Le moineau 番外編

すっきりと目覚めたイタリアの朝。

よほど眠りが深かったのか、1時近くの就寝にもかかわらず5時半頃にぱっちりと目が覚める。
ゆっくりと熱いシャワーを浴び、パソコンを起動してメールチェックをすます。

今日は、ローマから列車でサレルノに行き、そこからバスでアマルフィ海岸へと向かうのだ。列車はイタリアの最速特急・エウロスター。この列車は全席予約なんだった。切符買っておかなきゃ。
外は薄明るくなってきている。とりあえず、一人で駅に行って切符の予約と購入をすませてきた。列車は9:45発。まだ時間はたっぷり。

ホテルから7〜8分の場所に、サンタ・マリア・マッジョーレ聖堂Santa Maria Maggioreというのがある。ココは朝7時には開いている。ローマはもう4回目だけど、まだまだ廻りきれていないところがたくさんあるのだ。この教会もまだ行っていない。内部のモザイクが綺麗らしい。朝食前の散歩にちょうどいいわ。

40分ほど朝のローマを散策。街がどんどん目覚めていく様子を眺める。急ぎ足の通勤の人々、大荷物とともに駅へ向かう旅行者、朝食を取る人で賑わうバールの店先、カプリ島などへのバスツアーの発着する広場には大型バスと観光客が列を作ってる。

さて、昨日までの機内ブロイラー状態のお腹もこなれたし、ゆっくり朝ごはんとするか。
泊まったホテルは3つ星なのだが、朝食は隣の同系列の4つ星ホテルと同じ場所でとる。イタリアの朝食は、他の欧州諸国に比べ質素なのだが、4つ星なのでいろいろ種類が豊富で美味しかった。5つ星には縁がないが、星3つと4つの差は施設にはあまりないけど、この朝食が違うように思う(2つになるとエレベーターがなかったり共同シャワーになったりするので、かなり違いは大きく感じる)

さて、念願のアマルフィ海岸へ。

列車はほぼ定刻にローマ・テルミニ駅を発車した。ま、始発だもんね。
ナポリまでノンストップ。
ホントは直接ナポリに飛行機で昨晩入ってもよかったのだが。いきなり夜のナポリ到着が嫌だったのと、まずはのどかな海岸リゾートから始めて「イタリアに慣れて」から喧噪のナポリを歩きたかったのだ。

ナポリを通過し、サレルノ到着は12:46。サレルノは、世界遺産アマルフィ海岸一帯の南端入口。
サレルノ駅前はなんの変哲もないフツーの町並。SITA社のバスに乗るのだが、バス停は海岸沿いだと「地球の歩き方」にはある。事前に調べたSITAのHPの時刻表は去年のものだった。更新しろよ。ま、いいや、1〜2時間に1本はあるようなので。
5分も歩かないうちに、目の前に青い海岸線が広がる。うわ〜〜〜来たんだ! 憧れのアマルフィまでもうすぐ! 海岸通りの道路に何台か青いバスが見える(イタリアでは、市内の路線バス-アウトブス-はオレンジの車体、中長距離のバス-プッルマン-はスカイブルーの車体。会社が違っても色は一緒)…きっとあそこだ!

「地球の歩き方」の地図のバス停位置は間違っていた。

私はグラフィックデザイナーなので、こういう間違いが起こりやすいことはよく知っている。だって、地図を書き起こすのは現地取材してないデザイナーだもん。印の位置がちょっとズレただけで、かなり違ってしまうコトはままある。校正だってヨレヨレに疲れた状態で3〜4日で一冊ぶんやってるんだし。直し洩れもあるわな。そういうワケで同業の私は、短期決戦で作る情報誌のささいな間違いには非常に寛大である。

サレルノは一応ターミナルなので、バス会社の切符売場があるかな?と思ったが、そんなモノは見当たらない。一番近くにあったバールで「アマルフィに行くバスに乗りたいのだが、ココで切符は買えるか」と尋ねてみる(大抵、近くのバールや煙草屋で切符を代行販売している。先述したが、バス乗車時におカネは払えない。切符は必ず事前入手のコト。車掌は常駐してないからタダ乗り出来なくはないが、抜き打ちで検察に来て見つかると高〜い罰金が待っている)

バールのおネエさんの英語は片言だった。そこで取扱ってるのは市内バスの切符のみ。広場のはるか反対側を回り込むような動作で指差し『チケットブース』で買え、と言う。バス停もあっちだ、と。

「地球の歩き方」の地図のバス停位置はとんでもなく間違っていた。

『チケットブース』という言葉に惑わされ、バス会社の窓口のようなものを探してしまった。ウロつくうちに、そのあたりの道路に何台もオレンジや青のバスが通り、バス停の表示も見つけた。表示には『Fermata(バス停)SITA』とあるだけで、行先などは書いてない。そんなのが何本か立っている。ま、このどれかから乗れるのよね、きっと。とりあえずは切符買わなきゃ。

おネエさんが指差した広場は、中央が駐車場になっててかなり広い。『チケットブース』を想像している私は広場に面した店を一軒一軒覗くが…ない。一巡して途方に暮れ、駐車場の脇に掘っ立小屋のように建ってる売店で尋ねてみた。…売っていた。バールのおネエさんよ…確かに『ブース』ではあった。でも「タバッキ(煙草屋)」とイタリア語で言ってほしかった。そしたらすぐわかったのに。
切符を買い、バス停の場所を聞く。指差された先には表示が2本立ってる。どっち? 手前かな?

