第1話 落ちて来た小さな茶色い天使

ぼくはポチくん。すずめです。
1995年の7月2日。東京は青山の路地裏の駐車場に落ちていた、ぽやぽやのヒナでした。どうもトラックの上に落下してそのまま運ばれてきてしまったみたい。
とてもとても暑い日で、おまけに脚に羽毛ががんじがらめにからまっていて歩くことも出来ず、そのままでは熱死か、轢死か、猫かカラスの餌になるところだったでしょう。


仮死状態のぼくは、とりあえず水を飲ませてもらい、おかあさんは大慌てで小鳥のすり餌とスポイトを買いに走ってくれました。ちぎった新聞紙をたくさん敷いたおうちをダンボールで作ってもらいました。
ぼくはいつもピーピーと泣いていたし、ご飯も1時間おきにもらわなくてはならなかったので、ダンボールのおうちはそのままキャリーバッグとなって、おかあさんの会社と自宅を往復する日々が始まったのです。

ぼくは時々かごから出て自由にさせてもらえます。事務所には楽しそうなものがいっぱいあるので、とても嬉しいです。
ただね、ウ○チを決まった場所でしてくれという頼みはちょっと聞けないな。だめなんだよ、いつでもどこでもすぐ出ちゃうんだもん。

おかあさんの仕事はとても不規則で徹夜なんかザラです。ぼくもつきあいます。ぼくは宵っ張りで朝寝坊なすずめになってしまいました。鳥が早起きなのは本能ではないみたいだね。
ぼくはみんなと一緒にいるのが好きなので、ひとりぼっちで暗い場所に置かれるのはいやなんだ。

暗いところが嫌いなぼくは、眠くなってくるとおかあさんの手の平をゲットしにかかります。だっこされて眠りたいの。
仕事中のおかあさんは大迷惑みたいだけど、そんなこと知ったこっちゃない。

どうしてもどうしても手の平がゲットできないときは、なんでもいいから何かにくっついて眠ることにしています。本の山とか、誰かのひじの内側とか…
ライトに煌々と照らされていても、お構いなしです。

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