Le moineau 番外編
- 紺碧のイタリアとクロアチア歩き -

無理に目覚めて無理に二度寝の変な朝

ふっと目覚めて何気なく枕元に外しておいた腕時計を見た。なんと8時15分前! うわーー、寝坊した? 陽射しがきつくなる前の、かつ混雑する前の朝一番8時から観光スタートするつもりだったのに! とにかく起きなくては! 目を覚まさなくては!
バスルームに直行して熱いシャワーを浴び、朝食の準備をした。なのに、どうにもシャッキリとしてこないし食欲も全然ない。ぶっ続けで8時間半は眠ったはず、なんでまだこんなに眠くてだるいんだろう? どうしたんだろう、疲れが出たんだろうか? また具合悪くなっちゃうんだろうか? ため息をつきながらスマホの画面を見ると、AM1:32の表示。ん? 1時?? 腕時計を見るとやっぱり夜中の1時半。だって、さっきは7時45分だったのに? じっくり見てもやっぱり1時半、スマホも画面も1時半。しばらく考えて、さっきは腕時計を上下逆に見て1時15分を7時45分と思ってしまったのだと結論が出た。文字盤が数字表記ではないアナログ時計あるある。なんだよ〜〜〜、そんなの全然眠り足りてないし、お腹も空いてなくて当然じゃないのよ〜〜!! 2日間続けてしっかり熟睡できてリズムも整ったと思いきや、やっぱり時差には適応できてないんだわぁ。ものすごく脱力……。とりあえず、準備した朝食は冷蔵庫にしまう。

まだたっぷり時間はあるのだからとっとと二度寝すればいいものの、無理矢理に覚醒しようと頭から熱いシャワーを浴びたばかりで、それなりに目が覚めてしまった。仕方ないので、カモミールティなど飲みながらしばらくネットしたりして自然に眠気を催すよう努め、ようやく3時過ぎに再び眠りについた。

目覚めたのは7時15分。ありゃ〜、結局8時に観光スタートできないじゃん。でも、よく眠った。ぐっすり眠ったんだから良しとしよう。この部屋のひとつだけある小さな窓は路地に面していてすぐ近くを人が通るので鎧戸が開けられない。なので太陽光が入らず、特にロフトになっているベッドルームは暗い。朝になったのが全然わからないのが欠点、ではあるな。

塩パンとチーズのパン、2種類のハムとサラミ、チーズ、ヨーグルト、スプリットで買ったチェリー、フレーバーティー。安上がりだけどしっかり充実した朝ごはん

昨日はスルジ山の上からドゥブロヴニクを眺望したので、今日は旧市街を囲む城壁 Gradske zidine の上から俯瞰しようと思う。まあ、車椅子だったりよほどの年寄りでない限り、ドゥブロヴニクに訪れる観光客は必ずここを歩くと言っても過言ではないんじゃないかしら。
自分の足で登って歩かせるだけだというのに150knという強気の値段設定で、ここに登らないのならドゥブロヴニクカードを買う意味はない。全長2km弱、ぐるりと一周するのは最低でも1時間、反時計回りの一方通行で、観光客が集中してしまえば大渋滞、直射日光カンカン照り、トイレは2〜3ヶ所のみ、途中で降りてしまったら再入場は不可。なので、ゲートオープンする8時に一番乗りで入場するつもりでいたんだけどねぇ。ま、しょうがないよね。

ちゃんとしっかり食事をすませ、顔も手足もきっちり日焼け止めを塗り込んで、9時ちょうどに部屋を出た。

朝一番(ちょっと出遅れたけど)の城壁ウォーク

今日はちょっと曇り気味。やっぱり天気は下り坂みたいだけど、そのかわりあんまり暑くはないかな。旧市街には観光客が詰めかけ始めたというところで、壊滅的に出遅れたわけではなさそう。
城壁には入口が3ヶ所あるけれど、オノフリオの大噴水の正面にあるピレ門近くの入口が一番わかりやすい。ドゥブロヴニクカードを見せるとチケットをくれた。ちなみにカードには自筆で今日の日付を入れてある。

入口の階段が狭くて急なので混雑しているように感じたけれど、城壁の上に出てみるとそんなことはなかった。これなら十分に自分のペースで歩けるわ。とはいえ、歩き始めは急な登り坂が海沿いまで延々と続く。変な眠り方と起き方をしたので、なんだか顔が腫れぼったくて浮腫んでいるような気がするし、ちょっとクラクラして目も霞む。少し息があがってきた。うーん、大丈夫かなあと気にしつつ、飛ばしすぎないようソロソロ歩いてこう。でも、気持ちのいい景色の連続にそんな不安もいつの間にか吹き飛んでいった。

