疑惑〜確定診断編 >>>>

「まさか自分が」と誰もが思っている

発端は検診での再検査

人生初のMRI検査だ!

組織採って調べてみませんか?

またも結果は持ち越しなのか……

Y先生との出会い

もう一度エコーとMRIをやる

浸潤性小葉癌かも?

痛い痛い痛い針生検

確定診断の日

「いい癌でよかったね」

知識武装して恐怖に立ち向かう

手術日と術式の決定

形成外科を初受診

どんどん気持ちが滅入ってくる

先生におまかせいたします!


摘出手術・治療編 >>>>


乳房再建編 >>>>


乳頭乳輪再建・経過観察編 >>>>


ついにサバイバー編 >>>>


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知識武装して恐怖に立ち向かう

確定診断から後、私はさらに乳癌関連の文献を読みまくった。組織診の病理結果が出て、Y先生から説明を受け、手術方法の提示などもされたため、新しい検索ワードがたくさん増えたのだ。もともと活字中毒気味で読書量は豊富な私だが、東日本大震災からの4〜5ヵ月でいったいどれほどの文字数を読んだことだろう。地震のこと、原発のこと、放射性物質のこと、それから癌のこと。どれもみんな生命を脅かす恐怖であり、私の不得手な“理科”の分野のことであった。

震災後、私は得体の知れない恐怖に対し闇雲に怯えないようにするために、とにかく知識武装しようとした。目隠しをしてボックスに手を入れて中身を当てさせるゲームがあるが、正体のわからないものに対する怖さは何十倍にも増幅する。怖いものは怖いのだけど、きちんと理解して決して侮らず正しく怖がりたい、そう考えた。無闇に脅かすような情報ばかり集めず、必要以上に楽観視する情報ばかりも集めず、普段なら近寄りもしない科学的理論的文献も読めばトンでも論にも目を通す。いわゆる有識者のきちんとした理論から、素人の感想文レベルのものに至るまで、とにかくありとあらゆる情報を取り込んでから自分自身で考えることを試みた。
その対象が震災・原発事故から乳癌にシフトしていっただけのことだ。医学的に裏付けされた素性のはっきりした情報から、検索ワードが引っかけてきたさまざまな代替療法や民間療法の情報、記事や論文や質問回答コミュニティや掲示板のコメント、医師や患者のブログ、ネット上で観られる動画(医師の講演や体験者のインタビューなどかなりのものがあった)の数々、もちろん書籍や雑誌も……。その気になって探すと情報の方から自発的に目に飛び込んでくるものだった。アクセスできるほとんどを先入観なしに取り込み、自分の中で咀嚼して、必要と思われる情報のみを知識として蓄積させていった。学生時代の試験勉強なみに脳みそフル稼働させる毎日だった。

この方法は私には有効だったが、なにしろエネルギーを使うので、万人にはお奨めしない。節操もなく片っ端から取り込んだ情報は矛盾するものもたくさんあって、消化不良を起こしそうになる。なんとか整理して自分なりに結論を導きだそうとすると脳がオーバーヒートして知恵熱が出そうになる。自分は大丈夫という思いと恐怖で身のすくみそうになる思いとが行ったり来たり交錯する。ヨレヨレになりながら私はY先生にお願いする手術を決めた。皮下乳腺全摘してシリコンインプラント挿入による乳房再建──確定診断の日にY先生がひとつの方法として口にした術式なのだが、押しつけられたのでも流されたのでもない。自分自身が理解して納得した上で選んだのだ。だけど、短期間で非常に重大な選択や決定を強いられている乳癌患者も多いと思う。それはとてもつらいことだ。

確定診断の日から処方されたノルバデックスだが、服用し始めて数日間、息苦しさや動悸や目眩、手指が痺れたり身体がふわふわしたりなどの症状が入れ替わり立ち替わりやってきた。程度は軽いものだし一日中起こっているわけでもないのだが、なんとも不快だった。これは副作用なんだろうか、こんなの5年間も続いたらたまらないなあと思っていたら、10日から2週間を過ぎたあたりで徐々に治まっていった。身体が薬に慣れたのだろう。

そして、8月9日。手術日や術式もろもろを決定するために、確定診断以来1ヶ月ぶりの診察に行った。相変わらず乳腺センターの待合室には患者が溢れていて、次から次へと診なくてはならないY先生は大忙しのはずだが、今日もにこにこと私を迎えてくれた。この先生はにこにこ顔がデフォルトで、患者はその笑顔にとても安堵する。

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