Le moineau 番外編
イタリア〜スロヴェニア〜クロアチア漂遊
- ヴェネツィア共和国の足跡を辿る -

いよいよイタリアに戻る。フィナーレのヴェネツィアへ!

2時まで眠れず、2時半に朝ごはん予定のパンを食べて、少しウトウトしかけたところで5時のアラームに叩き起こされた。万一を考えて5分ごとに鳴る設定にしておいたけれど、ちゃんと一回目で起きられたのはやはり寝過ごしてはいけないという緊張感があったからよね。でも、眠〜い。

今日はフェリーでヴェネツィアに移動する。そう、日本から最初にヴェネツィア空港に到着したのに、あえて手前のメストレに泊まって背を向けてパドヴァやバッサーノ・デル・グラッパに行って、さらにトリエステからスロヴェニア、クロアチアとアドリア海沿岸を離れていって。それもすべて大トリにヴェネツィアをとっておいたからに他ならない。クロアチアとヴェネツィアを結ぶフェリーは Venezia Line と Atlas Kompas の2社が運行していて、アドリア海を横切ってわずか3時間でヴェネツィアに着くのだ。4度目の訪問になるヴェネツィアだけど、見てないこと、やってないこと、行ってないとこ……たくさんある。これまでは列車で潟にかかる橋を渡ってヴェネツィア入りしてたけど、今回は海洋国訪問にふさわしく海からのアプローチというわけ。 "ヴェネツィア共和国の栄華を辿るアドリア海の旅" のフィナーレを飾るには、やはりこれしかないでしょう!

>> アドリア海横断のフェリーは4月半ば頃から10月半ば頃までしか運航しない。ハイシーズンには2社合わせて週に12〜13便があるのに、5月はまだ Venezia Line社のみで、週に2〜3便しかない。必然的に旅のスケジュールはフェリーの運航日に合わせて逆算して決めるしかなかった。去年と同じくAFerryのサイトから予約しクレジット決済し、日本円で¥7111だった。€55くらい?

キッチンの片付けも荷造りもすませてあるので急いで身支度を整える。お茶を淹れて飲む余裕はありそう。
5時50分、アパルトマンの鍵を約束通りに郵便ポストに入れておく。夜中に降っていた雨はあがっていたけれど、空はどんよりしている。
キャリーを引きずったまま2軒隣のパン屋さん《Mlinar》へ。手持ちのクロアチア現金が怪しいけれどサンドイッチひとつくらいなら買える。まだ少しお金が残りそう。ガラスケース上にあった焼き菓子のお徳用パックみたいなものを手に取って「これで買える?」と手のひらにすべての現金をじゃらっと出してみせた。合計35.80kn、なんと残ったのは2knコイン1枚きり。んーー、33円くらい? すげえ! 私、天才 !! 偉い !!! 2knコインはクロアチア旅行の記念にしよう。
朝5時から深夜1時まで開いてるこのお店、安くて美味しくて、2泊の滞在中に3回もお世話になってしまったわ。

さあ、悪天候に泣かされたスロヴェニア、多少持ち直したものの好天とはいかなかったクロアチアを離れてイタリアに戻るよ! パン屋の包みをトートバッグに押し込んで、昨日場所を確かめておいたフェリー乗場に向かう。
昨日確かめたように、ロヴィニのフェリー乗場は北側の海岸沿いの駐車場の一画にある。さすがに出航前にはもう少し埠頭らしき雰囲気になっているかと思いきや、相変わらず駐車場だった。船の前に折り畳みのテーブルが出されていてノートPCが乗っている……それがチェックインカウンターらしい。一応国際線なのだけど、急ごしらえのカウンターでは出国手続きらしきことは何もなかった。大きなスーツケースは預ける。フェリーといっても、去年乗ったような自動車積んでキャビンやレストランもあってというような大型のものではない。香港〜マカオ間とか新潟〜佐渡なんかの高速船みたいなものかな。

まだ私を含めて4〜5人しか来ていないので手続きはサクッとすみ、6時10分には早々と乗り込んで待っていると、雨がポツポツしてきた。カウンターにはちょっとした列が出来ている。荷物持って歩いてくるのに、テーブルだけのカウンターに並ぶのに雨にあわずにすんでよかった。まだ30分以上は余裕があったけど、早め早めで正解だったわ。預かり荷物を入れるトランクは船室上にあるらしく、頭上で荷物を引きずる音や足音がやかましい。

フェリーは7時ちょうどに出航した。ロヴィニからの乗船率は10%にも満たない感じでガラガラ

ロヴィニの町が遠ざかっていく……。天気は今ひとつだけど、やっぱりフォトジェニックな町だわ

ロヴィニではガラガラだったけれど、経由したポレチュで凄まじい勢いで客がどかどかどかどか乗ってきて、ほぼ満員になった。みんなバッグひとつの軽装。今日のヴェネツィア発は夕方なので、これはクロアチアにリゾートに来ている人が日帰りでヴェネツィアを楽しむためのフェリーらしい

7時に出航し、約20分でポレチュに到着した。警察官が乗り込んできて三々五々に散らばっている乗客たちのパスポートをチェックしていった。なるほど、出国手続きはポレチュでするのね。警察官が降りていった後、ポレチュからの乗客たちが乗ってくる、乗ってくる、どんどん来る、後から後から来る、いつまでも来る。あっという間に座席はみっしりと埋まり、船室内は一気に賑やかに騒がしくなった。