ピレ門からの入口を入ってすぐ、まず足元のオノフリオの大噴水を見下ろしてみる。まだ観光客はまばら

フランシスコ会修道院の塔の上に「なんかヘンな風見鶏?」と思ったら、本物のカモメだった。彼らは必ず塔や支柱のてっぺんに止まるのは何故かしら? 足元安定しなさそうなのに……

城壁上の通路幅は2人が横並びしてギリギリ程度。9時ならまだ十分に朝一番の範疇で、ストレスなく歩ける混み具合

海側は切り立った断崖絶壁で、要塞感バリバリ。やっぱり天気が今ひとつなので海の色が暗いなあ……

何か水道橋のような遺跡も見える。うん、多分、水道橋。足元の石畳は綺麗に整備されてデコボコはないけれど、思った以上にアップダウンが激しい

雲ばかりの空は今ひとつすっきり晴れず、思い描いた「青い空と海とオレンジの屋根」の光景にはなっていないのが残念。直射日光を浴びずにすんでるけど気温は高めで、決して涼しいとは言えない。むしろ、もあ〜と何だか蒸し暑い。時折の海風が少しホッとする。
城壁には要所要所に何ヶ所かの要塞といくつもの砦がある。砦にはすべて聖人の名前がつけられていて、縁から海を見下ろすと崖のあたりに彫像が据えられてたりする。わざわざ覗く人は少ないのであまり気づきにくいけれど、海側からは随所で町を守っているように見えるわけ。

急坂を登りきって最初に海側に出た角にあるのがボカール要塞 Tvrdava Bokar、そこからは城壁外側のロヴィリイェナツ要塞 Tvrdava Lovrijenac がよく見える。海面にはいくつかの遊覧船、アクティビティのカヌーの群れ、飛び交うカモメたち。

4分の1周くらい歩いたあたり。背後にはスルジ山、海と空と旧市街の家並み、湾に突き出した岩礁の上からはロヴィリイェナツ要塞が睨みをきかせている。内戦終了から20年近く経っていても破壊されたまま廃墟になっているところもちらほら

城壁の途中にはカフェも何軒かある。ドリンクとアイスクリームくらいしかないけれど一番の売りは海と空の眺望

海面近くの岩場に直にクッションを並べたカフェ。とにかく見晴らしのいい場所はすべてカフェになっているといっても過言ではない

聖イヴァン要塞の上から見下ろした小さな行き止まりの広場。ここは知る人ぞ知る猫のたまり場らしい。今一匹だけいるね

曇っているので海の色は暗いけれど、水は抜群の透明度で底までくっきり見える

聖人の名を冠した何ヶ所かの砦は、ちょっと広くなった踊り場のようなスペースと小さな祠があり、カフェにもなっている。海側には4〜5軒あった。値段を見ると3割くらい高値な感じ。まだガラガラなので客引きに熱心なのだけど、私に対しては「アンニョハセヨ〜、ニイハオ〜、コニチワ〜」の順で声をかけてくる。つまりアジア人観光客の多さはその順番ということだ。今や中国人はあちこちの国にいるだろうけれど、クロアチアに来て感じたのはとにかく韓国人だらけだということ。ホントにあっちでもこっちでも韓国語ばかり聞こえる。今、韓国ではクロアチアがブームなのかな? ドラマのロケ地だったとか?

山側の城壁巡りはパノラミック絶景ビュー

旧市街の家並を左側に、今ひとつ青さの足りないアドリア海の海原を右側に、交互に見下ろしながらのんびり歩く。カンカン照りではなくてもやっぱり暑い。海沿いの東端の角にある聖イヴァン要塞 Tvrdava Svetog Ivana は城壁の3ヶ所の入口で、ここでチケットの検札があった。じゃかじゃか観光客が押し寄せるにも関わらず強気の値段設定してるくせに、ズルは絶対許さないためのチェックは厳しい。こっそりもう一周しちゃお!ってのが絶対に出来ないしくみ。

要塞の角を曲がり、小さな湾になった旧港を見下ろしながら歩く。遊覧船やグラスボートなどのレジャー用の小さな船が湾内に整然と並んでいて、なんだかジオラマみたい。旧港を過ぎた角はプロチェ門からの入口になってて、ここでまたチケットの検札。まったく抜かりないよねー。ここから先は山側に入っていく。

