Le moineau 番外編

ローマ(半日)の休日

今日が観光出来る最終日である。明日の朝にはローマの空港から飛行機に乗るので、今晩はローマに宿を取ってある。バーリからローマまでは特急エウロスターで4時間半かかる。そう何本もあるわけではなく7:48の次は13:48。観光出来る半日を、午前中バーリに置くか午後ローマに置くか、その時の気分にまかせるつもりだった。
2,3日前あたりから、最後の一日はローマをぶらぶら歩こうじゃないかという話になったのだ。ホテルは駅に近いし、7時にぱっぱと朝食をとれば列車には余裕で乗れる。

前日の切符購入だったため、ヒナコとはまた席が離ればなれだった。別に意図したわけではないが、私のボックスにはビジネスマンばかり、ヒナコのボックスには彼女を含め、ばあさんばかり(笑)。1週間前、同じ路線を逆方向にレッチェに向かった時は少しずつ客が減っていったが、朝のローマ行きでは降りてもまた乗って来て、車内は最後まで満員だった。
12:22、ローマ・テルミニ駅到着。

ホテルは最初のホテルとは別のところを予約しておいた。駅のすぐ近くなのは同じだが、今度は裏側。こっち側は初めて来たが、手頃な中級クラスの宿がたくさん並んでいる。間違えて回り道してしまったが、駅から直進したら3分くらいの場所にあった。

荷物を置いてから、ローマの地図を取り出す。最初の日、ローマのホテルでくれたものだ。寝るだけだから関係ないよと思っていたが、そのまま荷物の中に持っていたようだ。
さて、どこに行こうか?
私は、ローマを歩くのは4回目になる。合計10日以上にはなるのかな…。ヨーロッパで最初に訪れた街も、ここローマだった。そんな思い入れもある。まだ制覇していない美術館などもたくさんあるが、今回はどこかに入場することなく、ただのんびり歩き回ってみようじゃないか…という気持ちだった。

ヒナコはローマは2度目である。彼女にとっても初めてのヨーロッパの街だった。14〜5年前になるだろうか、6日間ほど連れてきてあげ、以来味をしめ、私とのヨーロッパの旅にちょくちょく同行するようになったのだ。ヒナコにどこをもう一度見てみたいか尋ねると「トレヴィの泉とスペイン階段」と言う。
じゃあ、まず地下鉄で双児の教会のあるポポロ広場まで出て、コルソ通りを直進。トレヴィの泉とスペイン広場に寄り道しながら、後は成りゆき任せということにしよう。

メトロに乗るべく、テルミニ駅の地下道を歩く。都市部のターミナル駅の雑踏は、やはりテンポが早い。昨日までは思いきり長閑なところばかり歩いてたんだけどね。普段私は、東京の雑踏の中で暮らしているものだから、やはり瞬時に同じリズムになってしまう。いきなり年寄りのヒナコが追いて来れなくなった。アップダウンも凹凸もないのに、ゼエゼエハアハアしてる。あー、ゴメンゴメン、ついつい早足で縫うように歩いちゃうんだよねー…。

「国際観光都市」を大実感

地下鉄で3駅ほど。ポポロ広場に出る。広場中央に屹立するオベリスクと、一直線にヴェネチア広場まで続くコルソ通り、通りの両側に狛犬よろしく並ぶ双児の教会の光景は変わっていない。
今朝は朝ごはんが早かったし、量も食べてないから、軽く何かつまむことにしようか。広場に面したカフェのテラス席に座る。

さすが、国際的な超有名観光地である。そして、都会である。外国人なんて珍しくもないから、誰もヒトのことなんか見やしない。立ち止まってまで凝視されたレッチェや、全員で食事を観察されたバーリのことを思い出す。英語が通じるどころか、カフェの店員は「スワッテ オマチ クダサ〜イ」とまで言った。
会計をすると、サンドイッチ2個とアイスティ2つで¥2500ほどであった。うへ〜、銀座か青山並み。しっかり超一級観光地値段だ。

コルソ通りをウィンドウショッピング。ウィンドウには、モーブっぽい紫系のセーターやショールなどが多い。今年のトレンドカラーなのかな? 柔らかくて綺麗な色だね。昼休みの時間帯だが、ほとんどの店が開いている。南では、この時間の商店街はゴーストタウンみたいだったのに。

あんなに毎日暑かったのに、今日は暑くも寒くもない。少し北にあがったのと、イタリア入りして2週間以上たったせいもある。ちょうど季節が初秋に移る、シャツ1枚が気持ちいい時期。もう少し秋が深くなると、天候も不安定になって冷え込む日も出て来るのだろう。今までのローマ訪問は、春まだ浅かったり、晩秋だったり、真冬だったりだ。土砂降りという日もあった。今日はバッチリ観光シーズンてワケ。

コルソ通りから路地をトレヴィの泉へ。観光ベストシーズンというのはこういうことか! 人、人、人……人だらけで、泉になんか近寄れないのである。元日の明治神宮か、ココは?と思った。コインを投げるとヒトに当たりそうなところも似ている。
ホラ、見たいって言ったトレヴィの泉だよ、見なさいよ。ヒナコは酸欠でも起こしそうな顔してる。「…もういい。…見た。てっぺんだけだけど」

