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形成手術って気長でないと立ち向かえない

2014年10月19日、朝日新聞に新たな乳房再建方法の臨床研究の記事が出た。2013年に再建手術の保険適用範囲が拡大されたことやアンジェリーナ・ジョリーの予防的乳房切除があったりしたことで、ここのところ話題となるのは人工物での再建ばかりだったが、この記事の内容は自家組織再建についてだった。

シリコンでの再建の場合、エキスパンダーを一定期間挿入して皮膚をのばしておく。シリコン再建か自家組織再建か患者が迷っている場合や、まず乳癌治療が一段落してから改めて再建に取りかかりたい場合などでも、最初の腫瘍切除手術時にとりあえずエキスパンダーを入れておくことは多いそうだ。つまりは出来るだけ低侵襲ですむようにとのことだろうけれど……私のような体質だったら、この段階で余計に皮膚をボロボロにしてしまうだけだ。

この日の記事に出ていた現在進行形の臨床研究は、乳癌手術で切除した乳房を特殊な装置で吸引して皮膚を伸ばして、お腹の脂肪注入して再建するというもの。入院の必要もなく、身体に傷痕も残らず、自然な乳房になる……らしい。でも、そんなに単純で簡単な話ではないと思う。そんなことは乳房再建の現場で右往左往した私には容易に想像できる。

胸に装着するという特殊装置ブラバ(Brava)。もともと美容医療の豊胸で用いられている方法だそうで、ブラジャーのような形をしたプラスチック製のカップなのだが、小玉スイカを半分に切ったくらいの大きさだろうか、少なくともトイレ詰まりに使うラバーカップ……アレよりは確実に大きい。こんなものを胸に装着するってどうなの?? そのシルエットを想像するとなんだか笑える。“女王さま” のボンデージスーツみたいになるんだろうか。
装着後、モーターでカップ内の気圧を下げて皮膚を引っ張って伸ばすのだが、脂肪注入の前後に4週間ずつ、一日10時間以上つける必要があるそうだ。簡単に言ってくれるけど、これってかなりの苦行なんじゃなかろうか?
で、最大の副作用は皮膚の炎症だそう。ああ、これは私には絶対無理な方法だわ。貼りっぱなしのテープの角ですら刺激になって腫れたりかぶれたりするのに、固いプラスチック当てて圧かけて10時間×8週間とか……ありえない! 私の皮膚はボロボロになるに違いない。カップの縁部分が輪っかの形に腫れるかも。

なんとか皮膚障害を起こさずに無事に皮膚が伸びたとして。
今度はお腹や太ももから吸引した脂肪を注入していかなくてはならない。この脂肪吸引もそう簡単ではないはずなのだ。ダメージを受けるのはドナーになった部分で、ガードルで何ヶ月間か圧迫する必要があったり、内出血してしまったり皮膚表面がデコボコになってしまったりというトラブルも多い。それも3〜4回に分けて少しずつ注入していくとのことで、いちいち入院の必要はないとはいっても一回の施術に数時間はかかるというし、痛みだってあるだろうし、やっぱり大変なことだと思う。
そもそも脂肪注入のみで作った乳房はうまく定着しなかったり、徐々に吸収されていって小さくなってしまうのが定説だった。臨床研究をしている教授は「カップで皮膚を伸ばすことで血行がよくなり、脂肪も定着しやすくなると考えられる」と話しているそうだが、それはあくまで理論上のことであり、80人ほどの2年間程度の経過観察結果でしかない。もっと長期的にみて再建乳房がどのように変化していくかのデータはまだ出揃っていない。
となると、萎んできたあたりでまた脂肪吸引して注入して……を繰り返していくわけだが、立て続けに何度も手術を受けるのって、かなり気持ちに勢いが必要なものなのだ。間が空くと面倒になったり怖くなったり気力が萎えたりしていくはず。
また、臨床研究といっても数十万円以上かかる費用はすべて患者負担となる。

いずれにしても乳房再建に早道はないのだ。簡単な方法などない。
完全に元通りに戻ることを前提にしてもいけない。再建とは、文字通り「再び建てる」ことなのである。「再び生まれる」わけでもないし「再び現れる」わけでもない。出来うる限りで元通りに近づけることを目指しているのだ。そのためには回り道もするし、膨大な手間や時間がかかる。

形成手術全般に言えることだけど、本当に気長でないと立ち向かえない。

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