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再建ゴールを求めて最後の手術

2015年6月12日の朝、背中の傷の修正手術のために久し振りでM病院に入院した。
乳房再建に完璧を求めていったらキリがない。そもそも再建していなくても身体は老化していくわけだから。美容整形のような不自然な美しさやアンチエイジングを目指しているわけでもないが、自分でここまでと思えばそれがゴールなのだ、きっと。
乳癌告知から4年弱、乳房再建手術から2年半。私はゴールを求めて最後の手術を決めた。
また痛い思いはするし、しばらく通院もあるだろうし、煩わしいこともたくさんなのだが、ようやく見えてきたゴールに私はちょっとウキウキもしていた。

受付で入院手続きをすませ、形成外科の受付に立ち寄ってから病棟にあがる。2年半ぶり4度目になるM病院の入院だが、つい3ヶ月前に大規模な編成替えがあったそうで、ナースチームやその他のスタッフにも見知った顔が一人もいない。病棟のフロアも東から西へと移動していて、窓からの景色もまるで違う。
部屋に落ち着いて荷物をほどくのもそこそこでT先生に呼ばれた。

外来の診察室に行って手術のための設計図引きをする。
このとき私の再建乳頭には潰れ防止の秘密兵器が貼付けてあった。つい最近、他院で再建した友人に教えてもらった授乳用のニップルシールドである。陥没していたり傷があったり擦れて痛かったりの乳頭を保護しながら授乳できるというもので、透明な薄いシリコン製で哺乳瓶の乳首のような突起がついている。赤ちゃんがくわえやすいように突起の先は長くなっていていくつか穴があいているので、先端部は自分の乳頭の高さにカットしてある。特にテープ留めなどしなくても薄く乳液を塗っておけば肌に貼付いているので、かぶれやすい私の肌でも問題ない。ただし、ノーブラではいつの間にかズレてせっかくの乳頭が変形するのでダメ。

診察室で服を脱ぐなりこのニップルシールドをT先生に自慢した。
「えっ、何これ! いいね」
「授乳用のね……」ニップルシールドとはどういうものかをトクトクと説明する。
「へえええええー、いいねえ」
「先生、赤ちゃん産んだのに知らないのお?」
「うん、知らなかった」
T先生はニップルシールドの写真を撮ったり商品名をメモしたりしていた。

デザインをすませて病室へ戻る。最初は12時までは飲食可ということで昼食を食べるつもりだったのだが、手術が14時からと決まって中止になった。ところがキャンセルの伝達がされてなくて、昼食が届いてしまった。
一瞬やっぱり食べていいのかなと思ったのだが、確認してみたらやっぱりダメということで、見るだけ匂い嗅ぐだけで取り上げられてしまった。プリンだけでも食べたかったな……。

連れて行かれた手術室にはT先生と介助のナースと雑務のナースの3人だけ。手術室も手術内容もとてもこじんまりしているみたい。

背中の手術だから体位はうつぶせなのかと思ってたら、横向きなのだという。点滴や血圧計をつけた左腕を台の上に投げ出すようにして、右腕で枕を抱えて横向き姿勢を固定する。全身をシーツのようなものでふんわりと覆われて、顔の部分だけ少し開いてくれた。
「音楽のリクエストありますか?」ナースの手にあるのは有線チャンネルの番組表だ。
「えっ、好きな曲かけてくれるの??」それはなかなか素敵なサービスだけど、どちらかというと患者の好みの曲より執刀医がやりやすいBGMの方がいいような気がする。とりあえず見せてもらうが、ものすごい番組数だ。羊を延々数えるものとか、アニソンとか、浪曲とか落語とか、そういうのリクエストしちゃう人いるんだろうか。イライラしたり眠くなったりノリノリになりすぎても困る。
「……今かかっているままでいいです」流れているのは無難なオルゴール音のクラシック曲だ。

T先生が背中側に座り、手術台の高さを調整し、いよいよ手術開始である。
丁寧に術野を消毒後、傷痕を取り囲むように麻酔の注射を何本も打たれた。ものすごく痛い。麻酔が術部に行き渡るように、さらにぎゅうぎゅうこねるように揉まれる。ものすごくものすごく痛い。……が、だんだん痛みの感覚が薄れてきた。
「これ痛い?」T先生がところどころを突ついたりつまんだりしている。
「うーーん、ちょっとつままれてる感じ?」
「じゃ、ここは?」
「……軽く引っぱってる??」
「ものすごーく引っぱってます。ありえないくらい」
「えっ」
「よし、麻酔効いてきたかな?」T先生は背中をピタピタと叩いたり引っぱったりしている。痛みはないのにそういう感触だけは伝わってくる。
かすかにチリチリというレーザーメスの音と肉の焦げる匂い立ちのぼってきた。硬くなった瘢痕鉤縮部分が削り取られ始めたのだ。少し削っては引っぱり、削っては引っぱり……まるで超強力なガムテープを引き剥がされているような感触だった。

私は局所麻酔の効きが弱いので、途中で何度か麻酔を追加してもらった。麻酔の効き具合は先生の方からはわからないので、わずかでも痛みを感じ始めるとどんどん申告する。「あっ痛ッ」と小さく悲鳴をあげると、若い方のナースがすぐさま飛んできて、私の眼を覗き込みながら手をギュッと握ってくれる。うーーん、これはおばちゃんでもウルッときてしまうので、おじちゃんなんかは感涙モノかもしれないぞ。

「キシロカイン5ml……いや10ml持ってきて」T先生も最初は5mlを1本ずつ追加していたのだが、私があまりにちょくちょく痛がるのでいきなり倍量に増量。
「全身麻酔でやった方がよかったかしら?」
確かに全身麻酔なら手術中の痛みや緊張感はないけれど、その晩はずっと水も飲めずにベッドに固定されてなきゃならないでしょ。それが嫌。

瘢痕鉤縮を削り終わると、周辺皮膚を引っぱって引っぱってたぐり寄せ、医療用ステープラーで何ヶ所か仮止めしていく。端から丁寧に縫いながらステープラーの針を抜いていく。その後、テープでがっちり留める。
2時間かからずにすべて終わった。

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