人だらけで、全景を撮影なんて出来やしない。上にふってズームで撮る。はー、てっぺんだけだ…

スペイン階段も同様だった。階段のステップにはびっしりと人々が腰掛けてる。どこかのスタジアムの外野席みたいである。階段のあるスペイン広場前には、ブランドショップのズラリと並ぶ通りが何本かある。ブランドものに対する物欲は、もうあまりないのだが、今回は財布を新調したいと思っていた。ひととおり日本のデパートで商品や値段もチェックしてある。

店に入ろうとして思い出した。クレジットカードをホテルに置いてきちゃったんだ!(観光時に財布は持たない。小額現金とカードをポケットに突っ込んでるだけ。勿論スリ対策である)
なーんだ、買えないじゃん。いいや、別に。DOPのオリーブオイルほど残念な気持ちにならなかったのは、ブランド財布に対する熱意の低さかもしれぬ。

だが、ブランド品購入に多大なエネルギーを注ぐ人々はそこここにいた。もしかして、これほど大量の日本人を見たのは初めてかも…。これまでブランドものを買う時は朝一番の空いてる時間帯に行っていたので、わからなかった。

再びコルソ通りに戻り、ナヴォーナ広場、パンテオンなどを抜けてテヴェレ川のほとりに出た。ここから川沿いを歩いてヴァチカンにアプローチしてみよう。
あまりにも見所が多過ぎるローマでは、通常の観光をしようとすると、あっちこっちとピンポイントで動くことになる。ヴァチカンなども、ツアーの場合はすぐ近くにバス横付けだろうし、個人で来ても地下鉄かトラムで近くまで行って横っちょから入るケースが多いだろう。私だって今まではそうしてた。
川沿いには遊歩道とベンチが設えられ、川面を渡る風と木陰が気持ちいい。遠くに小さくのぞくサン・ピエトロ寺院にゆっくり近づいていく。

川向こうにサン・ピエトロ寺院のクーポラが見える。こちら側からじっくりアプローチするのは初めて

遊歩道の所々に焼栗の屋台が出ている。あー、これって秋〜冬のヨーロッパの街の風物詩なのよね。1袋買う。大粒の栗が12個。まだ少し季節が早いようで味は若かったけど。夏が過ぎて秋になっていってるんだなぁ…。15日間、夏から秋への旅もしたんだね。

夕暮れ近いヴァチカン・サン・ピエトロ寺院は、エンディングにふさわしい荘厳な佇まいを見せていた。広大な広場にも人の数はまばらになってきている。寒さを感じるほどではないけど、顔や首筋に冷たい風が当たる。メトロに向かう途中で温かいコーヒーを頂いていこう。

最後のショッピング。最後のディナー。

情緒的に旅のエンディングかと思うと、そうではないのである。

私の旅の最後はいつだってスーパーマーケットでの食料品大量購入なのだ。
メトロで戻ったテルミニ駅から、スーパーへと向かう。缶詰や瓶詰は重いから買わないし、そんなのは最近輸入食材店で結構廉価で売っている。
日本で買うと高いイタリアン・エスプレッソの豆、ドライトマト、乾燥ポルチーニなどなど。
安すぎて日本の輸入食材店にはないインスタントのリゾット、ハーブやスープのキューブなどなど。
籠に山盛り買っても¥3000〜¥4000程度だ。重くないけどかさばるんだな、コレが。

これはほんの一部ですが。インスタント食品をナメちゃいけない、日本で手軽にイタリアを再現出来るのである。勿論、バラまき土産として大活躍する

今晩は「荷造り」という一大作業がある。取り回しをよくするためスーツケースはごく小型のものを使っている。ここにジグソーパズルのようにいろんなものを詰め込むのだ。2人分×15泊17日&お土産付き。自慢じゃないが、私のパッキング技術は凄いのだゾ。キッチリ収まったあかつきには、仁王立ちして「どーだ!入ったぞ、ざまーみろ」とスーツケースに向かって高笑いしてやるのも、最終日の定番である。

最後のディナーではあるが、さほど熱意は湧いていない。首都であり、大観光地であるローマの飲食店は味も値段も種類もピンキリなのである。

実は、去年行ったトラステヴェレ近くのピッツェリアのピッツァが食べたい気持ちも起こったのだ。ナポリ・ピッツァに…この言い方は不正確だ、ナポリの「とある店」のピッツァに裏切られちゃったしね。でも、あそこはトラムに20分も乗っていかなくちゃならないよ。場所もうろ覚え。なにしろ迷って迷って、本能からの勘のみで選んで、大当たりだった店なのだから。
駅裏のホテル近くには、手頃そうな店が何軒か固まっている。まずくなくて、そこそこ雰囲気があればそれでいいよ。

ガラス越しに雰囲気を観察しながら1軒を選ぶ。店内はほぼ満員だった。
メニューを見る。いわゆる「イタリア料理」が、とりたてて地方色があるでもなく並ぶ。大当たりもないが大はずしもないだろう。ごくごく平均的なメニューを選んだ。パスタはペンネ・アラビアータとスパゲッティ・ペペロンチーノ。メインにミラノ風カツレツ。
テンション下がったのかな? すごく無難なオーダーである(笑)

定番・ペンネのアラビアータ。そういえば、南のパンは美味しかった。小麦と水の違いだろうか?

ここはミラノじゃないけど。やっぱり定番、コトレッタ・ミラネーゼ

食事をすませた頃、パラパラと雨粒が落ちてきた。初めて雨にあたった。でも店からホテルまでは1,2分、どうということないよ。イタリア滞在中、唯一使わなかった荷物は折り畳みの傘だけだった。

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