アドリア海を横断してのヴェネツィア入りはドラマチックでいて騒々しい

8時にポレチュを出航。船内にはこれからヴェネツィア・ショートリップに向けてテンションの高まる人たちの期待と熱気と興奮がムンムンと満たされている。高校生くらい若い子のグループ、小さな子供連れファミリー、団体ツアーらしき初老の人たち。売店もオープンし、店開きのアナウンスがなされる。「ヴェネツィアラインに乗船いただき、ようこそ」みたいなアナウンスも流れる。コーヒーの香りとパンを温める匂いが漂ってくる。持ち込んだお弁当を広げる人たちもいる。早い話がわちゃわちゃと騒々しい。

賑やかで騒々しい船内の座席で朝ごはん。ツナのラップサンドが美味しかったので、今日はハムチーズにしてみた。野菜たっぷりで、こっちの方が好みの味かも?

ラップサンドを食べ終えた頃、船は外海に出たようで揺れ始め、寝不足の私は少し気分が悪くなってきた。
船内では日帰り観光客のためのさまざまなオプショナルツアーのセールスが始まっている。ヴェネツィアラインのスタッフの一人がマイクを持って説明しているのだけど、それはもう流暢なマシンガントークで芸人さながら。乗客の間からも幾度か笑いが起きていて、かなり喋り慣れている感じ。座席ポケットのパンフを見てみると「2時間の無料ウォーキングツアー」「ゴンドラ経験30分」「食事の高いヴェネツィアで€20のランチ」「フェリー乗場までの送迎オプション」などと書かれている。ふーーん。そのうちに抗い難い睡魔が襲ってきて……沈没。

首ががっくりして痛さで目覚めると、立て板に水のトークショーがようやく終わる頃だった。時計を見てびっくり、1時間喋り通してたの?? で、このやかましさの中、私は熟睡してたの? その後も何となくぼーっとしていると、10時頃になってヴェネツィア潟内に入ってからは水面も穏やかになって揺れなくなった。空も晴れてきてお馴染みの風景が見えてきて、否応なしにテンションあがって私の目もパッチリ開く。船内も歓声やはしゃぎ声で賑やかに……騒々しくなってきた。

見えてきた見えてきた見えてきたよ、ヴェネツィア! 潟にかかる橋を列車やバスで渡っていくのも素敵だけど、やっぱり船で入るのはドラマチック度が段違いだわぁ♥

10時45分、定刻どおりにロヴィニからのフェリーはにヴェネツィアに到着した。船が着くのは本島南側のザッテレ岸の San Basilio 埠頭。まず日帰り客たちが我先にと降りていく。まあ、彼らは時間が限られているからね、急ぎたいでしょうよ。船員たちが船室上のトランクから荷物をおろしてくれるのを受け取り、入国審査の長蛇の列の最後尾に並んだ。窓口は1つしか開いてなくて、列は遅々として進まず、ようやく私が通過したのは11時半。日帰りの人は焦れるよねぇ、これじゃ。B&Bのチェックインが12時以降なので、私は急がないの、むしろゆっくりでいいの。
運河に沿った小径をのんびり歩き始めたものの、スーツケースが重くキャスターがきしむ。これまでは舗装路だったり床だったりだけど、ここは石畳だから? あるいは適当に詰めてバランスが悪いせい? とにかく力技で引きずる。

>> 実は前輪キャスターの軸が曲がって2つとも回転しなくなっていたことに帰国してから気づいた。それを力技で引きずっていたので、車輪は半月型に摩耗していた。私のスーツケースは15年前に購入した布張りのソフトケースで、サムソナイトとライセンス契約してエースが製造したもので、とっくに廃番になっているモデル。でもキャスターが逝っちゃっただけで他はビクともしていない。どれだけ入ってどう詰めればいいか身体にしみ込んでいるし、昨今流行りの軽量ハードケースって嫌いなのだ。まだ使い続けたいので、キャスターだけ交換してもらった。サムソナイトにはすげなく断られたけど、エースはたった8000円でキャスター4つすべて交換してくれた。ちゃんと機能するキャスターってこんなに軽くてスムーズなのか!と感動

埠頭から予約して宿までは15分程度しかない。埠頭から細い運河に沿って北上して、運河の道なりに右に折れて沿って歩いて、建物の下をくぐって内側に入って2回曲がるとサンタ・マルゲリータ広場 Campo Santa Margherita に出た。マーケットやカフェが集まって活気がある。あんまり観光客は通り抜けないエリアなので、地元の人含有率が高い感じ。チェックインの約束時間までちょっと早いし、ここで朝のカプチーノを飲んでいこう!

