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入院の日

手術──辛く長い一夜 その1

手術──辛く長い一夜 その2

“術後ハイ”になる入院生活

とりあえず退院しちゃおう

雑踏が怖い、満員電車が怖い

おっぱいが2倍に腫れてきた!?

ああ、自分の場所に帰ってきたんだ

病理結果に打ちのめされる

感染した!!!!

どんどん変な色と形になってくる

いつまで足踏みしてたらいいのだろう

一歩進んで二歩戻る

二度目の手術は日帰りで

今度こそよくなっていくといいなあ

4ヵ月遅れの再建スタート

どうしてまた腫れてくるの!?

再建は諦めなくちゃならないのかな

「なんとかしてやれなくてごめんな」

三度目は一番悲しい手術だった

痛みより痒みの方がつらいなんて

醜い瘢痕拘縮

自家組織での再建を決意する

前を向いて歩こう


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再建は諦めなくちゃならないのかな

3月29日、形成の受診日。真っ赤っかな右乳房を見たS先生の口ぶりでは、この状態ではシリコンへの入れ替え手術はしたくなさそうだった。Y先生にアレルギーの薬を出してもらったことを話す。思い起こしてみたら、去年の10月にもこの3月にも花粉症が酷くなってくる時期に痛み始めて赤く腫れて膿が溜まり始めるのだ。それを告げると
「アレルギー? あ……そうねえ、アレルギー……ってこともあるかもしれないなあ」S先生は思案し始め、抗体や免疫やもろもろ徹底的に調べるための血液検査をしてみようと言った。
「その検査でアレルギーが出たら………」おずおずと尋ねる。
「……残念だけど、あなたは人工物での再建は向いていない……ということになるね」
「………」
S先生の口調は遠慮がちだったが、十分に私を打ちのめした。
そして、乳癌ですって言われた時よりずっとショックを受けている自分に気づいた。
「自家組織では……?」
「もちろん、それは大丈夫だよ」
S先生は背中の筋肉と脂肪からの再建手術(広背筋皮弁法)の第一人者であり症例数日本一なのだ。だから先生はもちろんそちらを奨めるし、何よりもすでに私は先生の患者を半年以上やっている。これから病院や医師を探す必要がないのだ。紹介状もらって予約して受診して、先生との相性だってあるだろう。そんな手間はいっさいかからず、おそらく順番待ちリストに連ねてもらう優先順度も私は高いだろう──その幸運も認める。費用だって、自家組織での手術であれば保険適用だから高額療養費でだいぶ戻るはず。ただ、一般的にはシリコンでの再建よりずっと身体の負担がある、ということになっている。傷だって増えるし、少なくとも乳癌の手術より大変だったと、受けた人たちは言っていた。乳癌手術は前だけだったけど、今度は前と後ろ両方だからって。それから何より問題なのはほぼ1ヶ月費やす入院期間である。

そこまでする意味はあるのか、ないのか。私は意地になってるだけなのか。自家組織での再建に切り替えるかどうかの結論はすぐには出なかった。きっと私はまだ心のどこかで、このまま腫れがひいてシリコンで再建できないかなあ、と思っているのだ。
S先生の診察を終えてから採血室に行った。調べる項目が多いため採血のスピッツは7本もあり、費用も6000円を超えていた。

4日後の4月2日に血液検査の結果を聞きに行った。
抗核抗体と血清補体の数値が上昇していた。膠原病などの自己免疫疾患で上がる数値で、感染防御抗体は数値が低かった。やっぱり細菌感染などではなかった。私の身体は皮下に挿入されたエキスパンダーを異物認定し、排除しようと抵抗し攻撃しているわけだ。シリコンインプラントを入れて数年以上経つと、この数値がじわじわ上がってくる人がいるらしいが、私の場合は半年でこれだもの。もう納得した、というかせざるをえない。一生このまま異物を詰め込んだままで私は私自身の身体を制御できるのか──その自信はかなり揺らいでいる。というか、ほとんど自信なんかなくなってしまった。

結局、26日に入院して27日にエキスパンダー抜去と体内洗滌の手術をすることに仮決めした。その日にしかS先生の手術がねじ込めなかったのだ。
「Y先生の意見も聞いてみてね」とS先生は言う。私もそう思うので、次の受診日にY先生に相談と報告するつもりだ。自家組織での再建をするかどうかはまだ悩み続けているところだが、いずれにしてもしばらくはペタンコ胸になってしまう。3〜4ヶ月おきに手術されて、どんどん取られる範囲が広がっていくのは、あまりにやるせない。この半年の間さんざん痛い思いをするだけでいったい何をしていたのだろうか。やっぱり私は自己免疫系がちょっと暴走しやすいのだ。10年以上も前のことだが、一時期膠原病を疑う所見があってかなり検査を重ねたことを思い出した。あの時もいろいろなストレスが重なって、免疫機能が暴走したのだ。

人工物での再建が難しそうになってきた時、自家組織での再建に切り替えるべきかどうか友人に相談してみたのだが、彼女の答えは「私だったら手術受けるかな。だってS先生が目の前にいらっしゃるのに。諦めたらもったいないよ」だった。それを伝えてみたら
「うん、私もすごくそう思う。もったいないよ」と、助手の女医先生。そうなんだ、S先生のところに辿り着くまでの道のりって大変なんだよね。
とりあえず広背筋での再建が可能かどうか、S先生はひととおり背中や腰の筋肉などを見てくれたが、私の脇腹の肉をぎゅううううっとつかみあげると「再建するつもりならこれ以上太っちゃ絶対にだめだよ!」と言った。脂肪ならいくらでもあるからバンバン使って!と思っていたが、肥満脂肪は定着が悪いそうなのだ。血行の良いしっかりした筋肉と自然な皮下脂肪がいいのだとのこと。

それにしても。私はココロは許容範囲広いつもりだったのだが、身体の方はこれほど異質なモノ断固排除!だったとは。細菌感染じゃなかったのだから、炎症反応も出ないわけだし抗生物質だって効くわけもない。開いて膿を洗い流したって、そこに異物がある以上、自分の身体から抗体がじゃんじゃん湧いて攻撃し続けるわけだし。
私の脳内も心も混乱や不安がぐるぐるぐるぐる渦巻いているのだが、ありがたいことに同時進行の仕事が3つも重なってめちゃくちゃに多忙な状態だった。神様があんまりグダグダ考えないようにってしてくれてるのかな……。

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