだけどね」
だけど、場数を踏んだ人ならではのわずかな感触って往々にして正しかったりするもんだ。と、やっぱりついつい楽観的な要素にすがってしまう。
うん、私は癌なんかじゃない。きっと大丈夫。麻酔が切れて本格的に痛み始めた乳房を押さえながら何度も自分に言い聞かせて病院を後にし、その足で美容院に行くことにした。気分転換になって不安も払拭されるかもしれない。
その日はずっと乳房の内側からズキズキと刺されるような痛みがあった。その後も数日間くらいは時折ツクンとした痛みが突き上げてきていた。

採った組織は外部の施設に回すので最低一週間かかるという。あーあ、6月になっちゃうなあ。6月はかなり仕事がタイトになってくるので5月中にケリつけておきたかったんだけど……。少しでも早くシロの結果が欲しい私は、二週間後の方が確実というM先生の言葉を押し切って翌週の診療予約を取った。結局、一週間では病理の結果は届かなかったようで、前日に予約を翌週にしてくれとの電話連絡が病院から入った。

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