広場で最初に出くわしたのは魚屋さんの屋台。この場でさばいて切り身を作ったりしている。数羽のカモメが一定の距離を保ちながらまわりをうろついていた

バールでのんびりカプチーノ。テラス席はバカ高いのではと身構えたけど、こういうエリアなので€2.50しかしなかった。

カプチーノを飲んでおしまい!のつもりだったけど、つい30分も長居してしまった。陽光を浴びてテラス席でのんびりというシチュエーションが、とても心地よかったんだもの。私の近くにあるのは八百屋の屋台だったけれど、広場一帯がかなり生臭いのはちょっと閉口したけどね。魚屋はかなり離れているにも関わらず……

ヴァネツィアらしい "プチ・ゴージャス" なB&B

今回の旅で一番懸念したのはやはりヴェネツィア本島での宿泊代だった。まして一人旅だとダブルのシングルユースせざるをえないことが多く、2人旅での倍額近くになる。そこにロケーションの良さも加えるとなると探すのは至難の技。だから最初はヴェネツィアはおまけで1泊して半日散歩を楽しめばいい、くらいに考えてた。でも、どうせなら2泊すれば丸一日使える日があるよね、となった。でも、2泊だと日本着が土曜日かあ……月曜夜に受講している美術講座に出たいんだけど、だったら日曜着でもいいかな、と決めた。日程を決めて航空券の値段を調べたら日曜着は土曜着より2万円も高い。で、翌日の月曜着だと3万円安い。えー……いくらヴェネツィアが物価高いっていっても一日の滞在に3万使わないよねぇ、一泊増やした方が安いってこと? と、デモデモしたえうったあげく、ええい、4泊しちゃうか!となったわけ。

4泊しちゃうことにしたはいいけれど、果たして条件の合う宿は見つけられるか? 最初に目星をつけておいた宗教施設が運営しているホテルはあっという間に埋まっていく。その他よさそうなところも4日のうちどこかが満室になっている。で、なんとか納得出来る値段およびその他もろもろの条件で4連泊取れそうだったのが Ca' Riza というB&Bだった。サン・ポーロ地区とサンタ・クローチェ地区の境目あたり、空港行きのバスが出るローマ広場まで徒歩10分、クロアチアからのフェリーが着く埠頭から徒歩15分、どこにもアクセスしやすい中心部ながら割と静かなエリアのようでロケーションは申し分ない。屋根裏のシングルルームだけど写真を見る限りでは素敵な感じ。シャワーだけなのは構わないけど専用バスルームではなく別の一部屋との共用というのが唯一気になるところ。でも、このロケーション条件はかなりいいんだよね……。

結局、今なら4連泊が取れるということでこのB&Bに予約を入れてしまった。それも10%安いキャンセル不可返金なしプランで。それでも一泊€96.50もする。それが4倍、Booking.comの即時決済割引で€30.88引いてもらえて、€2×4の市税がプラスされて合計€363.12。その場でカード決済された。共用バスルームのシングルなのに、今回の旅の宿代で一番高額なんだから、ヴェネツィア本島の宿泊費がいかに高いことか……。

宿から道順のメールをもらってなければ、なおかつストリートビューで確認しておかなければ、この道を入っていった途中に入口があるなんて思わないでしょ

部屋の窓は建物に囲まれた内側に向いているのでとても静か。普通の暮らしがすぐそこに見えて、なんか宿泊というより下宿している気分

こじんまり可愛い屋根裏のシングルルームまでは3階まで狭い階段を上がってこなくてはならない。広角レンズ効果でそれほど狭くないよう見えるけど、ベッドの足元は20cmくらいのすき間しかないし、テレビは台の上ではなく天井に貼り付いている

レセプションも狭いけどインテリアは可愛らしくもハイセンス。いろんなパンフレット類やキャンディなどが置かれている

シャワーとトイレは扉を出ないとならないけど、室内に洗面台だけはある。花の絵の描かれたクローゼットやファブリック選びのセンスなど、ヴェネツィアらしいプチ・ゴージャスさが素敵

建物のすき間というより下側をくぐった路地の奥、ちょうどチェックアウトするお客さんがいて扉が開いていたのですぐわかった。迎えてくれたオーナーは50代くらい、イタリア人にしては穏やかな物腰の哲学者のような風貌の男性だった。
チェックイン手続きをしながら「ヴェネツィアは初めて?」とマップを広げる。「4回目なの……3回目が20年も前だけど」と言うと、彼は軽く目を見開き、嬉しそうな表情を浮かべた。イタリア人にしては静かなアクションで。
「それなら、サン・マルコは知ってますね。ドゥカーレ宮殿も。リアルト橋も」こくこく頷き、今回はそれ以外のアートをたくさん見るつもりなのだと伝える私。
「私のお奨めはサン・ロッコとカ・ドーロ。知ってます?」うんうん! そこ! 行くつもりなの。やっぱお奨めなんだー(^^)
「アカデミア美術館では今ダ・ヴィンチの『ウィトルウィウス的人体図』の特別展示してます」パンフレットをくれた。
「ヴェネツィア・ビエンナーレが始まったばかりなんだけど、興味ある?」そこまで余裕あるかわからないけど、興味はあると答えると、20数ページあるガイドマップを全ページコピーしてくれた。うわ〜〜ありがとう!
最後に彼は『Libreria Acqua Alta』というのが隠れた面白スポットだよと教えてくれた。アクアアルタってヴェネツィア特有の高潮だよね。実は一回遭遇したことがある。「高潮書店」……何だろう?

街歩き前に美味しいお菓子で燃料補給

これからこの部屋で4日間を過ごすのだから、荷物をすべて取り出し使い勝手がいいように整えた。お茶を淹れて、オーナーがくれたちびクロワッサンやロヴィニのパン屋で買ったパイ菓子を食べながら、ちょっとぐったりする。下着や靴下の洗濯もして室内のあちこちに干す。キャミソールなんかは窓辺にぶら下げる。いい風が入ってよく乾きそう。ようやく天気も晴れてきてこれから気温も上がっていくみたい。何日間も着たきり雀だったセーターとはもうおさらばよ!

