Le moineau 番外編

6時半起床。ぐっすり眠った。
シャワーを浴びてから、昨日決めていた通り、朝食前の海岸通りの散歩に出る。15分ほどのんびり歩くと、月の修道院Luna Conventoという名の高級ホテルの前に出る。かつての修道院の回廊が残り、宿泊客でなくてもその回廊からの眺望を楽しむことは出来るのだが………。建物は崖の上の方にある。階段は長く、タダ見のためにドアボーイにエレベーターのドアを開けさせるのも忍びない。こんな朝っぱらでは「ロビーでお茶」も無理だろうし。庶民は庶民らしく諦めることに。
ほんのり残る薔薇色の朝焼けや、少しずつ色味を鮮やかにしていく山肌を眺めながら、波打ち際まで下りてみる。「朝のひと泳ぎ」をすませて物陰で着替えているヒトがいる。スクーターにサカナを積んだおじちゃんと朝の挨拶を交わす。バールは朝の開店準備。コーヒーの匂いが漂ってくる。そろそろホテルに戻って朝ごはんにしよう。

バスで行く「エメラルドの洞窟」

今日は、バスでエメラルドの洞窟Grotta dello Smeraldoまで行き、見学後ポジターノに行く予定。昨日、バス停近くのバールに貼り出されていた時刻表は見ておいた。切符もそこで買ってある。洞窟近くで切符が買えるか不明なので、念のため洞窟〜ポジターノ間の切符も買ってある。

バスは9:30発のソレント行き。運転手にエメラルドの洞窟で降りる旨頼んでおき、今日はゆったりした気持ちで車窓風景を眺める。とはいっても、細い崖っぷちのくねくね道をバスは信じられない勢いでブッ飛ばしていく。対向車が来ても互いのスピードは緩まない。はー、たいした運転技術だわ。
約15分後、運転手に教えられバスを降りたのは私達ふたりだけ。道路に面して2軒の土産物屋兼バールがある。
少し離れたところにエメラルドの洞窟と書いた小屋のような建物があり、そこが切符売場。切符売場のおじさんは、すずめがリンクを貼っている名古屋のnoririさんに顔も髪型もそっくりだった。(わかる方は笑ってください)一瞬、南イタリアではなく名古屋に来ちゃったのかと思ったよー。

エレベーターで崖下まで降りる。降りた先は小さな入り江になっていて、洞窟の入口がある。やたら陽気なおニイちゃんと渋い親父の船頭が「10時からだからそのへん座って待ってて」とか言う。そのへん…って、岩しかないんですけど。朝一番の客は、私達日本人とドイツ人夫婦だけのよう。あらら…イタリア人船頭を加えるとプチ三国同盟だわ。でも、10時ギリギリにイギリス人夫婦とアメリカ人の女のコ二人連れがやってきた。ふーん、プラス米英ね(笑)。全員英語でOKということを確認して、船頭の案内でボートに乗り、洞窟内に入っていく。

波の浸食で出来た洞窟の中に光が差し込んでエメラルド色に見えるというもの。このテのものは、南イタリアには何ケ所かあるそうだ。カプリ島の青の洞窟があまりにも有名だけど、このエメラルドの洞窟だって決して負けていないと思う。単に知名度とアクセスの問題だけのこと。だけど、値段は青の洞窟の5分の1以下で待ち時間もほとんどナシ。私はこちらをおススメします。(ていうか、青の洞窟、ボリ過ぎ)

ほんとはもっとずっと綺麗。私の写真がヘタなだけ〜

衝動買いしたサンゴのアクセサリー。手描きのデミタスカップは昨日アマルフィで買ったもの

昨日カプリに行ったというイギリス人の話によると、中は青の洞窟よりだいぶ広いということ。彼等はせっせとビデオカメラを回す。ソニーのハンディカムだ。あっちのビデオはパナソニックだし、そっちのデジカメもキャノンだわ。日本製品恐るべし。
船頭はアレがムッソリーニの岩だ、こっちは熊だ、とか説明する。熊は何となくわかったけどムッソリーニはちょっとね(笑)。海底には白いセラミックのマリア像やキリスト像も沈んでいる。ちょっと無気味…? 一巡したあと船頭は、カンツォーネを唄いながら弾くようにオールを動かし、エメラルドに輝く水飛沫を飛ばしてくれる。ふぁ〜〜〜、夢のように綺麗だわー。