海沿いを歩く方が気持ちはいいけれど、山側からの方が旧市街全体を海と空ごと俯瞰できる。山側の斜面は海側に比べて倍以上の高さがあるので、迫力あるパノラミックな美しさが堪能できる。

ほぼ半周したあたり。ここから山側に入っていくのでかなり急な上り道が続く

骨組みだけの廃墟の前に小さいけれど豊かな菜園があった

山側の高い位置から眺めるオレンジの瓦の波。新しい瓦は内戦で破壊されたため葺き替えられたもので、つまりほとんど破壊されたってこと。空と海が青ければさぞ美しかったことだろう

ピレ門出口の手前、山側の角にあるミンチェタ要塞 Tvrdava Minceta には美しく大きな塔があって、城壁の中で最も位置が高い。城壁で一番のビューポイントはこの塔の上からとのことだけど、狭い階段に群がる人々の行列を見て登る気持ちが萎えてしまった。だって思った以上に城壁の高低差はすごくて、かなり足腰にガタきちゃってて。もし晴天だったら写真を撮るために登ったかもしれない。もしかしたら熱中症寸前で息も絶え絶えだったかもしれない。

>> 時間がなかったり体力に自信がなくて半周しかできないのなら、プロチェ門から入る山側のコースを歩くといいと思う。もちろんちゃんと一周できるにこしたことはないけれど。カフェやトイレなどの休憩ポイントは海側の半分に集まっている

A級選手揃いのドゥブロヴニク観光スポットでもトップ3入り間違いなしの城壁ウォーク。単に町を囲むだけのただの壁ではなく、複数の要塞や塔や武器鋳造所まで詰め込んでいて、堅牢で先鋭的な都市防衛システムだったことが随所で窺えた。そこに絶品の美景も加わり、地元の人々の生活も垣間見ることができる。学校で授業を受けている子供たち、壁に囲まれたバスケットコート、小さいけれど緑豊かな菜園、洗濯物のはためく路地、デッキチェアと花壇のある小さな中庭、どこからか聞こえてくる練習中のオーケストラ……さらにはほんの20年前の内戦の痕跡も。そんなものを味わいながら1時間40分かけて一周してきた。ガイドブックには一周1時間とあるから、かなりゆったりペースだったはず。

ピレ門の出口に降りてくると、これから入場する人たちがずらっと行列して狭い階段で団子状態になっている。ありゃー、すごい。やっぱり9時台に入場しておいてよかった。寝坊してなお他の観光客たちに先んじることができる、旧市街内に泊まるメリットをひしひし感じるわ。

青空市場とお高いカプチーノとホームメイド・パイ

昨日アパルトマンのオーナーに教わった朝市に行ってみよう。11時ならまだ午前中っていえるでしょ。たくさんの観光客たちが溢れるプラツァ通りを端まで 歩き、聖ブラホ教会 Crkva svetog Vlaha 前のルジャ広場から反対側の路地を入ったグンドゥオリチェフ広場 Gunduliceva poljana に。目指す青空市場はここにあった。旧市街の規模から想像はしていたけれど、スプリットの市場には比べるべくもないささやかさ。
近郊農家がそれぞれ、野菜や果物、ハーブを使った石鹸やオイル、蜂蜜やジャム、ラベンダーのポプリなどを小さな屋台で売りに来ている。刺繍やレース編みなどの手芸品もあった。小さな広場のスペース内にこじんまりと収まっているいるので、かえって観光客には都合がいいかもね。サクッと見回してみた感じだと、野菜や果物の値段はスプリットに比べてずいぶん高めかな。スプリットの市場が安過ぎたっていうのもあるけど。

明日と明後日の朝食用に果物を買う。果物の入ったパックは日本のイチゴのパックと同じくらいかひと回り大きいくらい。スプリットの市場ではこの倍サイズが最低単位だったけどね。イチゴだけ、チェリーだけ、イチゴとチェリーのハーフ&ハーフがある。このあたりも地元民用というよりは短期滞在者向けって感じ。イチゴ&チェリーのパックと、びわを1パック買った。合計で55kn。ちょいと割高になるけどユーロでの支払いも可能だった。