そんなこんなで14時半、いよいよヴェネツィア街歩きのスタート!
さて、私が抱えている悲願とは? リベンジともいうかな。それは「晴れてるヴェネツィアを歩くこと」なのだった。過去3度の訪問では2度が雨降り、1度はアクアアルタで水浸し、ヴェネツィアでは常に足元びしょびしょだったわけ。だから乾いた靴で歩きたかったのよ! どうやらその願いは叶いそう。たぶんスロヴェニアとクロアチアが厄を被ってくれたからかもしれないわ。

意気込んで出発したけれど、最初にすることはというと1886年創業の老舗お菓子屋さんでのおやつなのだ♪ 地元御用達の《Pasticceria Tonolo》は、宿からは徒歩3分もかからない。
ショーケースにはいろいろなケーキがぎっしり並んでいる。焼き菓子も美味しそう。いつも激込みで、みんな立ち席カウンターでササっとつまんで去っていくとか。多い時には行列が外まではみ出しているとのことだけど、この時は奇跡的に数人しかお客さんがいなかった。視界を妨げるものもなく焦ることもなくじっくり選べる。お菓子は基本的に€1.10均一。やや小ぶりで安いので2つ3つ食べられそうなのが嬉しいわ。

全然今風ではなく、どちらかというとレトロすぎる外観の地味な店構えの《Pasticceria Tonolo》。ごちゃごちゃ狭い路地にあるので、ここ目当てに来る人は見つけにくいと思う

カフェマッキャートにティラミスとシュークリームをチョイス。評判だというティラミスは濃厚なマスカルポーネと芳醇なラム酒の香りが絶品! 無難なつもりだったシュークリームのカスタードクリームのあまりの滑らかさと上品な甘さにさらにびっくり

サン・ロッコの教会とスクオーラで、ティントレットの世界に埋没する

観光スタート第一弾は橋ひとつ渡るだけの近くのサン・ロッコ教会 Chiesa di San Rocco。目指していたのは、ティントレット美術館との別名を持つスクオーラ・グランデ・ディ・サン・ロッコ(S.ロッコ大同信組合)Scuola Grande di San Rocco だったのだけど、間違えて教会の方に入ってしまった。でもちゃんと素晴らしかったからいいけどね。ヴェネツィアの教会ではほとんどが入場料がかかるので、入口で€2を払った。

レリーフや彫像で装飾されたサン・ロッコ教会。聖ロッコは中世期に猛威をふるったペストの守護聖人だとか

右の建物がスクオーラ・グランデ・ディ・サン・ロッコ。奥にサンタ・マリア・グロリオーザ・デイ・フラーリ聖堂の後陣が見える

サン・ロッコの教会とスクオーラは曲がり角をはさんで隣り合っている。どちらも美しい外観だけど、スクオーラの方がよりゴージャス!

サン・ロッコ教会の聖歌隊席はオルガンと同じ高さにあった。きっと上から天使のような歌声が降ってくるのね

サン・ロッコ教会の主祭壇。両側の壁の油絵はヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノの一番弟子ティントレットの筆。彼もまた光と影を強く表現する画家であるのだなあと、この後のヴェネツィア教会巡りで改めて認識していくことになる

教会を出てスクオーラへ。私は最初スクオーラというものがよくわかってなくて、教会のちょっと規模の大きいもの程度に考えていたので、入口に書かれた€10という料金にまず驚いた。高すぎない? でも入ろうと思ってたし、宿のオーナーもお奨めしてたことだし。いやぁ……よくわからずにケチらなくてよかったわ。このスクオーラにはティントレットが46歳から69歳までかけて描いた絵が70余点もあるのだ。まさしく美術館並みの、チンケな美術館なら足元にも及ばないレベルの内容にただただ圧倒されたのだったから。

スクオーラ・グランデ・ディ・サン・ロッコに足を踏み入れていきなり眼前に広がるのは1階の巨大サロン。ギリシャ風の柱が林立し、壁面にはティントレットがマリアの生涯を描いた絵が8枚並ぶ

マリアの生涯の一番最初は『受胎告知』。お供の天使たちを大量に引き連れての大天使ガブリエルの登場にのけぞって驚愕するマリア。かなりの躍動感

受胎告知で始まったマリアの物語は『聖母被昇天』で終わる。こちらは意外にドラマチックな感じが薄いけれど、扉の食い込みを逆手に取ってだまし絵風に台座が描かれているのが面白い

2階への大階段。蹴上げ部分の花のような彫刻の美しさが私のツボにはまる

色大理石を組み合わせた踊り場の床、アーチに施されたレリーフ、いちいち美しい

踊り場から2階をつなぐ階段の間。壁や天井を埋めている絵はティントレットのものではない

1階のサロンでそこそこ感動し、大階段でも驚嘆し、そのまま2階の大広間に突入して息を飲んだ。あまりの豪華きらびやかさ、圧倒的な迫力に一瞬息が止まったのかもしれない。しばらく上を見上げたまま硬直していたけれど、気を取り直して双眼鏡を取り出してじっくり見ていった。途中で鏡を見つけてからは、のけぞることなしにしっかり見ることができて快適だった。細部を見るのに疲れると、しばらくぼーっと佇んで荘厳な空間に全身を包まれてみる。そしてまた鏡をのぞいて行ったり来たり。そんなことを繰り返し、この広間で30分以上も時間を過ごした。

