Le moineau 番外編

2012年10月26日

 
     
 

名物パンケーキの朝ごはん

明け方近くに小一時間ほど微睡んだものの、ほとんど眠れないままNYでの最初の朝がきた。鼻水とくしゃみはあまり治まってはいないけれど、倦怠感や頭が重いなどはないので、日中の行動は普通に出来るでしょう。

Mちゃんは今日もお客さんのZ夫妻の案内をするとのことなので、私はひとりでNY歩きをするつもり。今日はメトロポリタン美術館に行こうかな。
「お客さまを朝食にパンケーキの美味しい店にお連れするんだけど、気さくな方たちだから一緒に来る?」
Mちゃんが誘ってくれたので、ありがたく同行させてもらうことにした。これから出勤するMちゃんのご主人がしっかり朝ごはんをとっているテーブルで、私たちはカフェオレとちょびっとのフルーツをつつくのみにとどめる。

Z夫妻のステイ先はMちゃん宅からほんの2〜3ブロックほど離れたホテルなので、中間地点の路上で待ち合わせ。Mちゃんの言う通り感じの良さそうなご夫婦で、私の朝食同行を気持ちよく了承してくださった。
そこから地下鉄1線に乗って110丁目駅まで北上する。昨日のメトロカードにチャージは残っているけれど、とりあえず$29の7日券を買う。これでバスも地下鉄も一週間乗り放題! 13回で元が取れるんだもの、ガンガン使ってやるんだぁ!

Mちゃんが連れて来てくれたのは『Community Food & Juice』[WEB] というお店で、コロンビア大学にほど近い113丁目にある。私は“話題のお店”みたいなのにあまり興味がなくて下調べもロクにしてなかったのだけど、NYベストパンケーキに選ばれてガイドブックにも必ず載って各国人観光客から地元客まで行列必至の『Clinton Street Baking』[WEB] という店があって、ここはその姉妹店なんだって。味はほとんど同じな上に、テーブル席数のキャパも大きいし、このエリアまで来る観光客は少ないし、とのこと。在住の人と一緒だとこういうところが嬉しいわね。ほぼ満席に近い状態で賑わってはいたけれど、ほとんど待つことなくテーブルに案内された。

20年前のNY訪問では“若いムスメ”だったこともあって、「お洒落そうなものはひととおり押さえておかなくちゃ」と朝パンケーキをした。翌年LAに行った時も、その後オーランドに行った時も、定石通り1回か2回は朝パンケーキをした。……で、わかったんだけど、私ってあんまりアメリカン・スタイルのパンケーキ好きじゃないかも。びちゃびちゃにシロップ浸けにすることを前提としているのかタネにしっとり感が少なく、カロリーを気にしてシロップを控えると胸や喉がつかえて食べ進んでいけない。それ以前に量が多過ぎ。「美味し〜い」などと最初は思っていても、延々同じ味が続くので飽きてくるのよね。旅雀放浪記を読んでくれている方にはおわかりでしょうけど、私は「出されたものは残せない」という性分なもんだから、苦しかろうが飽きようが頑張って食べ続けてしまうのだ。こればかりはしょうがない。

ブルーベリーをタネに練り込んで焼いたふわふわのパンケーキがなんと3枚! 味の決め手はたっぷり添えられてくるメープルバターソース。この際カロリーは気にしていられない?

ファーマーズ・プレート。卵が3個くらいある感じだけど、アメリカで出てくるものとしては“日本人に適量”

そういうわけで、名物パンケーキはMちゃんのものを味見させてもらうことにして、私は炭水化物の分量が少なそうなファーマーズ・プレートというものをオーダーした。バターとチェダーチーズたっぷりのスクランブルエッグにハーブでソテーしたトマトとバゲットが添えられている。このトマトのソテーがなかなか美味しかった。でも、「ファーマーズ」を名乗るのなら、もうちょっと野菜が欲しいところだけどね。
店の名物というブルーベリー・パンケーキは確かに美味しい。私が以前食べたものよりはふわふわしっとりしているし、バターメープルシロップの甘さも控えめではある。でもさー、3枚も要らないよ。1枚で十分だわ。

>> ちょうど私が帰国するタイミングでNYの朝ごはんの有名店『Sarabeth's』が鳴り物入りで日本進出してきて、大大大行列とのことだった。時間帯によっては4時間待ちの整理券渡されたとか。こちらの店はレモンリコッタパンケーキが有名だそう。分量はアメリカ本国と同じくらいで出してるんだろうか? たぶん少ないんじゃないかな。それでいて、値段は1.5倍以上。パンケーキと飲み物とで¥2000超えってどうよ? ……と思うのだけど、それは私がオバさんになったってことなのかな