バス停(というか道端)には陽を遮るものがなく、かなり暑い。タバッキのおじさんは、バスの時刻はわからないと言った。「ナポリ・駅前行き」「ナポリ・港行き」「ポンペイ行き」などバスは頻繁に来る。道の方向としては合っているようだ。ホントにここでいいのか、2、3人の地元の人に聞くが、ココらしい。
「アマルフィ行き」は、なかなか来ない。バス停に立つ人々は何度も入れ替わるが、じっと動かない人達も何人かいる。きっと彼等も同じバスを待っているのだ、と確信し、ひたすら待つ。

13:50、バスはやってきた。ウロウロ歩いた45分+じりじり太陽に焙られた45分。バスの時刻がわかってたらお昼食べられたのになー………

帰国後、某掲示板の会話で判明。ガイドブックに乗っていた「アマルフィ方面のバス乗場」は「アマルフィ方面からのバス降り場」であった。なまじガイドブックに出ていなければ、自力で行こうとせず駅で乗場を尋ねたものの…まあ、いい。乗れたんだから。すずめの旅はいつだって結果オーライなのだ。

くねくね海岸線をひた走り

車内は3分の2ほどの埋まり具合…だが、次の停留所2、3ケ所で大量の中学生や高校生が乗り込んできた。通路までびっしりヒトだらけ。もう騒々しいこと!

それより、お腹空いちゃった。でも、こんなコトもあろうかと、朝はたっぷり食べてあるし、すぐ取り出せるところに『味ごのみ』の小袋と機内食の残りのクラッカーやチョコバーを入れてある。ポリポリと齧っているうちに、バスは崖っぷちのくねくね道をびゅんびゅんと飛ばし始めていた。

しまった。海側の席に座っておくのだった。とにかくジェットコースターのように振り回されるので、酔いそう。景色でも見えればいいのだけど、ヒトが邪魔で。私の側からは崖の壁しか見えない。あー、酔うかも。この騒々しい子供たちはきっと学校から帰宅するところなんでしょう、途中の停留所で少しずつ減っていく。だんだん沿道風景も見渡せるようになってきた。なんて綺麗な海、でも酔いそう…
前の席に座ってた12〜3歳くらいの男のコ、降りてから私の席の窓を外からガンガンと叩き「Ciao!」と叫んでいく。ありがとね、若く見えるだろうけど多分キミの母親くらいのトシなんだよ、私は。ボーっとした頭で力なく微笑みひらひらと手を振る。

15:30頃、ようやくアマルフィに到着。あー、やっと着いたー! 前置きがやたら長くなったが、私の今回の旅はココから始まるのだ。
まずはホテルに向かおう。海岸通りの道路から小さなマリーナ門をくぐると、そこがこの街の中心・ドゥオモ前広場。小さな広場にはぐるりとカフェや土産物屋が並び、階段の上にキラキラとドゥオモのファサードと陶器の屋根の塔が輝いている。

ヒナコは「綺麗ねぇ…」と、その光景をポーっと見上げてる。
わかったからさ、とりあえずホテルに荷物を置きに行こうよ。ココには3泊するんだからさ、この広場は何回も通るんだってば。

あー憧れのアマルフィ海岸!

今回、9月に出発したのにはワケがある。去年トスカーナ地方には10月末〜11月に行った。9月も連休を過ぎれば航空券がガクッと安くなるが、もう1ヶ月半待てばさらに2〜3万は下がる。リゾート地もオフシーズンに入りホテル料金もだいぶ下がる。だが、私はどうしても「紺碧の海」が見たかったのだ。7、8月の大混雑はまっぴらだが、やはり「リゾート地ならではの賑わい」も感じたい。オフシーズンだと店も閉めるところが多くなるし、天候も不安定になって「灰色の海」になってしまうかもしれない。バスや船の本数も激減するし。

焦がれた思いが通じたのか、今日のアマルフィは雲ひとつない快晴! 実は出発前の1〜2週間、Yahoo! Italiaで見ていた天気予報では、この地方にはずっと傘や雲、時には雷雨のマークが並んでいたのだ。

ドォウモ前広場。塔と聖堂と崖とが絶妙のバランスで並んでいる

こじんまりとしたホテル。入口が可愛い

ホテルは街の目抜き通りを5分ほど登った場所の3つ星・Hotel Amalfi。ここアマルフィは、高級リゾートでもあるが、手頃な中級ホテルも沢山ある。中世の修道院を改造した豪華な5つ星ホテルにも心惹かれたけどね…。日本の代理店で取扱うのは、そういった高級ホテルばかり。ツインで1泊3万近い。私はイタリアの予約サイトで探しました。レンタカーで行くのではないので、バスターミナルや船着場から荷物持って徒歩圏内であることが最低条件。
高級ホテルのように「窓から海を眺望」などは望むべくもないが、部屋はそこそこ広く、調度類も質素だけどベッドやバスルームは清潔。十分十分。

雀柄の絵皿を発見。イタリアーノ雀はちとスリム?

