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1年めの検診を迎える

皮膚パッチテストの一週間

検診結果は無事クリア

手術に備える3ヶ月間

いよいよ入院

乳房再建のためのデザインを施す

手術まで首を洗って待つのみ

手術──再び辛く長い一夜

なんでこんな手術受けちゃったんだろう……

再建乳房と感動の初対面!

再び苦しむ激痛の夜

入院生活のタイムテーブル

快復停滞の分岐はどこにあるの?

そろそろ退院が視野に入ってきたかな

30日ぶりで外の世界へ

背中の大怪我、続行中

ドレーンを入れての強制排液

「カサブタ剥いじゃおうね」

恐怖の溶解脂肪ダダ漏れ事件

医療従事者と患者との間には温度差がある

傷口が裂けちゃった!

背中の傷に植皮を開始

遺伝性乳癌による予防的乳房切除に思うこと

いっこうに脂肪流出が止まらない

乳癌治療に関するいくつかのニュース

そろそろ心が折れてきた

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旅立ってしまった友

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背中の大怪我、続行中

入院中は痛み止めと睡眠導入剤の併用で、毎日5〜6時間の睡眠だった。別に日中眠くもならなかったので、ほとんど動いてないからその程度で大丈夫なのだと思っていたけど、自宅に戻ったら睡眠剤なしで14時間も爆睡してしまった。やはり、常に同室者がいるということはそれなりに気兼ねして眠りが浅かったのだと、今さらながら実感した。

そしていわゆる“娑婆での生活”では、病院にいる時には想像出来ない意外なことがいちいち大変だった。帰宅のためにとりあえず着替えるだけでもヘトヘトになって、その大変さをつくづく思い知った。なにしろ腰が折れない曲げられない捻れないなので、タイツ穿くだけでひと苦労。私は比較的腕が上がる方なのでかぶりものセーターもなんとか着れたけど、ピタピタの服だったらきっと無理だった。コサックダンスのような姿勢にならないと靴ひもも結べない。
自宅のベッドから身体を起こすのもえらく難儀した。病院ベッドみたいに電動で起こせないから……

少しでも早く内部の傷を癒着させるため、腰回りは常にギュウギュウに締め上げていなくてはならない。入院中は筒型の腹巻の上にマジックテープ式の腹帯を締めていた。
「スカーレット・オハラみたいなやつでぎゅううーっと締めてね」退院直前の診察でS先生はそう言った。スカーレット・オハラみたいなやつって何? コルセットのことかな。今巻いている腹帯みたいに白一色でいかにも医療用じゃなくて、腰痛用のコルセットみたいな感じでもなくて、ちょっとお洒落なウェスト・ニッパーとか? きっと再建患者さんたちが着けていたのを見てS先生はそう言っているんだろう。
だけど、とてもじゃないけど今の状態では買い物になんか行けない。最終的にネットで探すしかないだろうけど、とりあえず近所のドラッグストアを覗いてみようとして、自宅マンションの一軒隣に子供服やマタニティ・グッズの専門店が半年ほど前にオープンしていたのを思い出した。私には縁のない店だわと思って足を踏み入れたこともなかったけど、産後の引き締め用コルセットってどうだろう? 結構強力なんじゃないかしら。
思った通りマタニティウェアなら機能的にも問題なしだった。20代30代の女性向けなので、レースのついたものとかアニマルパターンのものとかデザインも豊富でお洒落。何ヶ月か使うものだから、やっぱり可愛いものの方がいいよね。

退院3日後の日曜日、穏やかで暖かな晴天だったので、近くの公園に散歩に出かけてみた。ロウバイや桃が咲いていて、風も陽射しも柔らかく、このまま春になってしまいそう。1時間ほどの散策だったのだが、ゆっくりゆっくり歩いているだけで息が上がっちゃって大変。ああ、ものすごく体力落ちちゃってる……。
滲出液もまだまだ出続けているようで、さすがに3日めともなると相当溜まって腰の上あたりが膨らんでいるのがわかるし、触るとウォーターベッドみたいにたぽんたぽんになっていて、ちょっとジンジン痛んでもくる。

翌日の2月26日は退院後最初の外来診察だが、これからしばらくは背中の傷処置が続くので、担当はS先生ではなくT先生になる。9時半の予約なのだけど、通勤ラッシュの電車になんか怖くて乗れないので、早起きして5時台の空いた電車に乗る。そうやって病院近くのカフェでじーっと待つのである。幸い、病院から徒歩7〜8分のエリアにスタバやタリーズや上島珈琲などのコーヒーチェーンがひととおり揃っていて、毎回ローテーションで時間つぶしをする場所には事欠かないのだった。

「あっ、それいいですね! それに可愛い!」
T先生は私の新品のコルセットを見るなりそう言った。産後のお腹引き締めももちろんのこと、骨盤の歪み矯正のボーンも入っていて、背中側も3段階で幅が調整でき、なおかつデザインも可愛い優れもの。医師とはいえやっぱり若い女性だから、こういうことには目ざとい。下着の相談するにも話が通じやすいし、抵抗だってないしね。
たぽんたぽん部分から抜いた滲出液は96ccもあった。いくら4日あいたとはいえ、100cc近くとは……。私は体力回復に良かれと思って散歩してたのに、あまり動くと内部の傷が擦れてくっつくないから駄目なんだって。えーっ、がっかりだわ。

その日はとても寒い日だったのでコートやセーターで着膨れなくてはならず、1ヶ月間パジャマしか身につけていなかった身体にはそれだけで重くて疲れる。おまけに5時起きしてカフェで延々時間つぶしだし、外来では再建仲間にもいっぱい会えるので楽しみではあるけれど、そしたら入院病棟にちょっと立ち寄ったりもしちゃうし、じゃあついでにランチして帰ろうってなっちゃうし……。とりあえず暗くなる前には自宅に帰り着けたのだけど、ぐったり消耗した。
電車に乗って病院に行って帰ってきただけなんだけど、ちょっとだけ社会復帰できたような気がして嬉しくなり、その晩は缶チューハイを1本だけ飲んでみた。手術以来初めてのアルコールだ。とってもとっても美味しかったので回復しつつあるなと思ったけど、疲れもあってか、ふわふわに酔っぱらってパタンと倒れてそのまま熟睡だった。……なんかすごく経済的。まあ、とりあえず当分はダラダラ自堕落に過ごすことにしよう。

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