Mちゃんたちはこの後コロンビア大学 Columbia University に行くという。アイビーリーグに属する名門私立大学だ。大学に何しに行くの?と聞いたら、キャンパス内は観光客や一般人がたくさん歩き回っていて、近隣に有名な教会が2つもあるしで、立派に観光地になっているとのこと。へぇーーー。歴史ある建物を見ながら広いキャンパンス内を散歩して、エリート学生の気分を味わうっていうのも悪くない。
「よかったら一緒に行く?」と誘ってもらえたが、でもやっぱり初志貫徹で美術館に行くことにする。

通りがかったスーパーマーケットの店頭には色鮮やかな野菜たち。写真だとよくわからないけど、このパプリカは日本のものの2倍くらいある

もうすぐハロウィンなので、かぼちゃもたくさん売っている

20年ぶりMetのリピート

Mちゃんたちと別れ、再び地下鉄1号線の110丁目駅まで戻って来た。
さて、どのルートで行こう? 86丁目まで地下鉄で下ってからバスに乗り換えてセントラルパークを横断するルートにしようかな。1号線はNY地下鉄の中でも古い路線だから駅構内もかなり古びているけれど、“110st”の駅名プレートがクラシカルなタイル細工になっていたりして、なかなか素敵。

86丁目のバス停は始発のせいもあって、地上に出てすぐ見つけられたし、5分も待たないうちにすぐバスはやって来た。すぐに乗り込んだものの、15分くらい停車したままでなかなか発車しない。その間にどんどんどんどん乗客が乗って来てかなりギュウギュウ詰めになってきた。うっかり2人掛けシートの奥に入り込んでしまったのだが、隣に座ったのは買ったばかりの折りたたみ椅子を2つ持った老婦人。ああ、またも「ちょっと通してください」って言いづらい人だ。私は今回の旅では隣席の人に恵まれないなあ……
車窓から紅葉するセントラルパークが見えるかなあと思ったのだが、路線バスにはありえないスピードでガンガン走るわ座席の位置はかなり低いわ窓ガラスは汚れ放題だわで、全然見えなかった。

メトロポリタン美術館が見えて来た。ん? あの人だかりは何?

ちょうどランチどきなので、階段に座ってサンドイッチなどを食べている人たち。大道芸人も出ているみたい

パークを抜けたところの停留所で降り(椅子を持った老婦人に立ってもらうのはやっぱり時間がかかった)、パーク沿いの歩道を南下していくと、ほどなくメトロポリタン美術館 The Metropolitan Museum of Art [WEB] の威厳ある建物が見えてきた。Met(メット)の愛称で親しまれているこの美術館、一番の特徴は世界各地の芸術や文明を先史から現代までカバーしているジャンルの広さにある。ある意味、百貨店のような美術館なわけ。20年前だってもちろん来ているけど、その全貌どころか3分の1か4分の1くらいしか見ることが出来なかったんだもの。

>> ちょうど同時期に東京都美術館で『メトロポリタン美術館展』が開催されていた。ゴッホの「糸杉」が日本初公開なのが売りのようだけど、この作品は前の訪問では見そびれている。ぜひとも逢いたいと思っていたけれど、そうか、東京にいるのか………

階段を上って正面エントランスから入ると中央にインフォメーションデスクがある大ホールがある。デスクで日本語の案内図をもらえるのだけど、私は今朝Mちゃんに一部渡されている。彼女はお客さんを連れて何度も何度も何度も足を運んでいるので、一見さんがとりあえず押さえておくべき展示物の場所を熟知していて、マーキングまでしてくれてあるの。これを参考にしつつ前回見られなかったところに最優先で行こう!

大ホール左側のチケット売り場で入館料を払うのだけど、この美術館には決まった料金というものはない。英国の大英博物館なども寄付制で、エントランス脇の大きな寄付金箱に好きな金額を入れて中に入った。Metの場合はチケット売り場で自分で金額を申請して払う。懐事情の厳しい学生が毎日のように来る……などの場合は$1だっていいわけだ。
一般的に観光客のみなさんはいくらくらい払うのかな? 私が$20札を出すと係員は「お釣りはいくら?」と聞いてきた。「要らない」と答えると、軽く瞠目してから嬉しそうに「Thank you」と言われたので、多めの部類だったのかもしれない。だけど$20に匹敵して余りあるものを見せてもらうつもりだったもの。きちんと働いている大人なんだからね、私は。まあ、$1が¥80という空前の円安のせいもあってちょっと太っ腹(と威張るほど高く払ったわけではないけど)になってみたわけ。入館料と引き換えにMの頭文字のバッジをくれ、これを見せれば本日は出入り自由。バッジの色は何種類もあって、毎日ランダムに変えられているので、次の日入ろうとしてもバレるという仕組み。申告制だからバレても罰金とかそういうことはないけれど、観光客があんまりセコイことしちゃあいけないよなあ……とは思うよね。