それにしても空いている。このだだっ広い空間に10人いるかいないかくらい。ヴェネツィアのティントレット天井画といえば、世界最大の油絵であるドゥカーレ宮殿のものだけど、おそらくあちらではぎゅうぎゅう詰めに行列してるんでしょうけどねぇ。みんな一日や二日の滞在ではここまで手が回らないのよね、私もそうだったようように。こんな穴場があとどれだけあるんだろう?

スクオーラ・グランデ・ディ・サン・ロッコの大広間は、円熟期のティントレットが20数年かけて描いた絵の数々で埋め尽くされている。燻したような黄金の天井装飾も、色大理石を組み合わせた床も美しすぎて目眩がしそう

天井画は旧約聖書からの題材を描いたもので、その方面の知識のない私には内容は今ひとつわからない。でも、中央にある『岩から水を湧き出させるモーゼ』は、噴出する水の描く曲線の美しさと極端なほどの明暗がいかにも "奇跡" を表現しているように感じられる

大広間の照明は決して明るくない。広さに光量が追いついていないせいもあるだろうけど、少ない光の作る陰影がこの空間をよりドラマチックに演出しているのかも

天井画を見るための鏡が置いてある。これを持って歩きながら映して見ると首が疲れない

夢うつつ気分で大広間隣の続き部屋に行ってさらに衝撃を受けた。そこは「接見の間」と呼ばれる小部屋で、その正面壁画の『磔刑図』で再び息を飲んだ。主役は磔にされたキリストでありながら、手前の人物たちの方がずっと大きく描かれて下から見上げる視点になっている。描かれたサイズは小さくとも、キリストにはスポットライトのような強い光が当てられて絵の主題であることは伝わってくる。まるで劇場の舞台のよう。ティントレットってこんなにドラマチックな描写をする画家だったんだ……。私のこれまでの意識ではヴェネツィア派といえばティツィアーノばかり(特に彼の若い頃の華やかで色艶やかな作風のものが好き)だったので、改めてティントレットの凄まじさを発見した気持ちだった。それを滞在中にこれから何回も突きつけられることになるとは、その時はまだ知らない。

接見の間の『磔刑図』はその劇的な描写に強く心を揺さぶられた。天井画と違ってすぐ近くで対峙できるからなおさらそう思うのかも。この部屋の天井画の『栄光の聖ロッコ』は対照的に明るく華やかさがある

接見の間の先には特に装飾もされていない地味な廊下があって、すごく投げやりな感じに何枚かの絵がかけてあって、そのうち2点は何とティエポロだった。さらに進むと聖具室のミュージアムになっていた。完全に美術館の所蔵作品だわ、€10の料金は至極妥当だわ。見にきてよかった。

ヴェネツィアの定番スポット巡り、バーカロ巡り

魂を揺さぶられ過ぎて疲労困憊、外に出た時にはぐったり。その足ですぐ近くにあるサンタ・マリア・グロリオーザ・デイ・フラーリ聖堂 Basilica di Santa Maria Gloriosa dei Frari に入るつもりで扉をくぐったのだけど、今日はやめにして回れ右して出てきた。
フラーリ聖堂のティツィアーノを見るのは今回の訪問の目的のひとつだけど、このまま続けざまに見たら何も心に響いてこないような気がするの。今しばらくティントレットの余韻に浸っていたいので、感動が半減してしまうか上書きされてしまうのも嫌だもの。それにもう16時を回っている。入場するようなところは17時かせいぜい18時で閉まってしまうし、でも日没は4時間以上も先だ。じゃあこの後はヴェネツィア島内を歩き回ってみよう。水上バスを使わずに、だいたいの距離感と位置関係を体感するために。そして、いわゆる「定番スポット」の写真をひととおり撮ってこようじゃないの。

ヴェネツィアン・ゴシックのバラ窓と高い尖塔の鐘楼が堂々とした印象のサンタ・マリア・グロリオーザ・デイ・フラーリ聖堂。訪問は気力体力充実した明日の朝一にする

昼酒ってどうしてこう美味しいんでしょ(^^) キリッとシャープなプロセッコに、ズッキーニのグリル、ちびパニーノ。

粋なポーズで客待ちするゴンドリエーレ

サン・ジャコモ・デローリオ広場では、子供たちがサッカーに興じていた。鞄や上着を井戸の上にひとまとめに置いたままで、明らかに学校帰り。私も子供の頃にはこんなふうに道草して遊んだりしたけど、今の日本の小学生たちにはありえない光景かもしれない

遅い午後の時間、落ちている木漏れ日の影も心なし長くなってきている。日没まではまだまだ時間はたっぷり

フラーリ聖堂から北上して歩き、広々としたサン・ジャコモ・デローリオ広場 Campo S. Giacomo dell'Orio に面したバーカロでちょっと休憩することにした。そう、いくつかある目的の大きなものに「バーカロ」と呼ばれるヴェネツィアならでの居酒屋巡りもあるのだ。バーカロとは、チケッティと呼ばれる単品おつまみとドリンクで主にスタンディングで楽しむ飲み屋さんで、形式としてはスペインバルと同種かもしれない。20数年以上前の過去の訪問では私はまだ小娘だったり、母を連れていたり、お酒の強くない人と一緒だったりした。バーカロなんてものの存在は知らなかったし、ガイドブックにだって書いてないし、そもそも立ち飲み居酒屋に入る勇気も度胸もなかった。でも、今はおひとりさまスキルをバリバリに高めたふてぶてしいオバちゃんよ。ひとり呑み、ノープロブレムよ!