次はお土産探し。クロアチアはいちじくの産地で、日本では結構いい値段するドライいちじくがとても安い。そもそもドライいちじくって、食料品店できちんとパッケージされて売られるような高級なものではなくて、農家が手作りしているものを市場などで気軽に買うものらしい。いいな、いいなあ〜。私、ドライいちじく大好きなのよね〜〜!
お土産用にと意識して見てみると、商品のプレゼンテーションも店ごとに異なり、センスの違いがあからさま。あるおばちゃんの店では自家製ドライフルーツを何種類か、葉っぱを添えたりカゴに並べたりリボン結んだりしてお洒落にパッキングしてあり、大中小のパックをそれぞれ用意するという観光客を意識した周到さ。試食も積極的にさせてくれる。これにまんまと乗った私は、ドライいちじくとドライオレンジ、砂糖をまぶしたアーモンドの詰め合わせパックを購入。1袋12kn、2袋で40kn、これを4袋買った。

右の店でお土産用のドライフルーツ詰め合わせを、左の店で果物を買った

プラツァ通りに面したカフェの最前列席でカプチーノを味わいつつ人物ウォッチング

今朝はまだコーヒーを飲んでなかったなーと思い、プラツァ通りのカフェで休憩することにした。大振りのカップにたっぷり注がれたカプチーノは泡がきめ細かくてとても美味しい。ウェイターも物腰優雅で親切で、ちょいとセレブな気分でリラックスする。

のんびり寛いでいると隣のテーブルに一組の母娘が座った。母親は細身の長身でギスギスと神経質そうな厳格な雰囲気。そう、『アルプスの少女ハイジ』のロッテンマイヤーさんとか、『小公女セーラ』のミンチン院長みたいに眼鏡の縁を持ち上げながら小言を言うのが似合う感じ。でも、連れの12〜13歳の娘さんは地味な服装ながらもすごく可愛くて、将来美人になりそう。
母娘の楽しいバカンスのはずなのに、ロッテンマイヤーお母さんはメニューを繰りながら眉を寄せて何かをブツブツ言い続けている。言葉はわからないけれど静かに叱り諭しているような、あるいは文句を言ってるような口調で、娘さんはじっと口を結んで目を伏せてうつむいている。しばらくして何も注文せずに彼女たちは去って行った。物腰優雅なウェイターが優雅にテーブルを片付ける。……なんだったんだろうね? 楽しい時間ずなのに娘さんが可哀想……と思ったけど、支払い時にロッテンマイヤーお母さんの不機嫌の理由が判明した。私は値段を見ずに注文してしまったのだけど、カプチーノ一杯が45knだった。クロアチアの他の町では12〜15kn、高いところでせいぜい20knだったものがよ? 45kn! 高ッ! そりゃウェイターも優雅に接するわな。でも、お母さん、娘さんに文句言うのは八つ当たりだと思うわ。

昼食後は、クロアチアの最南端ツァブタットへプチトリップ

1時間近くもゆっくりしたはずなのに、バカ高だったことに何故か精神的にぐったりしてしまい、いったん部屋に帰った。
さて、ランチをどうしようかな? ドゥブロヴニクの外食は高くつくなーなどと考えていると、扉をノックする音。なんとアパートからホームメイドのパイを差し入れしてくれたのだった。昨日のオーナーとは違う背の高い女性だった。うわぁ、嬉しい! これ、お昼ごはんにしちゃお!

差し入れしてくれた自家製のアップルパイとチェリーパイは、優しい甘さの素朴な味わいだった。陽射しの強さに立ち向かうためにも、果物もたっぷり食べてビタミンC摂取!

手作りパイと果物の昼食後は軽く昼寝した。すっかりシエスタ習慣が身につきつつあるけれど、陽射しが強くて暑く夏時間で日中が長い季節には理にかなってるんだなーとしみじみ。

午後からはちょこっと郊外にエクスカーションするつもり。ドゥブロヴニクの東方向にはジュパ・ドゥブロヴァチュカ Zupa Dubrovacka、その先に隣国モンテネグロと国境を接するコナヴレ Konavle という2つの自治体がある。20km離れたツァブタットという町はコナヴレの静かなリゾートタウンで、ローカルバスで30分ほど、旧港からもツアーボートが出ている。ツァブタットに行ってみる気になったのは、ドゥブロヴニク・カードの3日券のおまけに往復バスチケットがついてきたから。理由はそれだけじゃなくて、人だらけの旧市街からちょっと離れたかったってのもあるけどね。

>> ドゥブロヴニクの公共交通機関では、1〜9番までが市内バスで近郊路線は2桁の番号になる。ツァブタット行きは10番で、長距離バスターミナル始発で30分おきに出ている。旧市街近くの停留所はケーブルカー乗場の前にある。日本のように各停留所ごとの時刻表なんてないので、始発時刻からだいたいの通過時間を推し量るしかない

