赤系の色 -その1-

赤(あか・あけ)

 
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#D60202
C7:M90:Y100:K1

加法混色(RGB)の三原色のひとつで、緋、紅、蘇枋、朱色などの総称です。語源は「明(あか・あけ)」であるとされていて、黒の「暗(くら・くろ)」に対しての光の明暗表現に由来します。上古(大和・奈良時代)には「黄」も赤の範疇でした。
染色での「赤色」は黄櫨(はじ)の下染めに茜(あかね)を灰汁媒染で混ぜたもので、禁色のひとつで臣下は使用出来ませんでした。黄色に赤味の加わった暗調を帯びた色。

「又宇陀の墨坂神に赤色の楯矛を祭り、又大坂神に墨色の楯矛を祭り」
──古事記・中(712)

紅色(べにいろ)

 
R189:G0:B71
#BD0047
C17:M100:Y62:K5

ベニバナの花弁から採った色素の色。もともとはエチオピアやアフガニスタンが産地で、中国から伝来しました。紫がかった鮮やかな赤です。奈良時代から化粧料として用いられました。

「此手拭が湯に染まった上へ、赤い縞が流れ出したので一寸見ると紅色に見える」
──夏目漱石 坊ちゃん(1906)

紅(くれない)

 
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#BA0B37
C17:M99:Y78:K9

ベニバナで染めた色。紅色と本来は同じですが、衣を染める時は黄色で下染めをしたので、若干黄味を帯びてやや濃くくすんだ色になります。「くれない」とは「呉(くれ)藍(あい)」の変化したもので、中国(呉)伝来の藍色を指しました。

「桃の花 色ににほひたる 面輪のうちに 青柳の 細き眉根を 笑みまがり」
──大伴家持 万葉集一九・四一九二(平安初期)

深紅・真紅(しんこう・しんく)

 
R153:G0:B21
#990015
C25:M100:Y100:K20

茜や蘇枋の赤色に対して、正真正銘の紅色という意味です。暗みのある濃い赤。

真紅と云はまことの紅染と云事也。あかねなどにて紅染の似せ物ある故ほんの紅染を真紅と云」
──随筆.貞丈雑記・三(18世紀頃)

薄紅(うすべに・うすくれない)

 
R187:G61:B74
#BB3D4A
C19:M84:Y64:K7

薄い紅色。

「類ひなき思ひではの桜かなうすくれなゐの花のにほひは」
──山家集・上(12世紀頃)

退紅・褪紅(たいこう)

 
R219:G118:B123

#DB767B

C10:M65:Y36:K2

紅染めの薄い色。一般的には薄紅よりさらにくすんだ色を指します。「退」とは「減ずる」という意味なので、洗い落としたような色をいうのかもしれません。紅色は禁色でしたが、この程度の色なら許し色として使うことができました。

「前の方は、退紅の狩衣をぞ着たりけり」
──古今著聞集九・三四六(1254)

今様色(いまよういろ)

 

R199:G80:B96

#C75060

C16:M80:Y48:K4

当世流行のベニバナで染めた色の意味。つまりは平安時代の「トレンドカラー」といったところです。一般的には紅梅色の濃い色を指したようです。

いまやう色とは紅梅のこきを云なり。たとへばこき紅にもあらず、又こうはいにもあらぬはしたの色にて此頃いできたる色なればいまやう色とはいへり。大略ゆるし色とおなじきなり」
──花鳥余情・四(1472)

唐紅・韓紅(からくれない)

 
R187:G7:B27
#BB071B
C16:M100:Y100:K5

紅染めの濃い色。特にビビッドな赤をいいます。紅は高価でしたから、この色は非常に高貴な色でした。唐や韓からの鮮やかな舶来の紅色を賞賛して使い分けたと思われます。

「ちはやぶる 神世もきかず たつたがは から紅に 水くくるとは」
──在原業平 古今和歌集・秋下・二九四

緋色(ひいろ)

 
R214:G33:B34
#D62122
C5:M96:Y100:K1

紅とウコンなどの交染で染出した鮮やかな赤。緋は「あけ」と読みました。もともと赤とは「明(アカ・アケ)」が語源で、光の明暗を示す表現に由来します。「ひいろ」という読みは「火色」からきたとも言われます。洋色名ではscarlet(スカーレット)がこれに当たりますが、もっと鮮やかな赤です。

「高蒔絵にの房の付いた美しい文箱を取り出して来た事も」
──夏目漱石 硝子戸の中(1915)

浅緋(うすあけ、あさひ)

 
R162:G73:B97
#A24961
C25:M77:Y36:K19

浅く染めた緋色。緋褪色(ひざめいろ)ともいいます。

「又服制。〜(略)〜直冠上四階深緋。下四階浅緋
──続日本紀・延暦16年(797)

深緋(こきひ、ふかひ)

 
R121:G19:B25
#791319
C15:M95:Y90:K47

濃い緋色。茜根に紫根を混ぜて染めた色です。

深緋 四位の着る色なり」
──装束抄(1557頃)

猩々緋(しょうじょうひ)

 
R206:G7:B7
#CE0707
C4:M91:Y97:K0

鮮やかな黄味の赤。名前の由来は、猩々(オランウータン)の血の色で染めたとも、能の「猩々」の装束の色からとったとも言われています。この色の名前が定着したのは江戸時代初期でした。

「本朝の織絹、から物を調へ、毛類は猩々緋の百間つづき」
──浮世草子・日本永代蔵六・二(1688)

蘇枋(すおう)

 
R137:G26:B60
#891A3C
C28:M95:Y57:K29

豆科の樹木スオウの樹皮の煎汁で染めた色。灰汁を媒染にすると紫を帯びたくすんだ赤に、ミョウバンを媒染にすると鮮やかな赤になります。この場合は「赤蘇枋」と呼びます。このスオウは熱帯産の植物でやはり中国から伝来しました。蘇芳・蘇方・朱枋などとも書きます。

「松の色はあをく、いそのなみは雪のごとくに、かひのいろはすはうに、五色にいまひといろぞたらぬ」
──土佐日記(935〜945頃)

薄蘇枋(うすすおう)

 

R174:G82:B116

#AE5274

C24:M75:Y23:K14

薄い蘇枋染めの色。浅蘇枋ともいいます。

浅蘇枋綾一疋。蘇枋小五両、酢一合、灰八升、薪六十斤」
──延喜式・一四・縫殿寮(927)

茜色(あかねいろ)

 

R152:G0:B44

#98002C

C26:M99:Y81:K20

茜草の根から採った染料で染めた色。歴史は非常に古く、アカネの語源は「赤根」からだとされています。この色は西洋でも古くからあり、地中海沿岸産地の西洋茜で染めた色はmadder(マダー)といい、トルコ人がかぶった帽子の「トルコ赤」という色も茜根染めだったそう。

「茜さす 紫野行き標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」
──額田王 万葉集・一・二〇(平安初期)

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