この《Al Prosecco》という店は名前のとおりにプロセッコが美味しいらしい。私はなんとなく昼酒はビールかプロセッコと決めてるの。喉ごしが爽やかで炭酸があるとアルコールも低い気がして(そんなことはない)、何となく昼から飲んだくれる罪の意識は薄くなるの……。
立ち飲みカウンターは狭かったし歩き疲れてもいたので外のテーブルに座った。プロセッコが€6だったのは元々高いのか座ったからかはわからないけど、もっちりしたパン数切れを添えたズッキーニのグリルは€1、テニスボールくらいの小さなハム入りパニーノは€2の合計€9だった。なるほど、こんな感じで何軒かハシゴすれば適度に酔っぱらってお腹も満たされて、おまけに安上がりにすむんだわ。

軽く腹を満たして休憩もし、最初の定番ポイントリアルト橋 Ponte di Rialto へと向かう。カナルグランデに架かる4つの橋のひとつ、優美な石造りの屋根つきの白い橋だ。定番ポイントに近づくにつれ、だんだん人が増え始めてくる。リアルト橋周辺は完全に「ザ・観光地」だった。

カナルグランデすぐ際のスペースから青空を見上げる。やっと晴れているヴェネツィアの地に立てた! 20年越しの思いに嬉しさがこみ上げてきた

リアルト周辺はそもそもが活気あるエリアで、橋近くのアーケードの天井には古いフレスコ画が残っている。かつては生活のための市場だったけど今はお土産屋さんがずらり

「ここは原宿の竹下通りか、京都の産寧坂ですか?」というくらいに大混雑しているリアルト橋上の通路

橋の上で運河をバックに自撮りするカップルの横にはカモメが。一緒に写されてる?

側に寄っても微動だにしない。どうもまだ子供のカモメっぽい

なぜか今回はモデルになってくれる鳥が多い気がするなあ

リアルト橋の上を渡って戻ってきただけで終わりにする。全景写真を撮る機会はこの後にいくらでもあるだろうからね。さて、お次はサン・マルコ。もう一度、今度は移動のためにリアルト橋を渡る。

リアルトからサン・マルコへ、定番中の定番ルートを歩く

細い小径が入り組んでところどころに運河や橋が現れてというのは同じなのに、リアルト橋からサン・マルコへと至る道中はカオスな迷宮だった。ヴェネツィア2大定番スポットにはさまれたエリアだから当たり前なんだけど、どこも観光客たちでびっしり。賑やかに彩られたショウウインドウも両脇にずらりと並んでいるので、いきなり色や音が増えたように感じる。まるで遊園地の迷路のよう。

今回はマキネッタを買って帰ろうと思ってた。直火式のエスプレッソメーカーで、Bialetti 社の「モカエキスプレス」というのが一番普及していてさまざまなバリエーションがある。20年以上前に De'Longhi のエスプレッソマシンを持ってたけど、5万円近くしたし、淹れる手順も手入れも面倒臭いし、時々しか使わなかったのに3年で壊れたのよね。マシンで淹れた特有のクレマは立たないけど、お手軽なマキネッタがイタリア家庭に普及するのはわかる。Bialetti 社のモカエキスプレスは Amazon でもほぼ変わらない値段で売ってるけど、どうせならイタリアで買いたかったの。

サン・マルコ近くの路地の途中に老舗メーカー Bialetti 社の正規ショップがある。マキネッタは大きさや種類別にたくさんあって、イタリア人にとってエスプレッソがどれほど生活に密着しているものなのか痛いほどにわかる

デミタスカップ1杯分エスプレッソが淹れられるマキネッタ。10色くらいカラー展開されていたけど、ここはイタリアンレッドを選ぶ。もともと私には「火に炙られるものは赤!」という気持ちがあって、我が家のヤカンは代々赤いのだ

店内でうろうろ悩んで€22.99の1カップ用マキネッタを選んだ。仕事してて煮詰まった時に淹れてキュッと飲んで喝を入れるんだ! カード決済用のレジは2組の客がいたので、たいした金額でもないしと現金用レジに持っていくと、替えのゴムパッキンも奨められたのでついでに買った。さらにコーヒーパウダーも奨められたけど、これは断った。トリエステでIllyを何缶も買ったもん。
お釣りをしまおうと小銭入れを出すと、店員の女の子は「あら、それ素敵ね、○○のでしょ?」などと笑う。ダークレッドのかなりスエードっぽく見えるけど実は布製で、正方形しててファスナーが斜めに対角線になっていて、ファスナーとタッセルは焦茶で白いステッチがあって、開けると鳥のヒナのくちばしのようにパカっと開いて中身が見えやすいもの。ちょっと洒落てて使いやすくてじっくり見なければ安っぽさには気づかない。○○は聞き取れなかったけど、ブランド名なのかな? 褒めてくれたのは嬉しいけど、でも多分違うわ。だってこれダイソーで100円だから(^^)
「ありがとう。日本のリーズナブルなブランドなのよ」と笑ったけど、立ち飲みエスプレッソ一杯以下の値段だって言ったらびっくりするだろうなあ。

