Le moineau 番外編 - 緑のハート・ウンブリア州の丘上都市めぐり -

       
 

美味しく幸せな朝食で朝からパワー充填

朝4時に目が覚めた。シャワー浴びたり、下着類の手洗いしたり、ネットしたりして、適当に二度寝するつもりだったけど出来なかった。ああ、今日も眠くて暑いのかな。歳くうと時差対応までの日数がかかるなあ。

8時にダイニングに行くと、迎えてくれたのは昨日の若い女性ではなく40代半ばくらいの女性だった。背がすらりと高くてお洒落でハイセンスだけど気さくなイタリアンマダム。彼女はパオラと名乗った。昨日の女性のお母さんなのかな。英語はほとんど出来ないようだけど、とても感じがいい。

手作り感溢れるハイセンスなインテリアに期待していた通りに、朝食も美味しくてセンスのいいものだった。チョコチップ入りのふわふわケーキと、可愛いガラス瓶に入ったクッキーやビスケットは全部パオラのハンドメイドなんだという。これがイタリアにしては控えめな上品な甘さで、めちゃくちゃ好み!

明るい雰囲気のダイニングルームは、やっぱり可愛くて手作り感に溢れている。食器やカトラリーやクロスなどの小物のセンスもいい

数種類あるパンはパン屋さんのものだったけれど、チョコチップ入りのケーキはパオラのハンドメイド。スポンジケーキとシフォンケーキの中間くらいのふわふわ優しい甘さ

「なにそれの生ジュースを飲む?」と問われたけれど "なにそれ" の部分がわからなかった。Arancia(アランチャ=オレンジ)とは言ってなかったような……。聞き返したけどやっぱりわからなかったので、パオラがキッチンから持ってきて見せてくれた。青リンゴだった。
キッチンの奥で「ぎゅいいいいいん」という機械音が響き、持ってきてくれた絞りたてのジュースは、ほとんど擦りおろしリンゴだった。しゃりしゃりして美味しい。青リンゴの生硬な酸味と甘みの中に独特な苦みとかすかにピリっと刺激がある。皮ごと擦ってるのかなあ? それなら苦みだけだし、もっと濁って食感もザラッとするはず。この辛みは生姜みたいな感じがするんだけど………
「Only Apple?」と聞いてみたけど、やっぱりパオラの答えは単語がわからない。「Ginger?」と尋ねてみたけど、今度はパオラの方がジンジャーという単語がわからない。で、またキッチンから持ってきて見せてくれた。やっぱり生姜だった、日本のものより小ぶりでグレーっぽいけれど。おかげで青リンゴが Mela verde(メーラ・ヴェルデ)、生姜が Zenzero(ゼンゼロ)だって覚えたぞ。食いしん坊の特技として、料理名と食材と調理法の単語はすぐ頭に入るのよね。

テーブルには2種類の蜂蜜があった。片方は Acacia と書かれた淡いレモン色のもの、もう片方は茶色ががった濃い色で Mille Fiori とある。千の花? ああ、百花蜜のことか! 私がしげしげとラベルを見ていると、パオラがミッレ・フィオーリはパンに塗るといい、アカシアはカプチーノに入れると美味しいと教えてくれた。試しにカプチーノに入れてみると、さらりとした甘みとふんわりした香りで確かに美味しい。生姜風味の青リンゴジュースといい、朝から力がつく感じ。あ、苺は赤くてつやつやだけど、固くて酸っぱかった。日本の「あまおう」なんか食べつけちゃうとどうしてもそう思っちゃうわね。

城塞経由で最南端の教会へ

9時少し前に宿を出た。今日も陽射しが強く暑くなりそう。忘れずに帽子を持って、とにかく日焼け止めを入念に塗ってきた。途中で塗り足せるパウダータイプの日焼け止めも持つ。私は直射日光を浴び続けると手の甲に日光疹が出て、早めの段階ならステロイド軟膏ですぐ治るけれど、こじらせると出血して皮膚がズタボロになってしまう。そうなると薬も効かない。手の甲だけは日焼け止めの成分にもかぶれてしまうので、服は七分袖にしベージュの指なしのUV手袋をする。これなら目立たないし、カメラのシャッター切ったりスマホの操作にも問題ない。