14:30ターミナル発のバスを目指すつもりで14時10分に部屋を出発、北のブジャ門 Vrata od Buze から城壁外に出た。これで城壁の3つの門は全部見たことになるね。
ケーブルカー前の停留所にバスが来たのは14時45分、だいたい妥当なところかね。表示の「10 Cavtat」をきちんと確認して乗り込む。

えらくボロボロのバスだった。外観もだけど内部も相当ななもので、明らかに別のバスから取り外してきた椅子が何ヶ所かでつぎはぎ。喘ぐようなエンジン音、車体全体がギシギシ軋む音が絶えずしている。走るルートは高台の道で、海に沿った右側の景観は素晴らしい。乗客の大部分が地元の人たちで、最初は満席だったものの途中で乗り降りがあって終点では半分くらいに減っていた。ちょうど30分で到着。

ツァブタット湾の一番奥まった中に "チョキ" の形に突き出した二つの半島とその根元周辺がツァブタットの町。"チョキ" のうちのひとつをぐるっと一周してくるのが街歩きとなる。バス停前に観光インフォメーションがあったので一応マップをもらったけれど、地図に頼るまでもなさそう。案内所のお姉さんも「ぐるーっとラウンドウォークするのよ〜」って。

ツァブタットのバス停留所にて。きっちりした制服姿で直立不動で一心不乱にアイスクリームを舐めるおじさん

バス停近くには10数軒のレストランが海沿いに並んでいる。縁日の出店のような屋台は開店休業状態なので、ランチタイムや夜にはそれなりに賑わうのかもしれない

少なくともドゥブロヴニク旧市街の喧噪からはほど遠い。朝には雲ばかりだったけれど、この時間になってだいぶ青空になってきた

陽射しにキラキラと輝く海水はびっくりするほど透明。あまりに透き通っているので、静かに揺れる船は宙に浮いているかに見える

立ち並ぶレストランの開放的かつ洗練された雰囲気、海鮮のバーベキューなどの屋台、ツアーボートやマリンスポーツの受付デスクなどから、夏はそれなりに賑わうリゾートなのだと知れる。でも今はまだ静かだ。 リゾート以外の観光ポイントとしては、ヴラホ・ブコヴァックの家 Vlaho Bukovac Home とか、コナヴレ美術館 Konavle Heritage Museum とか、ラチッチ家の霊廟 Mauzolej obitelji Racic とかあり、ドゥブロヴニク・カード提示で無料だったり割引だったりするらしい。でもヴラホ・ブコヴァックって誰? こんな小さな町の美術館って何があるの? ラチッチ家って? とりあえず海に沿って歩けば戻ってこれるので、まあ、なりゆきまかせにしましょ。

静かなリゾートタウンをのんびり歩く

マリーナに面したレストランやカフェの連なりの最後に小さな広場と小さな教会があった。扉は閉まっていて入れない。若いカップルが取っ手をがちゃがちゃしていたけれど、諦めて引き返していった。あら、戻っちゃうの? 教会の右奥の小径がラチッチ家の霊廟とやらに続いているらしいけれど、半島の内側はこんもりとした丘になっていて、ちょっとした山登りになりそうな感じ。午前中の城壁歩きがあるからアップダウンはちょっと簡便だな。私はとりあえず海沿いの遊歩道を歩くことにした。ツァブタットのバス停やマリーナ周辺にはパラパラながらも人がいたけれど、ここまで足をのばしている人はほとんどいない。さらにアジア人は一人も見かけない。

まるでプールサイドみたいだけど、実は海べりのカフェ。どうやら店内のテーブル席と、屋外のテラス席と、デッキチェアの席があるみたい

誰もいない遊歩道をのんびりと歩く。聞こえてくるのは波の音と小鳥のさえずりだけ

意外なことにドゥブロヴニク周辺の沿岸には松の木が多い。松ぼっくりのなる枝振りのシルエットと海という組み合わせは、日本人としては馴染みがあり過ぎて、ちょっと不思議な感じ

まるでプライベートビーチのような貸し切り状態で海水浴を楽しんでいるファミリーがいた。海の家のような施設があって、更衣室やカフェを併設しててデッキチェアやパラソルを借りられるみたい