そのままぷらぷらと道なりに150mほど、道の先にちょこっと見えているのはもしかしたらサン・マルコ寺院 Basilica di San Marco の側面部? どーーんと広大なサン・マルコ広場 Piazza San Marco に出逢うことなくいきなり横っちょにひょいっと出てしまった。私はもう何度目かになるから構わないけど、初ヴェネツィアならこちら側からのアプローチはちょっと盛り上がりに欠けるかもね。

それでもサン・マルコ寺院は壮麗で優美で豪壮で、イタリアの他の建物のどこにもない独特なオリエンタルな香りを纏ってそこにあった。ああ、ここに再び訪れた……その感慨は想像以上に急速に私の中に満ちてきた。「まあヴェネツィア来たなら一応来ておかなくちゃね」程度の気持ちだったのに、いざここに立ったら、何だかうっすら涙ぐみたくなってきた。何でだろう? これはどういう感情? 歳とったからかしら?

文句なしにヴェネツィアで一番有名で一番大きくて豪華で一番美しいサン・マルコ寺院。今回は内部に入らないからこそ、これまで以上につぶさに丹念に時間をかけて外観を観察した。改めての発見や歳を重ねたから見えてくるもの……いろいろ

扉上の細工はレースのように繊細なレリーフはピンクや緑や青の大理石が組み合わされている

いくつか並んだ半円蓋の一番左側には『行列で大聖堂内へ運ばれる聖マルコの棺』の図。聖マルコの棺が中央に掲げられ、人々が並び、その背後にはこのサン・マルコ聖堂そのものが。ここだけ古い時代のモザイクで描かれている

他の3つの半円蓋にも聖マルコの遺骸と聖堂とのエピソードが、こちらは絵画で描かれている。でもさあ、本来ヴェネツィアの守護聖人ってもうちょい格下の人で、海洋大国ヴェネツィアとしてのハクづけに、遺骸をエジプトのアレキサンドリアから強奪してきちゃったっていう話よね

正面中央入口の上には『栄光のキリストと最後の審判』。そのずっと上方でヴェネツィア共和国のシンボル有翼のライオンが黄金色に輝いている

ちなみにヴェネツィア本島内の広場でピアッツァ Piazza がつくのはサン・マルコ広場のみで、他の教会や鐘楼がある広場はカンポ Campo というらしい。地図を見る関係上、広めの道サリザータ Salizata、普通の道カッレ Calle、運河沿いの道フォンダメンタ Fondamenta、建物の下をくぐるトンネルの道ソットポルテゴ Sotoportego というのは一応リストアップした。特異な町ヴェネツィアは町の部分を表す単語も独自なのね。
サン・マルコ寺院のファサードをとことん眺め終えてから、広場の横にのびるサン・ザッカリア岸 San Zaccaria をそぞろ歩く。ヴェネツィアに来た人ならほぼ全員がここにも立つだろう場所だけど、やはり定番たりうる完成度ある景観なのよね。

ここもヴェネチィア定位置。サン・ザッカリアよりサン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂 Chiesa di San Giorgio Maggiore を望む。まんまこの構図で絵を描いたっけ

サン・ザッカリア岸は大運河カナル・グランデの終点。ここからは運河沿いの岸ではなくて「海岸」になるわけか

バーカロのハシゴ2軒目のち、定番巡りはまだまだ続く

さて、小腹が空いてきた。今日も胃袋に大きな負担はかけないつもりでいるので、ちゃんとしたテーブルでサービスを受けるような店で食事するつもりはない。でも肝臓は休ませなくていいと思っているので、バーカロでつまみをちょこっと食べて呑むわよ!

サン・ザッカリアの埠頭あたりから100mほど内側に路地を入ってみる。サン・マルコ寺院の横側はブティックやショップが並んでいたけど、裏側の一帯は気軽そうな飲食店が集まっている。まだ18時半頃なのでちゃんとしたリストランテやトラットリアは店を開けていないか準備の真っ最中。特に賑わっている《Bacaro Risorto》という小さな店に入ってみた。店内は狭く、当然椅子もテーブルもなく、みんなグラスを持って外に立ってお喋りしている。20代くらいの若いコが多い印象。
私は赤ワインと2種類のチケッティをオーダーし、店内の立ち席カウンターとすら言えないようなガラスケース前の狭いスペースでササッと呑み喰い。これで€6.50。あら〜お安いわぁ。

まずはヴェネト地方の郷土食でありチケッティの代表格でもあるバッカラ・マンテカート(干し鱈のすり身)。クリーミィでにんにくきいてて鱈の風味と塩加減がいい。もうひとつは酢漬けのカルチョーフィを乗せた柔らかいサラミのようなハムのようなもの。指差しで頼んだので名前はわからないけど。脂が甘くて美味し〜い(^-^)