いろいろ取り揃えているMetのコレクションの中でも必見なのは、エジプト美術のコーナーでしょう。ミイラや壁画などもたんまりあるけれど、館内の空間にエジプトの神殿をどどーーんと再現したデンドゥール神殿はきっと一番の目玉じゃないかな。でもね、私、前に来た時に見てるの。建物の中に建物を建てるというアメリカならではのスケールのデカさに唖然としたから昨日のことのように覚えてる。
そういうわけでエジプトコーナーはスルーして、大ホール正面の重厚な階段を駆け上がって2階のヨーロッパ絵画コーナーへと向かった。フェルメールやレンブラント、ルーベンスやゴヤなどの12世紀から18世紀の巨匠の作品がまんべんなく揃っている。その稀少さもあって、もてはやされているフェルメール作品は5点所有しているとのことだけど、全部見つけられなかった。どこかに貸してるんだろうな。ひととおり眺めて歩いて、私はレンブラントの艶やかな黒色が好きだなあ……。改めてそう感じた。

続いて、やっぱり20年前に見ることの出来なかった19世紀ヨーロッパ絵画のコーナーへ。ドガ、モネ、ゴーギャン、ルノワール、ゴッホ、などの印象派が中心で、ピカソ、マティス、ロックウェル、モディリアーニなどの近代美術コーナーへと続いている。クリムト、ミュシャなども1〜2点だけどある。画家別に小部屋に分かれて展示されているので、各作家の世界観の雰囲気にまるっと浸れるのがいいな。ロートレックの作品数が結構多くて、私は嬉しかった。2階のヨーロッパ絵画コーナーの詳しい案内図はインフォメーションセンターにあるようなので、ピンポイントで有名作品のみを押さえたい向きの人はもらっておくといいかも。ただね……もともとあった宮殿や貴族の城館などをそのまま美術館に改装しているヨーロッパに比べ、増改築を繰り返してここまで巨大化したからか、Metってすごく迷うわかりにくい美術館だ。「えーと、次はどっち?」「あれ、ここはさっき通ったよね?」となる。

ここのピカソのコレクションは割と初期のものがほとんど。私の大好きな“青の時代”の作品がいくつかあったので、しばらく佇んでうっとりとしていた

メインのミュージアムショップは1階の大ホールにあるけれど、各展示物にちなんだ小さなショップはそこここに点在している。後で戻るのは大変なので、気に入ったものがあったら即買いが鉄則ね。私は黒いエナメルの大きなトートバッグと、友人へのお土産用に印象派絵画のマグネットセットを買った。エナメルトートはノートPCでも大判の本でも余裕で入るサイズで、艶やかな黒と鮮やかなマゼンタピンクの内布がとても洒落ていて、愛用しまくっている。

ウォーホル特別展と、かなり穴場の東洋美術

そのままの流れで『Regarding Warhol: Sixty Artists, 50 Years』という特別展のコーナーへ。過去50年間に世界を彩った、アンディ・ウォーホル作品45点と彼に影響を与えられた60人の芸術家の作品100点を並べ、その関係性を探るという趣旨らしい。私は現代美術に関してはそう詳しくはないのだけど、これは企画ものの展覧会としてはかなり出色の出来なのではないか……とは何となく思う。私はずいぶん昔に日本で開催されたかなり大規模なウォーホル回顧展のカタログ制作に携わった(まだ若造だったから「手伝った」程度だけど)ことがあるのだけど、全然見たことのない作品も多かった。プライベート・コレクションからの出品が多いのだ。

現代美術作家60人はデヴィッド・ホックニーとロバート・メープルソープ、村上隆くらいしか知らなかった。でも、どの作品もポップで色鮮やかだし、モンローのポートレートやキャンベル缶などの「あーコレ知ってる!」というおなじみの作品もちゃんとあるから、肩肘張らずに楽しめた。この特別展はかなり混雑していて、少し人酔いしてしまったのかしら、クラクラしてきた。

ウォーホル特別展会場から大ホールを見下ろすバルコニーへと出て、東洋美術のコーナーへ向かう。みんな有名どころを押さえるだけで精一杯でここまで回る余裕はないのか、ひっそり閑散としていてゆっくり鑑賞できる。特に南アジア美術のコーナーは、普段見る機会の少ないインドやパキスタンの仏像が面白い。象の頭の神様ガネーシャ、踊るシヴァ神、ヴィシュヌ神……。ガネーシャ像の足下には何故かコインがたくさん置かれている。なぜ、ガネーシャだけ? 展示室全体の照明を暗く落として、石像作品にスポットライトを当てて浮かび上がらせる展示方法もなにやら神秘的。アメリカ人の好むオリエント趣味丸出しな感じもしないではないけれど、明るくザワザワした特別展を見た直後なのでとても落ち着く。

