Le moineau 番外編

開放感いっぱいのラヴェッロへ

今日はアマルフィより山頂の街ラヴェッロに行って、夕方にナポリに向かう予定。ホテルをチェックアウトし、荷物を預かってもらう。
観光客でいっぱいのバスで30分ほど。途中で課外授業らしい女子高生の集団が乗って来た。車内はぎゅう詰め。あー騒々しい。ヒトの頭の上でお菓子食べるんじゃない! 喋るか食べるかどっちかにしなさい! …と、ついオバサン的文句を言いそうになる。いづこも同じね、女子高生。

山頂の街ラヴェッロは抜けるような開放感。この街は音楽祭でも有名。なんでも昔ワーグナーがアマルフィからロバに乗ってやって来て、この地で作曲をしているそうなのだ。
眼下には段々畠が連なり、その先には青い空と海が広がっている。吸い込まれそう。
…と言いたいが、今日は少しばかり雲が増えている。海の青さが今ひとつ足りないなー。欲張ってはいけないが。

ヴィラ・ルーフォロの庭園へのアプローチ。この先に何が開けるのかワクワクする

目の前に突然広がる、庭園の花壇。咲き乱れまくり

まずはバス停から一番近い広場へ位置するドゥオモDoumoへ。続いてヴィラ・ルーフォロVilla Rufoloへ。ラヴェッロといえば、ここの庭園のテラスからの眺望の写真が必ず使われている。庭園の花壇は色とりどり。綺麗。月並みな表現だけど「天国みたい」

海と空の青さが、ちと足りなく、水平線もハッキリしない。贅沢言ってはいけないか…

表札や番地のプレートは色鮮やかなタイル

ヴィラ・チンブローネVilla Chimbroneへは、1本道を30分ほど歩く。地図ではわからなかったが、ここは緩い階段道であった。ヴィラ○○(邸宅)のプレートがある家がいくつも並び、門の奥には綺麗に整えられた庭が見える。ところどころにお土産物屋やカフェがある。
ロバが健気に荷物を運んでいる。猫車やリヤカーのようなものは、車輪でなくてキャタピラになっている。そうか、緩い階段道ではキャタピラが便利なのね!

ヴィラ・チンブローネの一番奥のテラスから。雲が増えている。ナポリ湾まで見渡したかった…

こんなに高い。段々畠の向こうの海はキラキラ光ってる。吸い込まれそう

小道の途中の小さなギャラリーで「めちゃ好み」の水彩画を見つけた。欧米人の描く風景画(絵葉書や原画を観光地で売っているもの)は、私の目にはどうも「派手過ぎ」に見えるのだ。黒い瞳と色の薄い瞳で見る違いかもしれないが。そもそも「色」とは観念的なものだし。見つけた絵は、ほどよくシックでほどよく鮮やかだった。もろ好み。緻密で繊細な描写に見えるのだが、よく見るとタッチはかなり大胆だ。これは私の、自分の絵に対する課題なのだ。私は、とにかくチマチマ描き込んでしまい過ぎだから…
同じ人物の作品が何点かあった。アマルフィやポジターノ、ラヴェッロなどこの近辺の絵ばかりだ。あー、どれも素敵。この作家と自分との「目」は同じだと感じた。「手」が足りないのだ、私には。

バス停へと戻る道、行きに目をつけていた展望のよさそうなカフェに入った。…と思ったら、そこは5つ星ホテルの庭園レストランだった。ヒナコは相変わらず昼食は抜くと言う。綺麗なクロスがかかりピカピカのカトラリーとグラスの並ぶテーブル席でサンドイッチだけというワケにはいかない。「食事はしないのだが」と言うと、併設のバールに案内してくれた。単に入口に近い席でクロスがかかってないだけのこと。ハム&チーズのトーストと、昨日すっかり味の虜になってしまったレモンのグラニータ。5つ星のバールだが値段は街中と変わりはなかった。

遊び飽きたのか? 可愛い顔して全然愛想のないヤツだった

5つ星ホテルのバールでは、ただのトーストとグラニータでもちょびっとお洒落

バス停に戻って失敗に気づいた。1時間に1本ペースで便があることだけしか確認しておらず、正確には調べていなかったのだ。時刻は1時半。13:20の後は14:55までない。そうか、バスもお昼休みか…。もう少し早く店を出るか、もっとゆっくりしてくるんだった。もうお茶も飲みたくはない。バス停のベンチは木陰になってるし、眼前には青い海と空が広がっている。昨日までみたいに炎天下で焙られるワケじゃないから、このまま待ってるとするか。時間がゆったり流れる場所では気も長くなるというものである。

バスの時刻が近づいてくると、いったい皆どこにいたのだ?というほどの人々が集まってきた。バスの中は東京の通勤電車なみのすしづめ。

さあ! ナポリへ行こう!