ふたつの半島の "チョキ" と "チョキ" の間は湾が二重に入れ子になっているので、反対側よりいっそう凪いだように静かだった

一度だけモーター音を轟かせて遊覧ボートが通過していった。ドゥブロヴニク空港が近いはずだけど、頭上を飛んでいったのは一機だけだった。空はだいぶ晴れてきていて、水面がキラキラ輝いている。基本的に散歩道は木陰になっているのだけど風がほとんどなくて………暑い。陽射しの問題じゃない、気温が高い、28℃くらいあるんじゃないの? 日焼けしたくないので長袖の服を着ているのでホントに暑い。

あまりの暑さに、思い切ってタンクトップ1枚になってしまった。脇のぷよぷよが気になるから普段は絶対に外着にはしていない服だけど、若いコなら普通に着ているし、私だって10数年前にはまだそんなに問題なかった……はず。でもさ、海外に来ると外国人の方々って「えっ、あなたの年齢で、その体型でその露出はどうなの?」ってのだらけよね、それに比べれば私の脇のぷよぷよなんて可愛いもんよね。日本でだったらみっともなくて出来ない格好だけど、ここでは奇異の目で見られたりしない。だってさ、今ここには日本人いないも〜ん!

1時間ちょっとののんびり散策しながら一周して戻ってきた。また長袖シャツを着る。一応ね、人が多いところではぷよぷよは隠しておきたいという羞恥心はね、あるのよ。

バスの時間待ちのアイスクリーム休憩。チョコミントは普通、コーヒーは豆入りでザクっと苦い。全体にミルクっぽい感じで、ソフトクリームとジェラートの中間くらいに柔らかい。これはクロアチアのアイスクリームの特徴かな? お店の名前は《Paradisso》。そうか『天国』かぁ……

時刻は16時20分。ヴラホなんとかの家とか美術館はもういいや。16:30発のバスに乗れなくもないけど、ちょっと休もう。アイスクリームショップには8knと書いてある。フレーバーいくつ選べるのか尋ねてみると、おじさんは歌うように「1個でも、2個でも、3個でも……4、5、6……10だって20だってOKさ〜〜」
2つ選んだら16knだった。なーんだ、単純に倍額になるだけだったのね(^^)

旧市街への坂道は素敵な散歩道

17:00のバスに乗る。今度のバス車体はピカピカに新しいもので、乗客も3分の1くらいだったので、勇んで左側の窓際の席に陣取った。でもね、新しいバスは窓にUVフィルムが貼ってあるのね。色合いがほんのりブルーグレーに沈むだけでなく、一面に白いドット模様があるのよ……なんかガッカリ。

帰りのルートは行きよりも高い位置の道を通る。旧市街の最寄りのバス停は、ケーブルカー乗場のある道よりもさらに上のペラ・バキチャ通り Ulica Pera Bakica にある。ツァブタットから30分くらい走った頃、はるか眼下に旧市街が見えてくるなり通り過ぎていき「えええ? ちょっとちょっと」と思ったタイミングで停まった。ここ? ここが旧市街のバス停? 最寄りにしてはずいぶん行き過ぎたし標高があるでしょ。運転手に「オールドタウン?」と聞くと、そうだとの答え。乗りっぱなしではバスターミナルまで連れてかれてしまうので、慌てて下車する。

とにかく左方向に下っていけばいいよね。適当に目についた階段を降りてみると、住宅地を抜けていく雰囲気のいい小径が続いていた。地元の人の普通の静かな暮らしもありながら、そこここに「Apartment」や「SOBE」の青いプレートもかかっている。旧市街からは相当離れているし、階段ばかりでクルマの横付けも出来ないけれど、ハイシーズンにはこのあたりも埋まっちゃうのかしら?

石畳と石壁に囲まれた住宅地の階段をどんどん降りていく。ちょっとくらい道を間違えちゃってもきっと大丈夫(……だと思う)

階段の途中でゴロゴロする危機感なさすぎのにゃんこ。危ないな、もう! リアル・ネコ踏んじゃった♪になるところだったじゃないかぁ!

アパートの玄関にいた異常に人懐っこい黒にゃんこ。たぶんお客さんたちに入れ替わり立ち替わり可愛がられているからかもね

人通りも少なく自動車の入れない階段道はにゃんこ天国だった。中でもダントツで可愛く且つプチ迷惑だったのは、ついこのあいだまで子猫だったような黒ちゃん。目が合ったので、チチチと舌を鳴らすと「うにゃんうにゃん」と鼻を鳴らしてすり寄ってきた。しゃがんで撫でようとすると私の膝によじ登ってきて、前足でモミモミちゅうちゅうする。おい! 柔らかくふっくら出っぱっているが、そこは私の下腹だ! おっぱいは出ません! 引き離そうとすると細い爪をキリリと立ててしがみつく。痛い、痛いってば。しばらく抱えていたら丸まってウトウトし始める。うひゃー困った。仕方ないので10分くらいその姿勢で固まっていてあげた。