ジャイナ教の集会場の丸天井が館内にまんま移築されている。側面に階段がしつらえてあるので、真下からじっくり見ることができる。展示室全体の照明が暗いため、ノーフラッシュでブレずに撮るのがなかなか大変

一回ロビーに出てから丸門をくぐってアスターコートに入ると、そこには突然中国庭園が出現する。中国装飾美術の展示などがあるようだけど今回はスルーして日本美術コーナーへ。20年前にも来たけれどね。日本美術のコレクションはなかなか充実していて、なぜコレがココに?と思うものがいくつかある。同時に日本人的にはコレ“美術”になるんだ?と思うものもチラホラ。一番の目玉は尾形光琳の『八橋図』のようだけど、私的には葛飾北斎の『富嶽三十六景』が必見モノ。

ここまで歩いて、かなり疲れてきた。長距離フライトに続けて、昨晩だって変な時間に目が覚めちゃって眠れてないし。風邪気味だからか花粉症のせいか、洟はたれるしクシャミは出るし喉だってザラついている。一階にカフェがあったな。お腹は減っていないけど少し休憩したい。で、カフェを探しながら辿り着けなくて「あー! Metってわかりにくい!」と改めて思うのだ。

館内に突然出現する中国庭園。明時代の蘇州の庭園を模したものだそうで、なんかどこかちょっと違うような気がする……のは、私がアジア人だからなのかしら

メドゥーサの首を持つペルセウスの像。私が好きな彫刻なのだが、そうか! ここにあったのか! 予期しないで好きなものに出逢えた感動って格別

カフェに向かうはずが、私がいるのは何故かギリシャ・ローマの彫刻ギャラリーだった。回廊式のホールには美しい彫刻の数々が並び、高い天窓からたっぷり入る自然光を受けて床に淡い影を落としている……。とても清々しい空気が流れていて、ゆっくりと身を置いていたい、ココはスルーしてはいけない、という気持ちになる。まずカフェ休憩すればいいものだけど、そしたらなんだかココには戻って来れないような気がするの……。(だってMetわかりにくいから)

彫刻を見ながらホールを進んで行くうちに、食器のぶつかり合う音とざわざわしたどよめきが奥から響いてくるのに気がついた。ああ、この先がカフェなんだ……。
もしかして、ものすごく混んでるの? まあね、美術館の規模に対してカフェスペース少なすぎだもんね。あんまりカチャカチャざわざわと騒々しいので、一服する気持ちはすっかり吹き飛んでしまった。いいや、次行こう、次。

リーマンコレクションから屋上カフェへ

カフェへ行く途中の奥に穴場の必見ポイントロバート・リーマンコレクションがある。そう、数年前に経営破綻したリーマン・ブラザース、その3代目社長の寄贈したプライベートコレクションなのだけど、これがすごいのなんのって。
リーマンコレクションのコーナーは美術館の建物からセントラルパーク側に三角形に張り出していて、半地下になった中庭のようなスペースに天窓から自然光が降り注ぎ、その周りを囲むように展示されている。展示室には壁紙や家具など氏の邸宅を再現した場所もあって、このコーナーだけで小さな美術館の体がある。いやいや、下世話なことを言わせてもらえば、作品総額ではそこそこの地方美術館がいくつか束になっても到底敵わないのでは……?

びっくりしたのはルノアールの『ピアノに向かう二人の少女』があったこと。超有名な作品だから、ルノアールの名前を知らない人でも「ああ、この絵は見たことある」と思うはずだ。彼女たちはここにいたのか! オルセーとかオランジェリーにあるものだとばっかり思ってた。その時に見たつもりになってたけど、現物とは初対面だったのね! 彫刻ギャラリーのペルセウス像といい、今日は予期せぬ出逢いが本当に嬉しい。
実は私はこの作品がとても好きというわけではない。そもそもルノアールがそう好きなわけではない。でもこの作品には思い入れがあるのだ。

私は高校時代は美術部に所属していて、ゆるゆるではあったけど週三回部活があって、ゆるゆるながらも部員同士でテーマや目標を掲げたりしていたのだ。「印象派の模写」をテーマにした時があり、部員のひとりが選んだ作品が『ピアノに向かう二人の少女』だったのだ。私自身はおそらくあんまり乗り気ではなかったのだろう、自分の描いた作品は思い出せないのに、隣で友人が少女たちに丁寧に筆を入れていた姿は鮮明に浮かんでくるのだ。

氏のコレクションで私が一番気に入ったのは、ボッティチェリの『受胎告知』。ボッティチェリといえばウフィッツィの『ヴィーナスの誕生』と『プリマヴェーラ(春)』が代名詞的な作品。私は『プリマヴェーラ』が本当に好きで好きで好きで(あの薄衣の軽やかさと黒い背景のコントラストがたまらない)、うっとりしてしまうの。あの2作品は特別大きく、ある意味その大きさも感動の一因ではあるのだけど、その先入観を持っているとMetのボッティチェリは絶対に探せない。だってものすごーーく小ちゃいんだもん。長辺が30cmくらいしかない。それに宗教画を集めた展示室は暗〜いから。マーキングした館内マップを渡してくれる時にMちゃんは「この辺りに『受胎告知』があるけど、小ちゃいから! とても小ちゃいからね」と念を押してくれてあった。よかったぁ! 見逃すところだった。

