疑惑〜確定診断編 >>>>

「まさか自分が」と誰もが思っている

発端は検診での再検査

人生初のMRI検査だ!

組織採って調べてみませんか?

またも結果は持ち越しなのか……

Y先生との出会い

もう一度エコーとMRIをやる

浸潤性小葉癌かも?

痛い痛い痛い針生検

確定診断の日

「いい癌でよかったね」

知識武装して恐怖に立ち向かう

手術日と術式の決定

形成外科を初受診

どんどん気持ちが滅入ってくる

先生におまかせいたします!


摘出手術・治療編 >>>>


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乳頭乳輪再建・経過観察編 >>>>


ついにサバイバー編 >>>>


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またも結果は持ち越しなのか……

6月9日、私は勇んでS病院の乳腺外来に赴いた。今日こそM先生にシロの判決をもらうのだ。呼ばれて診察室に入ると、M先生は検査結果らしき書類に目を通しているところだった。顔を上げて私に向けたその目は笑っていない。背筋が一瞬冷やりとして、ちょっとドキドキしながら先生の前の椅子に腰掛ける。
「結論から言うと……癌細胞は出ていませんでした」
自分の耳がおかしくなったか、理解力がおかしくなったか、しばし戸惑った。だってM先生の表情は「残念ながら癌細胞が出ました」と告げるにふさわしいものだったから。私の耳と頭は自分の聞きたいようにしかモノが聞けなくなってしまったのではないだろうか。いや、デスクの上の書類の先生の指差すあたりにはちゃんと「悪性の病変は確認できず」と書いてある。怒濤の勢いで安堵の気持ちがこみ上げてきた。うわー、やったー! やっぱり大丈夫だったじゃーん! どうして先生そんな浮かないお顔してるの??
「だって、先生、針刺した感触が柔らかいって仰ってましたものね? だから癌じゃなかったってことでしょ? ね、ね、そういうことですよね??」
とにかく癌ではない言質が取りたい私は、畳み掛けるようにM先生に詰め寄った。
「……うん。そういうことになるね……」
M先生の歯切れは悪い。
「まあねえ……悪性病変はないって出たらねえ……。『よかったですね』って言って、今回はおしまいにしちゃっていいんですけどね」
「じゃ、おしまいにしちゃいましょうよ」
明るく笑いながら言ってみたが、M先生は眉根を寄せたまま微かに口元を緩めただけで、しばらく考えていた。
「無理にとは勧めないのだけど」
MRI検査や針生検を提案した時と同じ前置きだ。
「セカンドオピニオン受けてみませんか? 正確にはセカンドじゃなくてデータを持って行っての診察ってことになるけれど」
「はあっ? セカンドオピニオンですか!?」それって患者側から希望するものじゃなかったっけ?
「どうしても気になるんだよ。でもね、申し訳ないけれど僕ではこれ以上の診断はつけられない」
「先生はこの検査結果に納得されてない……ということですか?」

ああ、終わると見せかけてまたも結果は持ち越しなのか……。「いよいよクライマックス!」とか「最終章へ!」と煽りながら最終回まで何回か引っぱる出来の悪い連ドラみたいだ。
M先生は引き出しからM病院の乳腺センターのパンフレットを1枚取り出して渡してくれた。そこには現在の主治医となるY先生の笑顔の写真が載っていた。その時はそんなこと想像だにしなかったが。だって、だって私は乳癌なんかであるはずないもの!

「僕が乳腺について師事を受けた大ベテランの先生なんだけど。この先生が大丈夫って言えば、そしたら絶対に今度こそ大丈夫だから」
「……」
「ここよりは絶対に信頼がおけるはずだから!」
病理レポートにはどこかの大学病院の判が押してあったが、M先生はその病院名の辺りを爪で何度か弾いて用紙を押しやった。
「……でも……私、今とっても仕事が立て込んでいて……」
頭が混乱しながらも、ヒトが病院に行くのを先延ばしにする常套句を呟く私。今ならわかる。検査が怖いのではない、病院が怖いのではない、癌だと言われてしまうことが本当は怖いのだ。そうやって多忙を隠れ蓑にする。

M先生が見当違いのプライドにこだわる医師だったら「僕には判断出来ない」などとは口が裂けても言わないだろう。「針を刺した感触が癌のようではなかった」というのも医師の経験値なら「とにかくどうしても気になる」というのも経験値なのだな、と思った。何よりM先生はこれだけ親身に私のことを心配してくれているし、患者に対して誠実であろうとしてくれている。それなら、M先生のために彼の勧めてくれるお医者さまの診察を受けてみよう。うん、きっと大丈夫。癌ではないというお墨付きをもらいに一回だけ行くんだ、今度こそこれで終わりだ。
「じゃ、じゃあ行ってみます。でもすぐというわけには……今とっても仕事が……」
往生際の悪い私が口の中でゴニョゴニョ言っていると
「ものすごく忙しい先生だから、あんまりすぐの予約はきっと取れないと思う。でも出来るだけ早く診てもらえるようにするからね」
M先生は私の目の前でM病院の乳腺センターに電話をかけて予約を取ってくれたが、新規の患者は最短でも12日後だった。でも、直接の紹介でなかったらもっとかかったかもしれないのだ。幸いなことにこれからしばらくは仕事が忙しくなる。没頭して、癌かもしれないなんて思いは頭から払拭させよう。

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