さらにこのまま歩いていきたいと思える小径が続いているけれど……実は

ここは行っちゃダメだよねと思わせるような旧市街への分岐点と、ほとんどいたずら書きと見紛うような案内表示。もうちょっと標識らしくどうにかした方がいいと思うんだけど

大音量のBGMが鳴り響くカフェの傍で熟睡するにゃんこ。この先を抜けるとすぐそこがピレ門に続く道だった

とにかく道なりに適当に下り、嘘くさい手書きの「→OLD CITY」表示を信じて曲がってみると、だんだんクルマの音や音楽などが聞こえ始めてきて、いきなり車道に出た。そのまま進んでいくと喧噪まっただ中のピレ門前の広場に到達した。おお! 首尾よく下りきった(^.^)v
なんだかんだで下りてくるだけに30分近くかかってしまった。あ、途中で猫さまに費やした10分間があったっけ。

ロヴィリイェナツ要塞は旧市街眺望の穴場

ピレ門前の広場一番奥から静かな入り江を見下ろすと、左側には城壁に囲まれた旧市街が、右側には高い崖の上にそびえ立つ堅牢なロヴィリイェナツ要塞 Tvrdava Lovrijenac が海に向かってせり出しているのが見える。城壁ウォークのチケットでこの要塞にも入場可なのだ。せっかくだから行ってみよう。たぶん、今の時期は19時頃までオープンしているはず。
広場にはお洒落なカフェやレストランが並んでいて要塞の見晴らしはいいけれど、入口まで行く道はない。いったん道路に戻ってから、バス乗場の後ろに隠れたような狭い路地を入って、広場の下をくぐり抜けるようにして入り江まで下りる。人やクルマがわさわさしているので見つけにくいけれど、ちゃんと標識があるので従っていけば大丈夫。

入り江はカヌーなどのアクティビティの基点になっていて、一軒だけカフェもあった。旧市街の城壁を下から見上げられる。このアングルから眺めるのもいいね。人もわさわさしてないし、ちょっと変わった角度からの旧市街眺望には穴場かも。時間帯のせいもあるのかな。
海面のレベルまで降りてきてしまうと、そびえ立つ要塞の高さに改めて圧倒される。崖に沿って急な階段が続いている。一日さんざん歩いて最後にこの急勾配を登るのはかなりげんなりするわねぇ。

37mもの高さのある切り立った岩礁の上で睨みをきかせているロヴリイェナツ要塞。あそこまでまた登るのか……

入り江をはさんだ対岸にはアドリア海にそそり立つ岩壁と旧市街。城壁が町を守っているのがよくわかる

水は抜群の透明度。崖の中にある扉はどこに続いているのかしら。地下ダンジョン??

おそらく敵の頭上に落としたと思われる大きな石の球。こんなん脳天砕けるわ

一番高い見晴し台には海に向けて大砲が据えられていた。この角度から眺めるドゥブロヴニク旧市街もとても美しい

外から見ても堅牢な印象だった要塞は、中に入るとさらに無骨な "ザ・要塞" だった。壁は分厚いところは厚さが12mもあり、逆に内陸側はたった60cmの薄さになっている。これは万一占拠された時に反撃しやすいようにとのことらしい。一気に襲って逆に囲い込むってことかしらね。今はガランと何もない要塞で歴史上での戦いをほんのりイメージしてみる。
ひととおり見学を終えて、再び入り江まで降りてきた。日没まではまだ1時間以上あるけれど、この白っぽい空では美しい落日も夕焼けも望めそうもない。

夕刻の旧市街をのんびり徘徊

ピレ門から城壁内に入る。プラツァ通りでは若い女性と男性がヴァイオリンとギターで路上演奏をしていた。ものすごく巧いというわけでもないけれど下手なわけでもなく、ゆるゆるとリラックスした夕刻の空気の中に流れる音楽はとても心地よい。少なくともトロギールで遭遇した絶叫がなり系のクロアチア泉谷よりは100倍いい。あれはほとんど "被災" だったもん。
彼らの並びの壁際に佇んでしばらく聴いていた。演奏しているのはすべて古い映画のテーマ曲だった。『ゴッドファーザー』のテーマ、『ある愛の詩』、『ひまわり』、フェリーニの『道』……聞き知った美しいメロディーばかり。映画の曲が得意なら『ニュー・シネマ・パラダイス』も弾けるかな? リクエストしてみようかな?……と思ったところで、彼らは演奏を止め、楽器の片づけを始めてしまった。あらら〜、残念。