そろそろ本格的に疲れてきた。そうだよね、歩きづめだもん。ヒナコが一緒だとまず歩行スピードが遅いし、1〜2時間おきに休憩を差し挟まなくてならないけど、ひとりだと欲望興味のおもむくままガンガン突き進んでしまうのだ。時計を見ると、もう2時近い。お昼ごはんは……もういいや、1階の騒がしいカフェに行く気にはならないし。屋上にルーフトップカフェというものがあって、4月末〜10月末までの季節限定で展示コーナー兼カフェになっているらしい。うん、こっちの方が気持ち良さそう。
ルーフトップカフェ行きの専用エレベーターは彫刻コーナーとその先のヨーロッパ装飾美術を抜けた辺りにあるらしいのだけど、案の定またちょっとだけ迷った。ホント、Metわかりにくい。

今回の展示はガラスの巨大オブジェ。日に何回か中に入ることも出来るようだけど、わざわざチケット買うまでもないので、周りを一巡するのみにとどめる

辿り着いたルーフトップカフェはただの屋上の売店だった。屋台に毛の生えたようなところでドリンクとドーナツなんかを売ってるのみで、テーブルや椅子などはない。いくつかベンチはあるけれど人数に対して全然足りてなくて、みんなそのへんに適当に腰掛けている。ちょっとしたスペースがあると、すぐさまパラソルとテーブルと椅子を並べてカフェに仕立て上げてしまうヨーロッパとは文化が違うんだな。とっても小さなことだけど、“欧”と“米”をひとからげには出来ないな、と思う。だって、ヨーロッパの人たちはペットボトルの水は持ち歩いても、紙コップのホットコーヒーを持ち歩くことは絶対にしない。たとえ立ち飲みであってもコーヒーは店で飲み終えるものなのだ。

でも、ルーフトップカフェが名前負けしているかどうかはこの際は問題ではない。 ここでの一番の見ものは、眼下に絨毯のように広がるセントラルパークの樹々とその奥の摩天楼の連なりを一望出来ることでしょ。青々とした樹の海を吹き抜ける風を感じるのも爽やかだろうけれど、この季節ならではの錦繍の眺めはもう最高! 夕日の時間帯なんかも素敵なんじゃないかしら。

パッチワークのように色づいたセントラルパークの樹々を見下ろし、マンハッタンの高層ビル群を遠くに望む。吹き渡る風が心地いい

秋色に染まるパークを通り抜ける

Mちゃんとは3時半に待ち合わせている。ギリギリまでMetを見ようかと思っていたけれど、紅葉のセンラルパークを見下ろしていたら、その中をのんびり散策したくなってしまった。よし、そうしよう!
ちなみに、屋上に来るときはエレベーターなのに、帰りは使わせてもらえなくて階段で降りろと言われる。これがまたスタッフ専用みたいな非常用みたいな階段で………。自分がどこに降りてきたのかわからなくなる。ああー、しつこいようだが、Metわかりにく〜い!

そこからまっすぐ出口に向かったはずなのに、なぜか武器・甲冑のコーナーに紛れ込んでしまった。ここは前に見たからスルーしたつもりだったのに。ここは西洋の槍や鎧などは無論のこと日本の兜や鎧も充実していて、興味のある向きにはたまらないことかと思う。横目で見ながら出口へ駆け抜けたつもりが、今度はエジプトコーナーに紛れ込んでしまった。東洋美術の閑散っぷりとはかけ離れた混雑の中、早足で通り抜けながら横目でレリーフや石像を見る。Met自慢のデンドゥール神殿のあるホールも横切ることとなり、再度しっかり見ることになった。

結局スルーしたものを一通り見ることになってしまい、だったらアメリカンウィングにあるティファニーのステンドグラスも拝んでいきましょうとしたところ、今度は見つけられないままに出口に着いてしまった。ああー、もうMetって……(以下、略)
ステンドグラスを探しに戻るとまた迷宮にハマってしまう気がしたので、美術鑑賞はもうここで終了させることにした。

たかだか出口に出るだけのことなのに、やたら時間を費やしてしまったよ。パークをうろちょろ散策するのは到底無理っぽいので横断するだけにしよう。それだけでも樹々の彩りを十分楽しむことはできるでしょう。
Metと反対側にある自然史博物館を目指していけば迷わずにすむし、そこから地下鉄に乗れば待ち合わせのタイム・ワーナー・センターまで一本で行けるからね。

