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入院の日

手術──辛く長い一夜 その1

手術──辛く長い一夜 その2

“術後ハイ”になる入院生活

とりあえず退院しちゃおう

雑踏が怖い、満員電車が怖い

おっぱいが2倍に腫れてきた!?

ああ、自分の場所に帰ってきたんだ

病理結果に打ちのめされる

感染した!!!!

どんどん変な色と形になってくる

いつまで足踏みしてたらいいのだろう

一歩進んで二歩戻る

二度目の手術は日帰りで

今度こそよくなっていくといいなあ

4ヵ月遅れの再建スタート

どうしてまた腫れてくるの!?

再建は諦めなくちゃならないのかな

「なんとかしてやれなくてごめんな」

三度目は一番悲しい手術だった

痛みより痒みの方がつらいなんて

醜い瘢痕拘縮

自家組織での再建を決意する

前を向いて歩こう


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雑踏が怖い、満員電車が怖い

9月13日、退院の朝。私は明け方4時半頃から窓辺に腰掛けて、紫から薄桃色へ水色へと変わっていく空と雲をずっと見ていた。その日はとても空気が澄んでいて、遥か遠くのスカイツリーのシルエットまでくっきりと見えていた。

昨日の夕方、Y先生の回診で退院の報告をした時、
「もう東京タワー見てるのも飽きたでしょ」先生はそう言ったが、そんなことは全然ない。手術を受けた日、タワーの赤い灯に見守られながら、私は長いつらい一夜を過ごしたのだ。
術後の痛みのせいもあり仰向け限定姿勢のせいもあって、入院中はずっと連続した睡眠はとれていなかった。1時間か1時間半ごとにいちいち目が覚め、30分ほど悶々としてはまたウトウト……の繰り返し。
その細切れ睡眠の合間にもタワーの赤い灯を見てきた。
昼間はうっかり眠ってしまわないよう横にならず本を読んだりして過ごしていたが、何度顔を上げて窓の外を眺めたことか。これほど空を見つめて過ごしたことはここ何年もなかったことだ。そして時折、空の青さや高さに感傷的になって、不意に涙ぐんだりもした。

11時前にKちゃんが車で迎えに来てくれた。入院の日も手術の日もお世話になっちゃったのだから一人で帰ろうと、それも無謀にも電車に乗って帰るつもりだったのだが、
「あー、そんなの無理無理! 術後の弱った身体って想像以上に娑婆の世界が怖いはずだから」と、ありがたくも申し出てくれたのだ。せっかくなので途中でちょっといいランチをとることにした。病院では絶対にありつけないニンニクの効いたパスタとか食べたいな。

Kちゃんが言うとおり「娑婆が怖い」っていうのは本当だった。スリッパでぺたぺたと病院の廊下を徘徊するのと、靴を履いて凹凸や段差のある道を踏みしめて歩くのはまるっきり違う。病院内ではスタッフも患者もお見舞いの人も誰も私にぶつかってきたりしないが、外ではすれ違う人たちがみんな身体や鞄をぶつけて襲いかかってくるかのように感じる。コインパーキングからレストランまでのほんの10メートルほど人の行き交う歩道を歩いただけでヘトヘトになってしまった。元気なつもりでうっかり荷物を持って電車に乗ってしまったりしてたら、途中で半泣きになるところだった……。

退院の翌々日の9月15日、さっそく形成外科の外来があったのだが、満員電車なんて怖くて乗れるわけがない。5時起きして始発直後の電車に乗って、そんな時間でもそれなりにいる人の流れをやり過ごしたりしながら2倍近くの時間をかけて病院近所まで行き、開店直後のマクドナルドで9時までじーーっと待っていた。
そうやって時間をやり過ごして病院まで行ったのだが、受付開始からまださほど経っていないのに、乳腺センターの待合室はすでにたくさんの患者さんたちで溢れていた。9月は月初めに学会があった上、連休が2回もあって、休診が多かったしわ寄せがきているようだった。形成外科の予約はなんとか退院翌々日に入れてもらえたが、乳腺外科は激混みで26日まで予約が入れられなかったのだ。

たっぷり2時間は待ってようやく診察室に呼ばれた。
「あっ、いいですねえ〜〜! うん、いいねいいね」脱衣して傷跡を見せるなりS先生は明るい口調で言う。
順調なら早速エキスパンダーに生理食塩水を注入していくそうだけど、まだちょっと腫れているからとのことで今日は入れてもらえなかった。一分一秒でも早くの快復に闘志を燃やしていた私としてはちょっとガッカリ……。
術後初めて傷口のテープ交換をしてもらい、初めて縫合跡を見たのだが、埋没法の縫合って綺麗なのね! まだ赤いけれどだんだん目立たなくなるんだろうな。ただ、乳頭はカットされてちょっと小さくなってるし、乳輪が半円になってしまったのはちょっとショックだ。だけどシリコン入れ替え手術の際に、きっと形を整えてもらえるはず。
とりあえずは“日にち薬”を信じていかなくちゃ。

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