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入院の日

手術──辛く長い一夜 その1

手術──辛く長い一夜 その2

“術後ハイ”になる入院生活

とりあえず退院しちゃおう

雑踏が怖い、満員電車が怖い

おっぱいが2倍に腫れてきた!?

ああ、自分の場所に帰ってきたんだ

病理結果に打ちのめされる

感染した!!!!

どんどん変な色と形になってくる

いつまで足踏みしてたらいいのだろう

一歩進んで二歩戻る

二度目の手術は日帰りで

今度こそよくなっていくといいなあ

4ヵ月遅れの再建スタート

どうしてまた腫れてくるの!?

再建は諦めなくちゃならないのかな

「なんとかしてやれなくてごめんな」

三度目は一番悲しい手術だった

痛みより痒みの方がつらいなんて

醜い瘢痕拘縮

自家組織での再建を決意する

前を向いて歩こう


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感染した!!!!

病理結果の出た翌週の10月3日、今度は形成外科の受診だ。滲出液がだぷだぷに溜まって下部方向にのびていた私の右乳房もむくみがひいてきて左右の大きさがだいたい揃ってきた。

「癌、残ってるかもしれないんだって?」S先生はカルテを見ながら少し顔を曇らせる。
もうエキスパンダーに水を注入し始めてもいいくらい腫れもひいたのだが、追加切除のケリがついてからということでまたも見送りだ。毎週通ってるのに毎週テープを貼りかえてもらってるだけで、いっこうに第二段階に進めない。
「慌てることはないからね。癌の心配がいっさいなくなってからにしようね。そしたらすぐに再建始めてあげるからね」S先生とY先生は同じ言葉で慰めてくれる。一日も早くおっぱいを完成させたがる私をなだめるように、急ぐことはないのだと。まず癌をすべて取りきることが先決なのだと。わかってる、わかってるんだけど……。だけど私一人がジタバタ焦っていても来月の予約日までは何も進展しないんだからしかたない。

追加切除が控えているというのはどうにも気の重いことではあるが、腫れがひくとともに鬱血したジンジンする痛みがなくなってきたのは嬉しい。ただ乳房内部からは日に何度も突き上げてくるような痛みはある。切除した中央部分は皮膚に触れても無感覚なのだが、周辺部はピリピリピリピリとした微弱電流が流れるような痛みが時々ある。生検だからとナメていた腋下の傷は思った以上にこのピリピリ痛がひどい。これは回復痛なのだそうだ。手術の際に傷つけられた周辺神経が少しずつ戻ってくるわけだが、コンセントプラグを挿すようにパッとつながるわけではなくて、接触の悪い電線のように流れては切れてまた流れて…を繰り返してじわじわと繋がっていくらしい。かなり不愉快な痛みではあるけれど、だんだん皮膚感覚などが戻ってくる実感があって、それは素直に喜ぼうと思う。

病理の結果が出た後、ひとつの区切りとして、最初に診察を受けたS病院のM先生に宛ててお礼の手紙を書いた。手紙を書くことは確定診断の時からずっと決めていたことだった。M先生がどうしても気になるからと検査を重ねてくれなければ、そしてY先生を紹介してくれなければ、私の癌は未だ見つけられないままに右胸の中で増殖を続けているはずだからだ。でも、やっぱり直接会って感謝の言葉を伝えたい。どのみちS病院には借り受けた資料を返却しに行かなくてはならなかったので、乳腺外来のある日に診察終了のタイミングを狙ってM先生を訪ねた。
「丁寧な手紙をありがとう。結果はY先生の方から逐一報告を貰ってますよ。見つかってよかった、あのままにしないで本当によかったね」M先生は心から安堵した笑顔でそう言ってくれた。この先生は本当に真面目で謙虚で誠実だ。
「Y先生って……いい先生でしょ。僕ねえ、あの先生尊敬してるし……大好きなんですよ」
「あ、なんかわかります、それ」
「形成のS先生からも報告頂いてますよ。二人ともいい先生だからね、安心して治療受けてくださいね」

10月に入る頃には私はやたら精力的かつ行動的になっていた。上旬〜20日頃にかけてはお見舞いをいただいた方や心配をかけた方との食事会のセッティングをしては、せっせと病状報告および今後の展望を明るく元気に語ったりした。この一連の行為もおそらくは“闘病ハイ”だったのだ。「追加切除になっちゃったけど、私負けないもン! くじけないもン! 頑張るんだッ」という患者の鑑を演じようとしていたんだと思う。他人に対して演技するというより、自分自身に対しての決意表明に近かったのではないかな。多分。

私のおっぱいは腫れが引いたらいかにも水風船な感触になってきて、押すと硬めのウォーターベッドのような感じ。10月半ば頃は急激に秋めいてきて気温がひどく下がる日があり、冷えて筋肉が硬くなるのか押しすぎたせいもあってかエキスパンダーの縁が当たって痛くてたまらなくなってきた。まだ完全に膨らまってないので、デコボコしていて角があるのだ。当たって痛いため、またも乳房下部が赤く腫れてきたが、前のようにぶよぶよ膨れるような腫れ方ではない。色だって赤紫色ではなくて、ピンク色に発赤している。面白がってぺこぺこ押したりしていたのが、いけなかったのかも。

10月24日は1ヶ月ぶりのY先生の受診日だった。呼ばれて診察室に入ると今日もY先生はにこにこしていた。
「はい、こんにちは〜。調子はどう?」
「はい、だいぶ腫れもひいてきました。でもね、先生、あのね〜、寒くなってきたらちょっと痛くてぇ……」感触を面白がって押したりしたのは内緒だけど。
「うん、うん」
「エキスパンダーの縁が当たるんですかねぇ?」
「うーん、それは仕方ないかもなあ」
「でね〜、なんか赤くなっちゃったんですよね〜」そう言いながら乳房を出した途端、にこにこしていたY先生の顔色がサッと変わった。
「……これは、ちょっと……まずいな」
「え?」
「ちょっと、S先生にも来てもらって」ナースに命じる。
「え? ええ?」
「感染……したかもしれない」
「え? ええええっ?」

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