まずはバスでソレントまで行かなくてはならない。時刻を調べると30分後だ。急いでホテルに荷物を取りに行く。滞在中何度も通ったドゥオモ前広場を、スーツケースを引きながら駆け抜け、ドゥオモを振り返り、この街に別れを告げる。
ソレントまでは1時間半。海岸線を抜け、道が内陸部に入った頃に少し眠った。目的地が終点で乗り過ごす心配も、バスの腹にスーツケースを預けて盗難の心配もない安心感から眠気を催したのだろう。やはり列車などでは、どんなに眠くても私は眠れない。気がついた時はソレントの町中に入っていた。

ヴェスヴィオ周遊鉄道・ソレント駅到着。時刻は見ていない。寝起きで少しポーッとしてたから。ナポリまで切符を買ったら駅員が「今停まってるあの電車だよ」と言うので飛び乗ってしまった。急行だった。ラヴェッロのバス停では1時間半もぼけーっとしてしまったが、その後はトントン拍子だ。
前の座席に座っている女のコが可愛い。5〜6歳かな? 椅子の上にあぐらでちょこんと座り、小声で絵本を読みながら時々本の上からチラっと目を出してこちらを見ている。見つめ返すとはにかんだように笑う。

7時少し前にナポリ駅に到着した。よかった、暗くなる前に着けて。ホテルは中央駅前のガリバルディ広場に面した場所に取ってある。駅前は治安が悪いの雰囲気がよくないのと言う人が多いが、私はあまりそうは思わない。どこにいたって危険なメにあう人はあうのだ。自分の行程を考えると、やはり今回は駅近くの方が何かと都合がいいのである。

噂に違わず、駅前のロータリーには大量のクルマが洗濯槽のようにぐるぐると回っていた。まずココを渡らねばならぬ。覚悟してかかったが、別にどうということもなかった。堂々と渡っちゃえばそれでいいだけのこと。ヒナコがビビるので絶対に横のクルマを見ないように、私の腕にへばりついているようにと命じておいた。

ナポリには4泊する。宿はHotel Cavour。日本の予約サイトを通したので、団体料金が適用され、だいぶ安く取れた。日本の団体ツアーも使うことが多い4つ星(3つ星に格下げになったんだっけか?)だが、バスタブ付の部屋は3割くらいしかないと聞いた。チェックインが夕方になってしまったので、どうだかなとは思ったが「もし可能なら!(大声) バスタブ付の部屋がいい(小声)」と言ってみた。フロントのおニイちゃんは「可能なら〜〜可能なら〜〜〜♪」と唄いながら端末を叩く。ニイちゃんのノリに付き合い、私も「もし〜〜♪可能なら〜〜」唄ってみる。恥ずかしいので小声。
「2晩バスタブ、2晩シャワーになるけど」えっ、それはビミョーだ。途中で移動するの? 面倒だなあ。返事を渋ってると「5分待っててくれれば4泊とも大丈夫」とか言う。

出た! 5分! イタリアではよく「5分待て」のフレーズが登場する。大抵10分か20分かかるんだけどね。どうやら「ちょっと待て」よりは時間がかかりそうな時に「5分待て」を使うんでしょうね。
ロビーで「5分」を3回分待つ。案内された部屋はジュニアスイートだった。すでに料金は引き落とし済だから、これはラッキーである。うわ〜い、広〜い! 言ってみるもんだ。

ナポリ・ピッツァに玉砕す

今回の旅の目的食い物編のひとつに、本場のナポリ・ピッツァがあった。
ここでひとつ問題が。私はピッツァがめちゃくちゃ好きなのだが、ヒナコはそうでもない。どちらかというと嫌いな部類かもしれない。ピッツァしかない専門店で食べるには、よほどのものでないと納得していただけない。

主義に反してガイドブックをめくってみる。外はもう真っ暗である。昼間歩き回った街ならともかく、初めての場所で夜ウロウロ迷うのはごめんだ。単身なら構わないが、年寄り連れなのだ。専門店はずっと離れた港近辺や下町の中心部に多い。
駅からの大通りからちょっと入った所に2軒の店が向かい合わせにある。歩いても10〜15分くらいの感じだ。片方はメニューは2種類のみだが常に大行列の人気店、片方は100年を超える老舗、とある。よし! このどっちかだ。

大行列の店は、店構えはそっけないが、外まで列がとぐろを巻いていた。私の本能はこっちだと感じたが、ヒナコは並んでまで食べたくないと言う。もう1軒の店もそこそこ賑わっており、辛うじて空いていた1席に座る。
当然、基本のマルゲリータを注文。メニューには普通のマルゲリータとマルゲリータDOCというのがあった。素材の質が違うらしい。値段も倍近い。どうせならとDOCにした。1人1枚ずつ頼んでしまったのだが、これが失敗だった(回りのテーブルでは何人かでシェアする人も多かった)。

登場したピッツァの直径は40cmはあった。チーズがフツフツとして美味しそう。1口目…うぁ〜美味しい! 5口目くらいで「ん?」と思った。物凄く塩っぱいのだ。塩キツめの範疇を超えている。
ヒナコは少し食べただけでフォークを置き「ねえ、あなたはコレ美味しいと思うの?」痛いところを突かれて口ごもる。「うーん、ちょっと塩っぱいかも。…美味しい…んじゃ、ない、か、な?」「…そお? 私自分の味覚がおかしくなったのかと思った」「………かなり塩っぱい、よ、ね」

コイツに完敗してしまった。皿からハミ出ている。椅子の上に立たなくては全部を撮影することは不可能

もう1枚のキノコのピッツァも同様だった。キノコもチーズも皮も、すべてが塩塩している。寡黙になる私達。口直しのビールばかりが進んでしまい、肝心のピッツァは減っていかない。とうとう半分以上残してしまった。お店の方、ごめんなさい。でも頑張り切れなかったんです…

今回は、ガイドブックの文章情報のみを鵜呑みにした私の店の選択が失敗だったのだ。2枚頼んでしまったのもいけないが、1枚をシェアしても食べ切れなかったように思う。ナポリ滞在中にピッツァ雪辱戦を果たすつもりだったが、また塩塩攻撃だったらと思うと腰がひけて、結局きちんと専門店で食べることはなかった。罪作りな店である。店名を明かしてしまおう。Trianon Da Ciro。大抵のガイドブックには出ている。

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