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1年めの検診を迎える

皮膚パッチテストの一週間

検診結果は無事クリア

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いよいよ入院

乳房再建のためのデザインを施す

手術まで首を洗って待つのみ

手術──再び辛く長い一夜

なんでこんな手術受けちゃったんだろう……

再建乳房と感動の初対面!

再び苦しむ激痛の夜

入院生活のタイムテーブル

快復停滞の分岐はどこにあるの?

そろそろ退院が視野に入ってきたかな

30日ぶりで外の世界へ

背中の大怪我、続行中

ドレーンを入れての強制排液

「カサブタ剥いじゃおうね」

恐怖の溶解脂肪ダダ漏れ事件

医療従事者と患者との間には温度差がある

傷口が裂けちゃった!

背中の傷に植皮を開始

遺伝性乳癌による予防的乳房切除に思うこと

いっこうに脂肪流出が止まらない

乳癌治療に関するいくつかのニュース

そろそろ心が折れてきた

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旅立ってしまった友

サバイバー3年生に──道はまだ続く


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乳癌治療に関するいくつかのニュース

Y先生のクリニックを受診した6月17日のこと。
相変わらず溶解脂肪漏れは続いていて、いい加減ウンザリしていた私をY先生とナースが慰めてくれていた。脂肪漏れはいずれ止まるにしても、パックリ開いた傷穴は果たして綺麗になるのか、かぶれて赤くただれた皮膚が戻るのはどのくらい時間がかかるのか、縫い直しは必要なのか、予定通り1年後に乳頭乳輪の再建手術はできるのか、背中の傷の修正手術もしたくなるのではないのか……再建完了までのあまりに長い道のりを考えるとげんなりしてくる。それなのに、こんなに躓いて回り道して。でも、ひとつひとつ乗り越えていくしかないんだなあ。
「あと3年経って、ホルモン治療が終わる頃にはようやく解放されるのかもしれませんね……」嘆息混じりの私の呟きに返ってきたY先生の言葉は
「ああ、ホルモン治療ね、10年間だから」だった。
「ええええっ !?」

5年間予定のホルモン治療がいつの間にか10年間に延びていた。

そういえば再建手術で入院中、お見舞いに来てくれた友人がノルバデックス服用が延長されてしまったと話してくれたっけ。あと2ヶ月ほどで丸5年になり、ようやく終了かと思っていたらもう5年の上乗せを提案されたと。
「え〜、私は5年間って言われたよ? 延びるとか聞いてない」
「なんか、ガイドラインが変わったとか、どうとか……」
「え〜〜、私も延ばされちゃうのかなあ。やだなあ」
そんな会話をかわした記憶が甦ってきた。あと3年の辛抱だと思っていたのに、まだ8年も薬を飲み続けなくてはならないの? 地味にショックだ。

その日はガックリ打ちひしがれた気持ちで追求する気力はなかったが、数ヶ月後Y先生に詳しく説明してもらった。
経口のホルモン治療を5年から10年に延長した方がよいという結果が出たのは2012年の12月頭のことで、ごく最近のことだった。術後5年で終了するグループと10年に延長するグループとでの比較の国際臨床試験を10数年前からとっていたそうだが、10年目の時点では再発率にさして変化はなかったという。だから長くやっても意味はないのかと思われたのだけど、さらに年数を経て15年めになってくると5年投与と10年投与の差が歴然とついてきたという。

5000例を超えるというY先生の診療データによると、悪性度の高い乳癌は術後1〜2年と短い期間で再発しやすいので、術後治療で徹底的に叩き、術後3〜5年を再発せずに乗り切ればそのまま完治するケースが多いという。逆に、私のようにホルモン治療がよく奏効する進行の遅いおとなしいタイプの癌は12年〜15年経って再発するそうで、その再発率は意外に低くはないそうなのだ。
Y先生の説明はとても腑に落ちるもので、私は10年間へ延長する意味をしっかり理解し納得した。
まあ、そもそもが更年期のお年頃の私はそれでいいけれど、30代の若年性乳癌で挙児希望の場合は10年間のホルモン治療は悩ましいところだろう。閉経前の患者のホルモン治療は、副作用もきつい。なにしろ、無理矢理に卵巣の働きをストップさせて閉経状態にするのだから。ホルモン受容体の数値やその他の異形度や増殖度、リンパ転移の有無などによって一口には言えないが、もちろん乳癌の再発防止も大切だけど、子供を持つか諦めるかという選択は患者のその後の人生を大きく左右することなのだ。

もうひとつの大きなニュースは、2013年6月26日に発表されたインプラントでの乳房再建がこの7月から保険適用されるということだった。これまでは乳房片方100万円前後かかった手術が3割負担で約30万円、高額療養費も適用されるわけだから、平均的な所得の人なら自己負担は8万円強ですむことになる。
乳癌治療は手術してそれで終わりではなく、化学療法や放射線治療、ホルモン治療など長期に渡ることが多く、さまざまな費用を含めて治療だけで数100万円かかることもある。私は手術以外には金食い虫の補助療法をしないですんだので、その分を再建費用に回そうと考えたけれど、高額な分子標的薬治療などしていたら、さらに100万超えの追加出費は躊躇したに違いない。

乳房再建は女性として前向きに生きるための大きな支えとなるのだが、費用がネックとなり治療による収入減や家族への遠慮などで断念するケースは多いという。人工物を使うことに心理的に抵抗がある人もいるだろうし、私のように肉体的に抵抗する体質の人もいるだろうけれど、とりあえず選択肢が広がったのはいいことだと思う。

かなり前から行われていた人工乳房の保険適用を求める署名活動が実を結んだのだろうけれど、思った以上に迅速に適用が決まった感があるのは、アンジェリーナ・ジョリーのニュースの影響が弾みをつけたのかもしれない。
ただし今回認められたのはラウンドタイプ(お椀型)のシリコンのみ。一時代前の旧型のために柔らかくて丸くて人工乳房の形や皺が表に出やすいので「おっぱいに何か入れてます」感ありありなのだ。インプラント再建する人の9割以上が選ぶアナトミカル型(しずく型)の保険適用は残念ながらまだで、その時点ではいつになるか不明だった。

私はつくづく幸せだと思った。人工物での再建は諦めたけれど、そのまま自家組織再建へと流れていけて、今現在もさまざまトラブルはあるけれど、“乳房再建難民” にはなっていない。それはとりもなおさず最初から乳腺外科と形成外科がしっかり連携した施設で治療していたからに他ならない。

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