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ホルモン治療薬あれこれ

ちょっとだけ時間を戻して、形成ではなく乳腺科でのお話。

2014年5月。あと2ヶ月でホルモン治療を初めて丸3年になる。ちょうど閉経のタイミングだったのか薬がとどめを刺したかは不明だけど、治療を始めてから生理は一度も来なかった。そろそろ、薬を切り替える頃合なのではないかしら? 私より1年ちょっと早く発症した同い年の友人は、術後1年半ほどで早々と薬が切り替わっていたこともある。でも彼女は私より悪性度の高い癌だし、彼女は5年間と言われているけど私は10年間という話だし、一概に同一ではないだろうし……そんなふうに常に頭の中に疑問はあった。
乳癌治療のホルモン療法については自分なりにいろいろ勉強して自分なりに理解してはいたけれど、いずれ先生から直接説明してもらおうと考えていた。

Y先生のクリニックを受診した17日、その日は私が最終の患者だった。ひととおりの診察を終えてから尋ねてみた。
「先生。時間あったらホルモン剤のこといろいろ教えてもらいたいんですけど……」
「うん、いいよ」先生は二つ返事で紙に書きながら説明を始めてくれた。こういうふうに気軽に何でも聞けるところがY先生のいいところ。
Y先生の説明は簡潔でありながら要点はきっちり押さえてあって、とてもわかり易かった。

なんと1960年代までは外科的卵巣切除がホルモン療法の主流だったというのだからびっくり。ある意味究極の治療法ではあるけれど………。現在の乳癌のホルモン治療は内分泌療法で、大きく分けて4種類ある。

その1番目が抗エストロゲン剤で、癌組織に存在するホルモン受容体にエストロゲンが結合しないように代わりに結びついてブロックするもの。私がこれまで服用してきたノルバデックスがそうで、薬剤名はタモキシフェン。ジェネリックではタスオミン、薬剤名そのままのタモキシフェンがある。閉経前の若い患者から閉経後の患者まで幅広くコンスタントに使える。ホルモンの内分泌治療では長らくこの薬一択だった。50年近くの長い歴史のある薬で、術後5年間の服用で再発抑止率が50〜70%も上がるのは実証済み。さらに5年プラスした10年間の服用で、私のような晩期再発型の10年後以降の再発がさらに抑止されるデータも最近出た。

まだ月経がある若い患者の場合は、卵巣からどんどんエストロゲンが分泌されてしまうので血中のエストロゲン濃度が高く、抗エストロゲン剤だけではブロックしきれない。そのため卵巣の働きを止めておく治療を上乗せしないとならない。これがLH-RHアゴニスト製剤で、ゾラデックスやリュープリンなどがある。4週間に一回あるいは12週間に一回、お腹に皮下注射する。この注射はかなり痛いので、痛み止めのための注射を先に打ったり、事前にペインレスシートを貼っておく必要がある。
本来あるべき機能を強引にストップさせて、年齢的にはありえない閉経状態を作り出すわけだから、副作用はかなりつらいことだろう。注射を打っている2年間は排卵が止まり妊娠もタブーになるため、挙児希望の人にとってはその後の人生設計を大きく狂わせてしまう治療にもなる。私はギリギリ逃れられたけれど、罹患がもう数年早かったら、この治療を受けていたことだろう。

3つめが閉経後治療に使うアロマターゼ阻害剤。閉経して卵巣からエストロゲンが分泌されなくなっても、脂肪組織からエストロゲン状の物質を作り出してしまうそうで、閉経後の肥満が乳癌リスクを著しく上げるというのはこういう理由から。そのおかげで閉経後でも若々しさや瑞々しさをある程度保つもとができるのだけど、乳癌のためにはよくないわけで。アロマターゼ阻害剤はその生成を邪魔するお薬だ。この薬が登場して、抗エストロゲン剤続行組と中途切り替え組とでデータを取ったところ、切り替え組の方がさらに40%も再発を抑止できることもわかった。とはいえ、とにかくアロマターゼ阻害剤を投与すればいいかというと、実は切り替えのタイミングの見極めはとても重要なんだそう。
自然に生理が止まって2年経過したらだいたい閉経とみなすのだけど、生理がなくても卵巣からエストロゲンがある程度分泌されている場合があり、この場合は完全閉経とは言いがたい。化学療法のダメージによって生理が止まっていても、卵巣機能が完全停止したわけでなく一時休止という場合もあるわけで。そういう場合、アロマターゼ阻害剤投与が刺激になって生理が戻ってしまうことがあり、そうなっては逆効果だからだ。

最後の4つめのホルモン治療は癌細胞のホルモン受容体に直接働きかけて破壊するもの。この薬は今のところ再発乳癌にしか保険適用はない。

4種類のホルモン治療について説明してもらったあと、私が切り替えを予定しているアロマターゼ阻害剤について疑問に思うことをすべてぶつけてみた。まだ7年間も続くホルモン治療、しっかり理解して納得して、逃げ道も確保した状態で臨みたいものね。
たとえば、アロマターゼ阻害剤の副作用がどうにもつらい場合、ノルバデックスに戻すというのもありなのか? という問いには、やむをえなくばありとの答えだった。
「だってねえ、どうしても嫌って言われたら無理強いはできないでしょ」先生は笑う。
副作用といってもいろいろある。痛いとかだるいとか暑いとか患者本人が自覚するものは、個人個人による感じ方によって大きく異なってくる。どうにも耐えがたく思うか、このくらいなら再発しないために頑張ろうと思うか──。問題になってくるのは、極端な骨量低下とか肝機能障害など、数字にハッキリ現れて許容範囲を大きく外れてしまう重篤な副作用だ。こういう場合は即座に休薬しなくてはならない。

ただ、抗エストロゲン剤はノルバデックスと同成分のジェネリック薬一種類しかないが、アロマターゼ阻害剤にはアリミデックスとアロマシンとフェマーラという3系統があり、そのそれぞれにたくさんのジェネリックが存在している。最終的には同じ効果をあげるわけだが、3つの薬はみんな主成分が異なるので作用するメカニズムも異なり、副作用も微妙に異なってくる。つまり、重篤な副作用が出たら別系統の薬にチェンジしてみるという選択肢があるわけだ。あっさりノルバデックスに戻すよりは、いずれかのアロマターゼ阻害剤を服用した方がいいのだから。

しっかり説明をしてもらって質問にもきっちり答えてもらえて、疑問に思ってたことが腑に落ちたし、不安も払拭された。薬は何種類もある、ダメだったら今の薬に戻ったっていいんだ。それがわかっただけで気持ちのありようがずいぶん違う。
「じゃあ、来月血液検査してエストロゲン数値を調べようね。その結果みて薬を切り替えよう」Y先生の言葉に大きく頷き、たくさん時間を取ってもらった感謝の言葉とともに診察室を後にした。

ところで、今の私の最大の課題はダイエットとシェイプアップである。
乳房再建前にはせっせと筋トレにに励み、4kg近くも減らして手術に臨んだというのに、術後8ヶ月であっさり3kg戻ってしまった。再び頑張ってなんとか1kg減らしたものの、乳頭乳輪再建の手術前に「景気つけなきゃ勢いつけなきゃ」とかなんとか理由をつけて、カニ食べたりちょいと豪華ディナーに行ったりしていたら、手術しても身体のダメージなんて全然なくて、かえって2kgも増えてしまった。2〜3kg減らしたいと言っていたのに逆に増やしてどうするの!

それにしても……。再発防止のためには肥満は厳禁なのに、再発予防のお薬の副作用が「体重増加」だなんて。このジレンマったらない。

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