イタリア版・海の家。本日はそろそろ店じまい

ひと休みしてから、観光に出ることに。ドゥオモDoumoと付属の回廊・天国のキオストロChiostro del Paradisoへ。その後、立ち並ぶお土産物屋を丹念に覗いて歩く。お昼をちゃんと食べてなかったけど、もう夕方5時だし、晩ご飯はたっぷり食べたいし、とりあえずジェラート食べて小腹を満たしておこう。ドゥオモの階段正面のバールのテラス席で、しばし行き交う人々を眺める。ドゥオモのファサードが、若干黄味を帯びて来た遅い午後の陽射しにキラキラ輝いている。時間がゆったり流れるみたい。
アマルフィは高級リゾート地でもあるのだが、1本裏の小道に入ると、そこには生活の匂いが息づいている。道をふさぐようにお喋りしている買物帰りのオバさんたち、サッカーボールを抱えて駆け抜けていく子供たち…

八百屋の店先も色鮮やか

ゆったりとしたリゾートの夕暮れ。明日も晴れそう♪

少し海岸線の道路Lungomareを散歩することにした。ところどころにベンチがあり、みな夕食前ののんびりした時間を思い思いに過ごしている。しばらく歩いてみたが、写真を撮ろうとすると逆光で具合が悪い。明日の朝改めて来ることにしよう。日没は7時少し前くらい。少し肌寒く感じ始めた頃、一度部屋に戻る。

さあ、イタリア初ごはん!

レストランの開店は大抵8時過ぎ。高齢のヒナコを1時間ほど昼寝させておく。その間、私はネットを繋ぎメールチェック。荷物を開いて、昨日取り替えた靴下や下着などを手洗いして干しておく。
8時半になった。さー、ごはんだよ! 海の幸をたっぷりいただこうね!
ドゥオモ広場まで下りていき、階段横の賑わっている店に入った。愛想のいいおじちゃんカメリエーレ3人に迎えられ、席につく。白ワイン1本とガス入りの水1本をまずオーダー。

今回覚えてきた食に関するイタリア語のフレーズがいくつかある。味はともかく、量が問題なのだ。団体ツアーの場合は、あらかじめ一皿の量を日本人向けに若干減らしてある。だが、個人で頼むとそうはいかない。いつもいつもセルフサービスの店ばかりじゃ味気ないし、やっぱり雰囲気のいい店で(「高級」という意味ではない)それなりの気分は味わいたいしね。
いかんせんヒナコは高血圧。普段は一般の日本人よりずっと量も塩も油も控えた食事をしているのだ。真っ当なイタリア人の分量が食べきれるワケがない。
早速そのうちの一つを使う。

「この料理、半分半分で分けたいのだけど」

全然、問題なかった。ちゃんと取り分けるお皿やスプーンを出してくれる。
前菜をすっとばして、まずはムール貝のスパゲッティ。フレッシュトマトがたっぷり入っている。何よりパスタの茹で加減が絶妙。あーこれこれ、これがイタリア以外のヨーロッパではみーんな柔らか過ぎなのよねー。イタリアの次にパスタを上手に茹でるのは絶対に日本だと思うゾ。日本人は麺類の茹で方には厳しいもんね。
ムール貝は小振りだけど身が締まってて美味しい。15年くらい前、NYで食べたデカくて臭くて身がぶわぶわのムール貝を思い出す。洗面器一杯くらいの量出てきたっけ。あの時もうム−ル貝なんて一生食べるもんかと思って、事実5〜6年はパエリヤに2つ3つ乗ってるものまでいっさい食べなかったんだっけ。

メインは一人一品ずつ取った。エビとイカのフライと、溺れダコ(蛸のトマト煮)。
だけど「どっちも食べたい私達の気持ち」を察してか、ちゃんと取り皿を用意してくれる。
イタリアのフライは、粉をふって揚げただけなので、パン粉の衣をつける日本のフライよりずっとサッパリしている。味も塩とレモンだけ。くどいソースで煮込まれるより、よっぽど日本人の舌には合います。
タコもかなり濃い味付けだが、ハーブが効いていて美味しい。でも、一人で一皿は無理だわね。半分だから美味しく食べられるというもの。

ほとんど貝ばっかりに見えるが、深皿なのでパスタはこの下にたっぷり入っている

左が溺れダコ、右がフライ。

さっき、ジェラート食べちゃったから、デザートはなし。エスプレッソを頼む。
イタリアのエスプレッソは濃くて苦すぎるという人が多いけど、私は大好き。特に食後は格別。
「お会計を」と告げると、伝票と一緒に「コレはサービスだよ」と食後酒を持って来てくれた。この地方の名産のクリームリキュール。ピンクのがストロベリーでオレンジのがメロン。甘くて冷たくて美味しいけどアルコール度数は相当高い。ヒナコは味見程度でやめ、残りは全部私が頂きました♪

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