まだそこそこ人通りの多いプラツァ通りに面した教会の階段で堂々と眠るにゃんこ

ブティックのショウウィンドウ前でもお構いなしに眠るにゃんこ

海岸でいちゃいちゃするカップルを上から見下ろすにゃんこ

ツアーボートの出入りが減って静かになった夕方の旧港で、釣り糸を垂れるおじさんの周りにはおこぼれを狙うにゃんこたちが眈々と待機。こんなに待ってられちゃ、どれだけ釣らないとならない? おじさんは特にプレッシャーを感じてる様子もないので、たぶん日常の光景なんだろう

そのままふらふらとプラツァ通りを抜けて、旧港 Stara luka まで行ってみた。昼間はどこかに引っ込んでいた猫たちがそこかしこに出没し、我が物顔で寛いでいる。
旧港に突き出た小さな岬の突端まで行ってみる。岬に並んだいくつものベンチはカップルやファミリーたちにすべて占拠されていた。 岩場を伝って海岸まで降りてみる。海水に手を浸してみると結構冷たくて、まだ海水浴にはちょっと早い水温かな。でも、泳いでる人がいるけど……

ディナーは海老との大格闘

ゆるゆるほどけた気持ちでしばらく歩き回り、旧港から城壁をくぐる小さなトンネルをくぐると、何軒かの飲食店が並ぶ雰囲気のいい路地だった。いったん部屋に戻って出直すつもりだったけど、ここでこのまま晩ごはんにしちゃおう。

メニューを眺めてみるとBuzara(ブザラ)とついた料理がいくつかある。お兄さんに尋ねてみると、ブザラとはこの地方の郷土料理でトマトと白ワインとにんにくで魚介を蒸し煮したものとのこと。よし、それいってみよう! この店にはスカンピ(手長海老)とムール貝とシュリンプのブザラがある。手長海老よりはお値段も手頃だし、与し易いだろうとシュリンプを選んだ。

中華の海老チリみたいな見た目で出てくると思いきや、まさかの立派すぎる海老。すごく美味しい。すごく食べづらい。蟹と同様、会話のなくなる料理なので、一人旅でよかったわ

こんな立派なのはシュリンプ(小海老)とは言わんだろと思いつつも、想像以上に美味しそうで嬉しい。とはいえ、これをナイフとフォークで食べるのは至難の業だった。海老の殻がものすごく硬いのだ。乱暴にすると赤いソースが飛び散りそう。海老の頭をちゅーちゅーしたら唇切りそう。

格闘しながら殻を剥いたものの、煮込まれた海老の身はややカスカスになって味も抜けている。ふーむ、この料理は魚介本体よりも旨味の溶け出した煮汁を味わうものなのだな。そういうわけで急遽、パンを追加する。イタリアのようにコペルトでパンがついてこないのでね。煮汁をたっぷり吸わせてみると、うーん、これは想像通りの絶品! 最後まで拭うようにして余さず美味しくいただいた。満足満足、すごく満足。 ビールと合わせて合計165kn、海老の見た目の豪華さに対してずいぶんお安くすんだように思う。一皿だけで200kn超えのスカンピのブザラはどれくらいすごい見た目だったんだろうか?

団体客の姿はないけれど、夜の旧市街は遅くまで賑やか。修復中で内観できない総督邸の柱廊も夜には灯りが点されてロマンティックな雰囲気に

裏通りの狭い路地にもびっしりとレストランのテーブルが並んでいて、どの店もそこそこ賑わってるのがすごい!

プラツァ通りの立て看板の下でひっそり佇むにゃんこ

腹ごなしに夜の旧市街をしばし徘徊し、21時過ぎに部屋に戻った。昨晩はこの時間に食事に出てたから気づかなかったけれど、アパートの両隣も向かい側もレストランに囲まれていた。私の部屋の窓のすぐ下にテーブルが並べられていて、とても賑やか……いや、ハッキリ言おう。うるさい !!! ま、仕方ないか。
22時頃にはパラパラと雨の音がしてきて、食事していた客たちがわあわあと騒ぐ声。あら、早めに帰ってきてて正解だったわね。雨は短い時間だったけど結構強めに降ってたようだった。23時過ぎにレストランの客たちはみんな帰り、かちゃかちゃと食器を片づける気配がしばらくしていて、急に静かになった。

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