メトロポリタン美術館から少しだけ南下して79丁目の辺りからパーク内に入った。来週に控えたNYシティ・マラソンのためなのか、それともいつもの光景なのか、ジョギングに余念のない人たちが多い。犬を連れて散歩する人、手を取り合ってゆっくりゆっくり歩く老夫婦、足早に通り抜けていくだけの人、もちろん私のような観光客もたくさんいる。

上から見下ろした紅葉も綺麗だったけど、歩くとまた味わいが異なる。さまざまな秋色に染まるセントラルパーク

ところどころで「コレは!」と思うところで写真を撮ったりしていると、初老の婦人に「メトロポリタン・ミュージアムはどこかしら?」と尋ねられた。またですか!! 実は私は、笑っちゃうくらい人に道を尋ねられるヒトなのだ。地元だろうが旅先だろうがお構いなし。遭難しかけていてようやく人に出会ったというならともかくも、こんなにたくさんたくさん人がいるのにどうして私を選んで聞く?? でもね、私はたった今Metから来たところだからバッチリ教えてあげられちゃうのだ。あっちを渡ってそっちを曲がってだのの複雑な言葉だって要らない。己の来た方向を指差して「Go straight!」と言うのみ。

単純に横断すれば600mちょっと程度の距離を30分近くかけて歩くうちにアメリカ自然史博物館 The American Museum of Natural History[WEB] の建物が見えてきた。2007年公開の映画『ナイト・ミュージアム』の舞台になった博物館で、だからここ数年の人気急上昇っぷりは半端ではないようだけど、私は20年前に訪れている。どころか、NYでの訪問地のなかでベスト3に入れてもいいお気に入りだ。だってほぼ一日中いたもの。動物や恐竜のジオラマ展示がとにかく圧巻!のひとことに尽きる。ミュージアムショップの商品を見るだけでもすごく楽しい。アミューズメントやエンターテインメントという分野に関しては(特に、大人が子供のように楽しむという点において)アメリカは他の追随を許さない……そう思う。
今回の旅でここを再訪するかどうかはまだ決めかねている。だって確実に一日つぶれるもん。

地下鉄に乗ろうとして改札で愕然とした。今朝買ったばかりの7日券がない!
周りに日本人がいないのを幸い「うッそお〜〜ぉ!」などと叫んでしまい、その場にしゃがみ込んで荷物を検分。やっぱりない。

ひき始めの風邪と花粉症と時差ぼけと寝不足でボーッとした頭で一生懸命記憶を辿る。
Mちゃんたちと110丁目まで乗った時に買って……使った。110丁目から86丁目まで戻ってくる時に……使った。
86丁目からバスに乗る時も……使った。
すぐ取り出せるけどなくさない場所にと、ショルダーバッグのファスナーつきの外ポケットにクレジットカードと一緒にしまったんだっけ。しばらく発車せずに座席に座って待っていたので、慌てて突っ込んだりせずキッチリしまいこんだ……はず。
その後Metに入って、入館料はキャッシュで払ったから……別の場所からお札を出した。
それから……そうだ、館内のショップでトートバッグやなんやらを買った時クレジットカードを使ったんだ。あの時に落とした? それしか考えられない。その時以外にポシェットのファスナーは開け閉めしていないもの。

「あああーもう! 馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿……」周りに日本人がいないことを幸いに自分に悪態をつきまくる。$29で3回しか使ってないのかぁ、高い地下鉄料金についたこと。それでもポケットの中にクレジットカードはきちんと入っていたことは良しとしなくてはならない。こちらをなくすことの方が何倍も面倒なんだから。

スーパーマーケットで日常を感じる

仕方なく一回券を買って地下鉄に乗り、Mちゃんと待ち合わせたタイム・ワーナー・センター Time Warner Cente [WEB] へ大急ぎ。でもMちゃんを10分ほど待たせてしまった。

タイム・ワーナー・センターはセントラルパークの南西の角──コロンバスサークル Columbus Circle にある黒っぽいシャープな印象のツインビルで、遠目にもいい目印になる。このあとの滞在ではMちゃん宅へ戻るためのランドマークとしてとてもお役立ちだった。さまざまなショップやレストラン、ジャズクラブ、ホテル、高級コンドミニアム、オフィスの複合施設で、明後日の晩はMちゃん夫妻と一緒にここのジャズクラブでライヴを聴きに来る予定になっている。今晩はMちゃんと二人でオペラを観るのだけど、4幕4時間の長丁場だから終演は確実に11時を回り夕食を食べることは出来ない。地下一階に全米チェーンのオーガニックスーパー『ホールフーズ・マーケット Wholefoods Market』[WEB] があるので、Mちゃんの日常の買い物も兼ねてデリでお惣菜を買って帰りましょ、ということにした。旅先でスーパーマーケット見るの大好き! 帰国間際にはバラマキ土産の購入に来ることになるのだから、売り場の下調べしとこうっと。

ハロウィンが近いのでカボチャがたくさん売られている。カボチャっていったいどれだけの種類があるの? 見たことのないものばっかりだけど、絶対一番美味しいのは日本の栗カボチャ!