そして再びバスを待つ

エレベーターで道路まで戻ると、2軒の土産物屋はめちゃくちゃに混んでいた。駐車場とは言えない単なるちょっと道路が広くなっただけの場所に観光バスが何台も「無理矢理」停まってる。冷やかし半分で店を覗いてみるが、つい、クズ珊瑚で出来たネックレスとブレスレットを買ってしまった。形は小さくて不揃いなんだけど、その不揃い感がイイ感じ。思いきり安いし♪

ホントはちょっとお茶でもしたいんだけど、バスがいつ来るかわからない。
さっき降ろされた所がバス停だと思うけど…表示が何もない。Fermataとすら書いてない、ただの道端。念のため、2軒の店でそれぞれ「ポジターノに行きたいのだがバス停どこ?」と聞いてみる。どちらも同じ場所を指差す。そうか、やっぱりココか。でも、ココってさっきから観光バスが何台も出たり入ったりしてるんですけど…おまけに道路の真ん中で暑い暑い。

40分くらいは観光バスの排気ガスを浴びながら太陽に焙られていたと思う。アマルフィ寄りの道の遠くにチラッと青い車が見えた気がした。やっと来た! あー、でも、こんなデカイ観光バスの間に立ってる私達、運転手に見つけてもらえるかしらー。
でも、道の向い側で交通整理をしていたおじさんは、ずっと私達の様子を見ていたようでした。飛び出さないでーと手で合図して、バスを停めてくれました。ありがとう。

カラフルな坂の街・ポジターノ

同じソレント行きのバスで25分、ポジターノに到着。港に面したドゥオモを中心に、すり鉢状に海に雪崩れ込む崖に、パステルカラーの家々がへばり付くように建っている。クルマは中心部までは行けないので、バスもずっと崖上の街の外側に停まる。急な坂道と階段を降りてゆくと、サンタ・マリア・アッスンタ教会S.M.Assuntaのマヨルカ焼きのタイルの丸屋根が見えてくる。あー、アマルフィの街とはまた雰囲気が全然違う〜。

ポジターノの家々はアマルフィよりずっとカラフル

これがタラッリ。結構腹持ちがいい

とにかく喉がカラカラ。いつ来るかわからないバスのために道路から離れられなかったんだから。ミネラルウォーターのボトルは持ってるけど、もうぬるいし。
見晴らしのいいテラスのレストランでまずは冷たいものを飲むことに。時計を見ると11時45分。そろそろお昼なのね。でも、とにかく暑くて食欲も湧かないし。
ヒナコはオレンジの生ジュースを、私はプロセッコをオーダー。すると、オリーブとタラッリ(堅パンのようなもの)がおつまみでついてきた。コレで軽くすませちゃえ。

日中のカフェやバールでの休憩時間はたっぷりと取るようにしている。疲労度がまるで違うから。時間惜しんで欲張って歩き回っても、夕方にはがっくりと疲れてその疲れはずっと後を引くことになるから。特に高齢のヒナコを連れている時は、とにかく休憩をたっぷりと取る。
陽射しはバリバリに強いが、木陰のテラスに吹く乾いた風はとても気持ちがいい。

とにかく階段・階段・階段!

