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乳頭乳輪再建。ついにおっぱいが完成する!

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それはきっと、神のみぞ知る領域

この病気になってから大きく変化したこと──それは、上半身裸になることにまるっきり抵抗がなくなるということだ。
初めて乳癌検診を受けた頃は検査は触診のみで、マンモグラフィもエコーもなかった。まだ20代だったから、それはそれはそれは恥ずかしかった。それから何度か乳癌検診をする機会はあったが、やっぱりその都度ちゃんと恥ずかしかった。
乳癌発覚のきっかけになった自治体検診を受けたのは2011年2月、2年半前になる。婦人科の先生のさささっとした触診、マンモグラフィ撮影、再検査に引っかかってのエコー検査、乳腺科に移されて触診とエコー……どれもこれもまだちゃんと恥ずかしかった。その後もさんざん検査を重ねていくわけだが、その都度いちいち恥ずかしかった。紹介されたY先生を初めて受診した時ですら、まだ恥ずかしかったのだ。確定診断後には恥じらいの気持ちなんて微塵も残さず吹き飛んだけれど。

確定診断から検査の数々、形成外科受診、手術、術後の度重なる通院、二度めの手術、さらに度重なる通院、三度目の手術、定期検査、再建手術、入院中の傷処置、さらにさらに度重なる通院……この2年の間、何十回もしかすると百回以上と医師やナースや検査技師の前で裸をさらさなくてはならなかった。
いちいち恥ずかしがっているのも面倒だし、回数を重ねるうちに着脱の手間すら時間短縮したくなるのだ。呼ばれて診察室に入る時「先生、こんにちは」と言いながら、手はもう服のボタンを外しかけているくらい。
特に、再建をした人たちというのは、極端に抵抗がなくなる傾向がある。医療従事者の前だけではなく、患者同士で出来上がった乳房を見せ合ったりもする。再建を考えている人の参考のために写真や実物を披露することだってよくある。

再建手術の後、あまりに頻々と通院していたものだから「診察室に入って白衣の人を見ると脱ぐ」というのが条件反射のようになってしまい、定期検査に訪ねた歯科でまであやうく脱ぎかけた(実はボタンをひとつ外してしまった)。ああ、すぐに気がついてよかった。いきなりパッパと脱いだりしたら、頭おかしいと思われちゃうところだった……。
もともとスポーツジムのサウナなどで慣れてはいるけれど、それでも一般の人はそうポロポロとおっぱい放り出さないんだよね。気をつけなくちゃ。

それから、もうひとつ大きく変わったこと。人生観というか、死生観というか、ある種の “達観” とも言えるかもしれない。

この病気になってからというもの、いや検診で再検査に引っかかってからというもの、○○率○%という数値や検査結果の数値ばかりを目にして、しばらくはさまざまな数字に囚われてきた。でも、一喜一憂して振り回されてはいけない──そう考えるようにもなった。
たとえば薬の奏効率80%と言われれば、確かに安心度を高める指針にはなる。だけど自分が80%に入るのか20%に入るのかはわからないのだ。私は再建に関するトラブルでことごとくマイノリティ側に入ってしまって、つくづく思い知った。50:50であろうと99:1であろうと、それはただの確率でしかない。自分にとっては0%か100%しかないのだと……。

私はタモキシフェンという抗エストロゲン剤によるホルモン治療をしている。服用しているのは商品名が「ノルバデックス」という先発薬だ。2番手の「タスオミン」に続き、3番手4番手のジェネリック薬が存在し、薬価にはずいぶんと幅がある。
ちなみにノルバデックスは20mgの錠剤が1錠322.40円で、タスオミンだと204.50円、他の後発品は141.50円とか76.20円だ。一番安いジェネリックはノルバデックスの4分の1以下の値段なのだ。半額くらいならなんとなく納得もできるものの、4分の1ってどうなんだろう? 効き目も4分の1になっちゃったりしないんだろうかと思わないでもない。

ジェネリックに変えるかどうかの判断は、有名なナショナルブランドを選ぶかスーパーなどのプライベートブランドを選ぶかにちょっと似ている気がする。ただ、対象が自分の身体だからなあ……。「安くても十分じゃない!」となるか「やっぱり○○は△社のに限るよね」というように試してみるわけにいかないのがつらいところ。
ジェネリックに変えてみたら副作用も変わったということも時々あるみたいだ。主成分は一緒なので一応効き目も副作用も同じはずだけど、添加物がわずかに違ったりしていて、その違いに左右される体質の人もいるらしい。添加物とは、つまりはハンバーグのつなぎのようなもの。肉という主成分は同じだけど、つなぎにパン粉使うか小麦粉か、はたまた豆腐か山芋か、みたいな。

私のホルモン治療は再発予防のためのものだ。
果たして私は、再発するのかしないのか、転移するのか、するとしたら1年先なのか15年先なのか──わからない。それはもう神のみぞ知る領域なのではないのか。
何をしても何もしなくても、再発する時はするし、しない時はしないのだろう。ただ、先々で「あの時○○をやってれば」「やめてれば」などと悔やむことだけはしたくない。もし再発してしまった時、わずかでも「あの時ケチってなかったら違ってたのでは?」と考えてしまいたくなくて、ジェネリックの選択はしていない。

幸い私は、化学療法を受けるか否か、温存か全摘かなどの選択を迫られることはなかった。もし私の癌の悪性度が高くて化学療法をと言われたら迷うことなく受けただろうし、ボーダーラインにあったら悩みつつどういう答えを出しただろうか。覚悟を決めて受けたとしても、肝臓障害や骨髄抑制などの重篤な副作用が出て途中断念を余儀なくされた可能性だってある。
どうしても嫌なら辛いならやめる。やめたならやめたことを悔やまない。やると決めたのならとことん信じる……再発に対する不安を払拭するには、突き詰めればそれしかないのだ。この薬は大丈夫かなあ効くかなあと思うよりは、絶対に自分に効くんだと。その局面局面で私が私自身の選択を信じていくしかない。正解はひとりひとり違うのだから。

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