「ここはねぇ、オーガニック専門なんでねぇ、近いし、よく来るんだよ」そう言って、野菜や牛乳やパンなど日常の品々をカゴに入れていくMちゃんの後ろについて広い店内を歩いていたが、どんどん頭が重くなって立っているのもしんどくなってきた。洟はズルズルし続けだし、クシャミも咳も止まらない。嫌だな、風邪がひどくなるのかしら、アレルギーの薬も効いてないのかしら。今日のオペラ楽しめなかったらどうしよう? それでも「行くのをやめる」という選択肢はない私。
デリのコーナーに行くといろんな食べ物の匂いが充満していてよけいに頭がクラクラしてきた。クラクラしながらも食い意地全開の私は食べたいものをちゃんと探していた。売り場の下調べは……なんだかよくわからなかった。

Mちゃんのアパートメントまで歩いて戻る。外の空気の方がまだ頭がスッキリするかな。具合悪い時にあのデリ・エリアの熱気と匂いはたまらないわ……。姉ワンコと妹ワンコの熱烈歓迎を受けながら、とりあえず食事をすませてしまうことにした。食べ始めてみると、結構食べられる。お腹が空きすぎていたせいもあるのかもしれない。 Mちゃんが選んだ巻き寿司は「割とちゃんとしてるから時々買うんだよ」という通り、ちゃんとしていた。少なくとも日本のお惣菜コーナーで買う巻き寿司には匹敵している。つけ合わせてあるガリも甘めではあるがまずまず。 「でもね、アメリカ人は辛いのダメだから。サビ抜きがデフォルトなんだよね」と、Mちゃんはチューブわさびを出してきてくれる。

ホールフーズのデリで買ってきたお寿司とお惣菜。うんうん、ちゃんと美味しそう

私は野菜がたっぷり食べたくて、ヒヨコ豆のサラダとラタトゥイユを選んでみたのだけど……。ふむ。オーガニックを売りにしているからか、素材も調味料もしっかり良いものを使っていてあっさり薄味ヘルシーに仕上げてあるけれど……ちょっと味が寝惚けてるかもね。塩やオリーブオイル、お醤油などをちょいと追加したら俄然美味しくなった。ここで生活している人の家にテイクアウトしてきたから、塩でもわさびでもあるけど、旅先でホテルに持ち帰ったのではそんなものはないわけで。「なんだかパンチに欠ける味だなー……」と思いながら食べなくちゃならないんだわね。

食べ終えたら元気も回復してきた。まだ24時間経ってないけれどアレルギーの薬を飲んでしまおう。あとはオペラ上演中にできるだけクシャミや咳が出ないことを祈るのみ。

初めてMetで見るオペラ

ワンピースに着替えて化粧をし直しパンプスを履いたら、これからオペラに行くんだぞという気分も高まってきた。
これから向かうメトロポリタン・オペラハウス Metropolitan Opera House [WEB] リンカーン・センター Lincoln Center for the Performing Arts にあるアメリカ随一の歌劇場。ここも愛称はMetだ。

Mちゃん宅からリンカーン・センターまでは歩いても15分程度。裏側から回り込んで側面入口を入ってしまうのが一番近道なのだそうだけど、オペラハウスを初めて見る私のために「今日は正面階段から入ろうね」とMちゃんは言った。パリのオペラ座やミラノのスカラ座、ウィーンの国立劇場のような壮麗さや豪華さはないけれど、またヨーロッパ各地の古典的な馬蹄形もしていないけれど、シンプルでモダンな建物だ。白い大理石で覆われ、5つのアーチで飾られたファサードはガラス張りで、ロビー左右のシャガールの壁画は遠くからでもよく見える。

今日の演目は喜劇『フィガロの結婚』。モーツァルトならではの軽妙洒脱な華やかなメロディに乗って、どっちかといえばストーリーは結構ドタバタだけど、細かいことはあまり気にしないで楽しめばいい……というオペラ初心者入門編みたいな作品だ。今日26日は今シーズンの初演なので「キャストたちも結構リキ入るんじゃないかな? 初演の出来で評価が決まるから」とMちゃん。
「NYタイムスなんかのレビューとかでね、うっかり酷評されたりなんかしたら今後の客の入りに影響するでしょ」
Mちゃんが買っておいてくれたチケットはわずか$37.50のもので、一番安価なファミリーサークルという席より$10ほど高いだけ。5階席になるので舞台からは遠いけど、今回はいい位置が取れたので、Metは音響が素晴らしいので音楽を聴く分には距離は関係ないそうなのだ。こんな値段なら肩肘張らずに気軽にオペラを楽しめるなあ。ちょっとだけお洒落して気分を盛り上げればいいだけなんだもん。入れかわり立ちかわり日本からのお客さんを案内することの多いMちゃんは、Metで上演される演目はほぼ制覇しちゃったそうな。

