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乳頭乳輪再建。ついにおっぱいが完成する!

久し振りの手術の夜の痛み

完成おっぱいとの対面はまだお預け

僕が医者続けてる限りずっと診るからね

乳房再建は心の再建

「毛」が生えてきた!?

私はもう “患者” ではない

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完成おっぱいとの対面はお預け

手術翌々日の2月20日はM病院に行かなくてはならなかったが、またも雪という予報は回避されたようで助かった。ソチ五輪観戦で睡眠不足なのは覚悟の上だったけれど、この股間の痛さでは雪道で踏ん張って歩けないもの。
乳頭再建した右乳房は巨大なカバーで覆われていて、左に比べると倍ほども大きさが違う。服を着てみても明らかにアンバランスなので、健側にパッドを突っ込んでしまうことにした。左右の大きさを揃えるのにパッドが3つも必要だった。少しずつずらしながら形を整えてみると、あら〜、なかなかグラマラスでいいじゃない。一日限定巨乳を味わうことにして、わざわざぴったりめのセーターなんかを選んでみる。ふ〜ん、なるほどね、胸のボリュームが変わると同じ服でもずいぶんシルエットが違って見えるのね。

私の巨乳体験は診察室に呼ばれるまでの数時間限定だった。胸全体を覆っている二重三重の布ガムテープのようなものを剥がすと、案の定その下は盛大にかぶれていた。赤くプツプツしていて、ところどころ血が滲んでいる。乳房外周にぐるりとリンデロン軟膏を塗られ、絆創膏がペタペタと貼られた。
「あなたはこのテープには合わないんだねえ。次は気をつけようねえ」S先生の口調はどこかのんびり。でも次って……次って何? そんなに何度も手術したくはないんだけど。

さて再建乳頭と対面だ……とワクワクしていたのだが、今日は大きなカバーを外しただけ。肝心の部分には、植えた皮膚が浮かないようにと綿の塊のようなものが縫いつけてある。次の外来で抜糸だそうで、対面は先の楽しみということね。

実は、今日ドキドキしていたのは下半身の傷のチェックの方だった。手術の時は麻酔で眠っている状態だったから開き直っていられたが、意識のある状態でそういう場所を見られるとか恥ずかし過ぎる、どうしよう、って。婦人科の先生になら平気なのに、科が違うと恥ずかしいなんて不思議だ。形成外科の外来診察室には当然ながら婦人科のような診察台がないわけで、どういう姿勢でどうやって見るんだろう?と、脳みそがパンクしそうになっていたのだ。
結局、下半身の傷は見られなかった。2〜3日もすれば傷はくっつくし、溶ける糸で縫ってあるので抜糸も要らず、後は「自分でテープ貼り替えてねー」とのことだった。
この日、下半身のシャワー許可は出た。綿が縫いつけてある胸に関しては、濡らすのは厳禁、水滴が飛ぶことや湯気で湿らすことにすら要注意とのことで、ラップとテープでガードしろと言われた。
「うっかり濡らすと?」尋ねてみると
「後になって植えた皮膚がズルって剥がれちゃうことがあるんですよ〜。乳輪ズレちゃうかもよ」ですって。えーっ、乳輪ロンパリ状態とか、そんなの嫌すぎる。

それから4日後の2月24日、またもM病院の診察日。私が待合室に入ると、ちょうど診察室から出て来たのは入院時に一緒だったHさんだった。退院後2ヶ月もすると通院ペースもだんだんすれ違いになっていったから、直接会ったのは9ヶ月か10ヶ月ぶりになるんじゃないかしら。なんと、2週間前に乳頭乳輪の手術を受けたのだそうだ。乳房再建の手術も2週間違い、今度の手術も2週間違い……ということは、定期検査もだいたい同じペースになるのかしら? とりあえずお互いの無沙汰を詫びて懐かしがる。

「結局、手術したんだね。悩んでいるっていってたのに」
「うん。やっぱりね、ちゃんと完成させたくなっちゃって」
Hさんが乳頭乳輪再建をためらっていたのは、費用の問題だった。保険適用手術でないのだ。厚生省的には、乳癌で喪った乳房を再建するのは病気治療と見なすけれど、授乳機能のない乳首を作るのは美容手術の範疇であるという判断なのである。ふくらみ+乳頭+乳輪と3つ揃って初めて “おっぱい” になるのに、保険診療的には別々になっちゃうのね。それでも大半の形成外科では名目を立てて保険適用させているらしいけれど、S先生はそういう抜け穴を通してくれない。そういうわけで、S先生の乳頭乳輪再建手術、なんとお値段は80万円!なのである。

Hさんの言葉は続く。
「乳首だけ保険でやってくれる他のところで……と考えなくもなかったけどね。でもさあ、もうこれは技術料なんだ!って思うことにしたのよ」
そうなのだ、S先生の乳頭乳輪再建は芸術的に美しいと専門医の間でも定評があるのだ。S先生に作ってもらったという乳頭乳輪を患者さんに直接見せてもらったことがあるが、本物と見紛うばかりだった。私の1年半前に再建した人が直前にくれたメールには「S先生の魔術はホントに凄くて、率直な感想として、反対側の本物よりエロいんですよ。きっと気に入ると思いますよ〜(^-^)」とあった。本物よりエロいの? わあ、これって最上の褒め言葉じゃない?

自費診療なので、80万に消費税までプラスされるわけだ。折しも消費税が8%に上がる直前だった。
「どうせなら消費税上がる前にって思ってね」
「そうそう、私もそう思った! 3%の違いは大きいよね〜」80万円の3%だと……2万4千円も違う計算になる。
再建後1年ちょっと経ったわけだが、Hさんは乳房の上の方──デコルテに近い部分がまだ固いのだそうだ。溶解脂肪をダダ漏れさせた私は半年以上前に健側と同等の柔らかさになっているというのに。
「そういえば先週の外来でKさんに会ったよ! 元気そうだった」Kさんは私の2週間後に再建手術をしたのだが、ほとんど滲出液が出なかったので、3週間でサッサと退院して、その後の通院も数回のみだった。彼女の再建乳房はいまだにひと回り以上大きくて固いのだという。
へえー、滲出液が出ないということは移植した組織が柔らかくならないってことなのか……。本当に回復の経緯はひとりひとりみんな違う。誰一人として同じ道筋を辿っていない。そこまで話したところで私が診察室に呼ばれた。

乳頭乳輪再建から6日間経過した今日は抜糸だった。植えた皮膚が浮かないように縫い付けられていた綿の塊がまず外される。それからプチプチと抜糸が始まった。いよいよ再建乳首と対面かとワクワクしていたのだけど、診察台に仰向けに寝かされてしまったので、どういう状態になっているのかよく見えない。でも少しだけ頸を持ち上げてそろーっと目だけ動かしてみるけれど、処置をしているS先生の手元が邪魔になって全然見えない。まあいいや、家に帰ってからじっくり見ようと思っていたら、魚の目パッドのような穴あきスポンジが被せられてテープで厳重に保護されてしまった。まだ今日のところは3分の1程度しか抜糸しないからなのだそうだ。正面からちゃんと見るのはまたもお預けになってしまった。

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