疑惑〜確定診断編 >>>>

「まさか自分が」と誰もが思っている

発端は検診での再検査

人生初のMRI検査だ!

組織採って調べてみませんか?

またも結果は持ち越しなのか……

Y先生との出会い

もう一度エコーとMRIをやる

浸潤性小葉癌かも?

痛い痛い痛い針生検

確定診断の日

「いい癌でよかったね」

知識武装して恐怖に立ち向かう

手術日と術式の決定

形成外科を初受診

どんどん気持ちが滅入ってくる

先生におまかせいたします!


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痛い痛い痛い針生検

15分ほど後、隣の診察室に呼ばれた。迎えてくれたのは長身の若い先生だった。診察室の照明は落としてあり、診察台の横にエコー装置が準備してあった。
「Y先生から確実に組織を採れって指令下ってるんで」若先生は爽やかに笑いながら言う。脱衣して診察台にあがった私は、覚悟も決まっていたが、ちょっと緊張もしていた。

エコーガイド下での組織診。まずはエコーで念入りに病変位置を確認される。
「採り損ねるわけにいかないから」若先生はプローブを何度も滑らす。私が首をねじってエコー画面を覗き込もうとしていると、「見る?」と言って画面を見える位置に向けてくれた。
「針は横から刺しますね」
いわゆる“横乳”部分から刺すということだ。私の怪しい影は乳頭直下にあるので、乳房の半径ぶんの距離──7〜8cmも針を刺し込まれるわけである。何故かと問うと、生検の傷や血溜まりなどが病巣周辺にあると手術する時に不都合だからとのこと。はっきり言われていないけれど、先生たちの中ではきっと悪性の確信があるんだ、組織を採るのは証拠固めみたいなものなんだ……地味にショックを受けた。
今日は一番太い針を使うようだ。若先生はまたも気さくに器具を見せてくれたが、まるで小型の電動ドライバーのようで、その先についた針はボールペンの芯より太い。ええええ、こんなモンをおっぱいにブッスリ刺すというの?

麻酔の注射が打たれた。エコー画面には細い針が入ってくる様子が写っている。乳房にチクッと鋭い痛みが走り、ピリピリした痛みが徐々に広がっていって痺れたように感覚が薄くなってきた。若先生が電動工具もどきの器具を取り上げる。さすがに太い針が刺し込まれるところは見たくなくてエコー画面からも自分の乳房からも目を逸らした。
若先生は画面に目をやり手元に目をやり、片手にエコーのプローブ、もう片手で慎重にそろそろと針を刺していたが
「やっぱり針が刺さってくるとちょっと痛いですね」私が何気なく言うと
「えっ!」と驚いて手を止めた。
「痛み……あるんですか?」
「はい。刺さってくるなあって感じはします。我慢出来なくはないけど」
「麻酔効いてないのかなあ? 刺すのは我慢出来ても切り取る瞬間は我慢出来ないでしょ。麻酔効きにくい体質?」
いったん針が抜かれた。
「歯医者さんくらいでしか麻酔されたことないですけど」
「歯科で使っているのと同じものなんだけどなあ……」
「前の針生検は『バシッ』って瞬間めちゃくちゃ痛かったです」
「そうかあ……痛いとつらいから追加しておきましょうか」

そういえば、歯の治療でも麻酔しても痛かったっけ。後日談だが、友人に尋ねたら麻酔されてれば施術中はこれっぽっちも痛まないよ、という話だった。私は麻酔って耐え難い痛みを和らげる程度にするもので、ちょっとくらい痛いのは仕方ないと思っていたのだ。なーんだ、効きが悪い体質だったんだ……親知らずの抜歯とか神経抜くのとか今まで我慢してきて損しちゃった。

2本めの麻酔注射が打たれ、私の右乳房には何の感覚もなくなった。なるほど、局所麻酔が効いた状態ってこんな感じなんだ。今度は針が刺し込まれる痛みはこれっぽちもなかったが、切り取る瞬間の「パチンッ」という音と強い衝撃は感じる。同時に針の穴からどろっとした血が流れ出て、脇の下から背中へとツツーッと生温かく伝う。すぐさまナースが拭き取ってくれるのだが、この流れ伝う感触はひどく気持ち悪い。痛みだけがないのだ。
「こんなふうなのが採れます」
若先生は3cmくらいのイトミミズのような組織をピンセットでつまみ上げて見せてくれた。この先生はいちいちいろいろ見せてくれる。誰にでもそうなんだろうか? それとも、私が怖がっていながらも実は好奇心が強いことを見抜かれているのだろうか。
うまく採れなかったりしたものもあるようで、結局、合計で7〜8回も刺された。麻酔を追加してもらったおかげで施術中に痛みはなかったが、長時間頭の上に腕をあげた姿勢がつらい。ようやく解放されると思ったら、その後10分間も圧迫して止血するという。目のくりっとした可愛いナースが、ガーゼとバスタオルを当て両腕でがっちり覆い被さるようにして押さえてくれている。姿勢もきついけど、胸がつぶれそう。息もしづらい。

その後は針穴の傷にテープを貼り、ガーゼを何枚か重ねてテープ留め、その上からさらしを何重にもぐるぐる巻き、最後にガムテープのようなものでしっかり固定された。両胸とも完全にぺったんこ。鎮痛剤が5回分処方され、お風呂と飲酒を禁じられてとりあえず今日のところは帰された。

翌日再び受診した。生検の傷が膿んだり出血したりしていないかのチェックなので、多忙なY先生ではなく若い女医さんが診てくれた。実は昨日は一晩中痛みに苦しんだのである。乳房の中から突き上げてくるズキズキした痛みは無論のことだが(これはもらった鎮痛剤で封じ込めた)、仰向け姿勢しかとれないので腰や首がつらかった。そのうえ、さらしを固定していたガムテープの端っこが背中で三角に折れていて、固くなった角でこすれた部分の皮膚が3cm四方にズル剥けてしまった。まったくとんでもないオマケつきである。このズル剥け痕は1年以上たってようやく消えた。ちなみに針穴傷に貼ったテープにもかぶれて水ぶくれになった。この痕も半年以上残っていた。

結果の出るのは一週間後だという。じたばたしても不安がっていても楽観視していても、なるようにしかならないのだ。

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