「山の街」は「坂の街」だ。港前の砂浜以外の道はすべて階段なのではないだろうか。
事前にこの街の詳しい地図は入手出来なかった。ツーリスト・インフォメーションを探してマップをもらうつもりだったが、こんなに入り組んだ路地にはそんなモノ意味がないと知る。迷っても、とにかく下に下りれば港に出るんだから。
路地のそこここに「絵にしたい」風景を見つける。アップダウンの激しい場所は、その高低差が絵になる風景を生むのだと思う。特にココは細い路地階段の隙間から青い海が見えたりするんだもん、最高! このあたりが気に入って住み着く画家も多いみたい。街の規模に対してギャラリーの数が多いこと。「うーん、どうだかなぁ?」てな絵もあるけど。飾ってある風景画があると、やっぱり丹念に見てしまう。
しかし、暑い。そして階段は疲れる。

路地を歩いているとこんな風景に出くわすんだから! 絵描きゴコロをくすぐりまくり

これでメインストリート。それにしても階段、階段…

ポジターノの街には、麻や綿の独特のリゾートドレスの店や、革のサンダルなどの店が多い。
商店の並ぶ通りからだいぶはずれた場所にポツンと1軒あるサンダル屋を見つけた。ショップというよりは工房の前に商品を並べてあるという感じで、職人顔の親父が黙々と革を縫っていた。平底の編み上げサンダルはとてもしっかりした造りで履き心地も良さそう。値段を見ると、綺麗なガラス張りのショップに並んでいたものの1.5〜2倍くらいしている。うわー、それなりの価値があるんだなー、きっと。
しばらく親父の作業を見ていた。そのうちに商品を選んだ女性がコレを買うと言ったところ、彼は彼女の足に合わせて丁寧に部分部分の調整を始めた。あー、値段に納得。

アマルフィへは船で戻ることにした。バス停のある高台まで登るのがシンドかったし、海側から切立った海岸線を眺めてもみたかったから。船着場まで行って乗り場と時刻の確認をする。夜まで船の便はあるが、暑くてヘタりかけていたのと、夕暮れ前の明るいうちの方が綺麗だろうからと16:30の便に乗ることにする。船の時間まで1時間、砂浜に面した海を臨むバールで冷たいものを飲んで待つ。

いわゆるアイス・ウィンナコーヒーってやつです。カフェ+氷+生クリームと注文したら、コレが出て来た

海から眺めるポジターノ。デッキ席は満員

海から眺めるポジターノは、より一層「へばり付いてる感」が強い。よくまあ、こんな崖の斜面に街を造ったもんだ。最上階のデッキ席に座る。よろず観光客は同じコト考えるようでデッキはぎゅうぎゅう詰め。でもって、みんな日本製のビデオやカメラをせっせと回す。
船が動き始めると風は涼しいのだが、夕方になっても陽射しはまだかなり強い。船はゆっくりと海岸線をなぞって進む。崖は木々で覆われているが、所々露出した岩肌は黄色っぽい。午後遅くの陽射しを浴びたそれが海面に映るとチラチラと金色に揺れる。約1時間で夕暮れのアマルフィに到着。この船は昨日バスに乗ったサレルノまで行くようだ。

再びアマルフィの夜

日が落ちるまで、海岸通りを、昨日とは港をはさんで反対側を散歩する。夕焼けが綺麗。きっと明日もいい天気だね。
それにしても疲れた。距離はたいして歩いていないのだが、陽射しにヤラれたのかも。八百屋でブドウとリンゴと桃を買ってホテルに戻る。

軽くシャワーを浴びて、しばらく横になって休んだが、あまり食欲が出てこない。おつまみのチップスと、おやつに持っていった煎餅の小袋だけしか食べていないから、空腹ではあるけれど。ヒナコは食事になんか行きたくない、さっき買った果物でいいと言う。
多分、軽い日射病だったのだと思う。ヒナコはせっかく持って来た帽子を「あんまり似合わない」とか言って被らなかったから。明日からはそんなコト言ってちゃダメだよ。

などなど言いながら、ゴロゴロしていたら10時近くになってしまった。レストランはまだまだ賑わっているが、これから一人で食事に行く気持ちにもならない。バールに行って温めたカルツォーネ(ピッツァをふたつ折りにしたもの)とビール1本を買って戻った。今晩は早寝。

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