正面階段を上ってオペラハウスへアプローチ

シャンデリアがキラキラ輝いている

このシャンデリアの形は何かに似てるなー……と思ったら、そうだ線香花火だ! でもずーっと華やかだけど

天井まで吹き抜けになったエントランスホールにはタンポポの綿毛を逆さにしたようなシャンデリアがいくつも吊られている。集まった観客たちの服装も“ちょっと小綺麗”にしている程度で、ほぼ普段着のような感じの人も多い。日によって公演によって違うのだろうけど、張り切って盛装してきたりしたらかえって浮いちゃいそうな感じだ。まあ、つまり、気後れする必要なんか全然ないってこと。
吹き抜けのホールを緩やかな螺旋状に取り巻いた階段を5階まで上った。自分の席に着いてみると、確かに舞台まではかなり遠い。でもオペラグラス持ってるし、かなり真正面寄りだし、前から3列めくらいだし、考えようによっては4階や3階の左右の端っこ後列などよりずっといいのではないかしら。さすがチケット予約の場数を踏んだMちゃんだけあって、コストパフォーマンスの良い席を押さえてくれたのには感謝、感謝。

開演時刻の7時半のブザーが響き、同時に線香花火の形のシャンデリアがするすると上に引き上げられ始める。それまでざわついていた会場全体が、小さな咳払いで喉を整えたり座り直したり背筋を伸ばしたりの居ずまいを正す空気で満たされ、オーケストラが華やかで流麗な序曲を奏で始める。オペラなんてモーツァルトなんてこれっぽちも知らない人でも一回は耳にしたことのあるだろう超有名曲だ。

懸念していた咳とクシャミは薬で完全に押さえ込んでくることが出来なかった。喉の奥にのど飴を置き、音が出ないよう転がさないように舐め続けていたけれど、時々どうしようもなくなってしまう。出来る限り我慢して我慢して曲間の拍手に出来るだけ俯いて小さな咳をするようにした。洟が出るのも辛かった。なにが辛いって10月も末だというのに会場に冷房が入っていること。そりゃあ10月にしては日中はとても暖かく、トップス1枚で平気なくらいだったけど、さすがに夜は軽く羽織るモノが必要な程度には気温も下がってるのに。冷房はないでしょ、冷房は!

私なりに気を遣って洟はすすらないよう咳もクシャミも拍手に紛れるようしていたつもりだったけど、実はバレバレだった。二幕めが終わった時、隣席の若い女のコ(20歳くらいに見えたけどきっと高校生くらいかもしれない。ものすごく綺麗なコだった)に、私とMちゃんとで席を入れ替えてもらえないかと申し出られてしまった。
「今週末に大切なイベントがあるので風邪を感染されたくないの」毅然とした口調だった。確かにそうだ。大事なパーティなどを控えている前日に風邪ひきさんの隣に何時間もいたくはないわよね。でも、日本人だったら……たぶん直接は言えない。気にしてるくせに、直接はなかなか言えない。そこが日本人のメンタリティの良い部分であり、おそらくは悪い部分でもあるのだ。私は素直に申し訳ないなあと思って席を替わった。

四幕が終わって劇場を出る頃には11時半近くになっていた。

オペラの出来に関しては、素人の私が評論家気取りで何か言うのもおこがましいので書かない。ていうか、書けない。
かなり長尺な作品だけど、事前にあらすじを読んでおいたし、そもそもが眉間にしわの寄るような内容でもないし、ところどころのコミカルな描写では思わず笑いが出たりして、とても楽しかった。咳や洟が出ることで多少は心がそぞろになったものの何とか最後まで観られたのは、陰鬱だったり複雑だったりのストーリーではなかったことも大きいように思う。時々オペラグラスを使えば演者たちの衣装や表情も舞台装置の細部などもきちんと観ることが出来たのも楽しかった。音響だって素晴らしいものだった! バルコニー席だとかえって音がくぐもってしまうのではないかしら? 私の席では音楽に上から左右から包み込まれるように感じられて、とても気持ちがよかった。

「今回は歌手の人たちみんな巧かったよ」とMちゃん。
「やっぱり今日初演だからみんな頑張った?」
「うん、そうね。いい公演だったと思うよ。今ひとつの時に当たっちゃうと連れてきたお客さんに申し訳なかったなーって思うもの」

「夜遅いからちょっと遠回りだけど表通りから行くね」
私たちはまたアパートメントまで15分ほどを歩いて帰った。眠らない街・マンハッタンの灯を眺めながら。

 
 

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