一人旅の私はお喋り目的ではないので、ぱくぱくっと食べて、ワインもくぴっと飲み干して、さっと店を出る。

またサン・マルコ広場まで戻った。さっきはサン・マルコ寺院の真ん前でファサードだけをたんまり眺めたので、今度は広場と教会と鐘楼とのセットになった空間に身を置いた。広場を埋めていた人はだいぶ数が減ってきている。夜景が美しい時間帯になるときっとまた増えるのよね。

広場をコの字に囲む流麗な建物の、その西端の回廊から、サンマルコ広場サンマルコ寺院と鐘楼を望む。この広場が夕陽で赤く染まるまではまだしばらくかかりそう

運河と橋とゴンドラ。もちろんヴェネツィア定番風景。この左側の建物は5星ホテルで、25年前にこの運河を見下ろす部屋に泊まったことがある。当時は円高でイタリア通貨のリラは暴落してたからね。夜になるとカンツォーネを唄うゴンドラが何艘もこの運河を通っていったっけ……

サン・マルコの鐘楼の次にのっぽだというサンタ・マリア・グロリオーザ・デイ・フラーリ聖堂の鐘楼。宿から近いので方向を示すいい目印になる

ヴェネツィアでは珍しいバロック様式のファサードを持つサンタ・マリア・デル・ジッリョ教会。サン・マルコから近くて目立つのでツアーの待ち合わせ場所なんかによく使われるみたい

サン・マルコ広場からひたすら西へ直進、5つか6つほど小さな運河を渡ったかしら、中央に彫像の記念碑のあるサント・ステファノ広場 Campo Santo Stefano で南に折れるとアカデミア橋 Ponte dell'Accademia に続いていく。カナル・グランデにかかる木造の橋で、これで左岸側に渡れる。

アカデミア橋が見えてきた。橋の向こう側にはアカデミア美術館があるけれど、こちら側はいたって殺風景

アカデミア橋の上から西の方向を眺めると傾きかけた太陽がほんのり空を赤らめていた。残念ながらこの方向には特徴的な建物はないんだけど……

アカデミア橋上の代表的な景観といったら断然こっちのサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂 Basilica di Santa Maria della Salute を望むものでしょう! おそらくここに立った誰もが同じ構図で撮影するのではないかしら。ここは夜明けのビューポイントだけど、西日の当たる光景もまた良さそう

アカデミア橋上で夕暮れを待つにはまだ1時間はかかるだろうし、雲の感じから綺麗な夕焼けにはなりそうもないな。とりあえず超有名な定番ポイントでヴェネツィア訪問の証拠写真は撮りきった。もう散策しがてら部屋まで帰るとしよう。途中でもう一軒バーカロに寄ろうかな。

最後にバーカロで〆て、ヴェネツィア最初の夜は終わる

また小さな運河を5つ6つ渡って北上する。何となくではあるけれどだいたいの位置関係や距離感が体感できた気がするわ。
さて、〆のバーカロに寄るとするか! 最初にケーキを食べたお菓子屋さん Tonolo の並びにある《El Sbarlefo San Pantalon》という店が感じが良さそうなので入ってみた。ここからなら3分くらいで帰れるし。
昔ながらのバーカロというよりは、チケッティを取り揃えたワインバーという感じで、ワインの種類が充実している。赤ワインを頼んだら銘柄や種類の希望を聞かれたので、何となくメルローのフルボディがいいかなーなどと言ってお任せにした。ケースの中のおつまみはすごく多いわけではないけれど、20種類くらいはある。どうやらこの店は揚げ物が得意なようでどれも美味しそう。でも、揚げ物って衣まとって茶色いので素性がわかりにくい。お店のおじさんはとても感じがいい人なので、「これは何? これは? こっちは?」と気になるものを指差してはいちいち教えてもらった。

右から鶏肉団子を揚げたもの、リコッタチーズとポテトとみじん切り野菜を練って揚げ焼きしたもの、サーモンで巻いたモッツァレラを揚げパンに乗っけたもの。ちょっとお洒落な感じに盛ってくれた。鶏団子とサーモン&モッツァレラはほぼ想像どうりだったけど、「リコッタチーズかき揚げ」は驚愕の美味しさ! 野菜の歯触りとチーズのトロ〜リとポテトのホクッがたまらん三重奏だわ

このあたりは観光客でわちゃわちゃに混んでないし、たまたまエアポケットに落ちるようにストンと空いてた時間帯だったんだと思う。奥のテーブルがガラ空きだったので座らせてもらった。さすがに歩き疲れたよ……。
それにしてもこのお店美味しいなぁ。バーカロのチケッティはいろんな種類があって、店ごとに工夫を凝らしているのね。日本に帰ってからのおつまみ作りの参考にもなりそうだし、明日からのバーカロ巡りが俄然楽しみになってきた。支払いは€11.50。座ったからちょい高め。

ほどよい満腹感とほんわかほろ酔いで部屋に戻り、今日はこのままばったり早寝しちゃおう。だって早起きしてクロアチアから海越えしてきたんだもん、もう眠くて眠くて眠くて。
今日はフェリー移動があったので、ガンガン歩き始めたのは午後の3時以降から。なので歩数はちょいと少なめの16085歩。それでも、丸一日雨降りだった時よりは歩いてるのね。最後の3時間の定番スポット巡りで歩数稼いだな……。

明日も晴れますように!!!




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