>> UVストールやUV手袋やUV帽子で全身覆い尽くすようなファッションの日本人は、最終日にローマを歩いた時に何人も見かけた。ヨーロッパの人たちはすぐタンクトップやTシャツになってしまうので、その中ではすごく奇異に見え、悪目立ちするので避けた方がいい。日傘もさしている人はいない

今日は土曜日なのでイタリア広場では骨董市のようなものが立つらしい。ワゴンから段ボール箱を運んで来たり、台に商品並べたりの準備をしているのを横目に、パオリーナ城塞 Rocca Paolina の中に入る。この城塞はペルージャの領主を破った教皇軍が、領主の屋敷や塔を破壊して町の一画の上に築いたものなんだそうだ。エスカレーターをひとつだけ下りて、バスターミナルの方に向かわずに地下道を歩いてみる。

通路の部分には城塞だった当時の街並や通りの名残りがあちこちにある。ところどころに小部屋のようなものがあって、ギャラリーや露店に転用されていたり、説明書きの展示パネルがあったりする。しばらく城塞内の通路をウロウロしていたけど、まだ朝のせいかほとんど人に会わなかった。

パオリーナ城塞の中には床がガラス張りになっている箇所があって、さらに下にある遺跡も見られるようになっている

そのまま通路を進んで、マルツィア門 Porta Marzia から城塞の外に出た。昨夜適当に歩いていてうっかり出てしまったところね。城壁にぽかっと開いた出入り口でしかないけれど、その上部にエトルリア時代の門が埋め込まれているのだ。
ここから旧市街の外に出て、ちょっとした公園のような緑地を回り込み、カブール通り Corso Cavour を道なりに下っていく。サン・ピエトロ門 Porta S.Pietro をくぐり抜けると通りの名前が Borgo XX Giugno と変わり、サン・ピエトロ教会 Chiesa di San Pietro の鐘楼が見えてきた。ここにはペルジーノとカラヴァッジョの小品があるというので、それを目当てに町の最南端までひたすら歩いてきたのだ。
イタリア広場のテラスからはさほど大きな教会ではないように見えていたけれど、敷地も広く建物の大きさも塔の高さもかなりのものだった。それだけ距離が離れていたということか……。

カブール通りをひたすら歩いていくうちに、S.ピエトロ教会の鐘楼の美しい姿が見えてくる。見えてからもなかなか遠く、この写真はだいぶ近づいてきてのもの

立派な門をくぐった先の回廊は起源を10世紀にまで遡れるとのこと。ここから本堂へとつながっていく

主祭壇の天蓋の天井画は特に素晴らしい

このあまりにも美しく荘厳な空間を私が独占してしまっていいのかしら……

回廊から教会内部に足を踏み入れた途端、内部全体を埋め尽くす絵の大洪水に息をのんだ。天井画や柱上部など直に描いたフレスコ画は艶やかな紋様、欄間部分や壁には聖書を主題としたテンペラ画、ちょっとした絵画館のよう。これだけびっしりと絵で覆われていても圧迫感はなく、むしろ厳かで静謐な空気を感じるほど。おまけに誰もいないので、この美しく厳粛な空間を私がひとりじめなのだ。今日はちゃんと双眼鏡もバッグに入れてきている。

30分近く堪能していたが、その間誰も来なかった。こんな町外れまで観光客は来ないのかな? で……、カラヴァッジョを探すのをすっかり忘れていた(聖具室にあったらしい)。

さあ、グッビオへ。丘を越えて山を越えて行こう!

カブール通りを戻る途中、サン・ドメニコ教会 Basilica di San Domenico にも立ち寄ってみた。イタリア広場のテラスから真正面に見えたファサードと鐘楼がシンプルながらも印象的だったから。でも、中は質素を通り越してそっけなく、まともな祭壇もない。これは長らく教会としては機能していなかったのかも? 正面のステンドグラスだけが修復したてのように綺麗だった。
サン・ドメニコ教会の並びには教会の旧修道院を利用した国立ウンブリア考古学博物館 Museo Archeologico があるけど今回はパス。

>> この博物館にはペルージャ周辺から発掘したエトルリア時代やローマ時代の出土品、近郊のトスカーナ州やマルケ州、アブルッツォ州からの出土品も収蔵されているらしく、考古学好きな向きにはなかなか充実した内容らしい。

そのままペルージャ旧市街には戻らずに、カブール通りの基点近くからバスターミナルへと向かう。今日はこれからグッビオという町に行くのだ。だいたいの方向に見当はつくものの、道が込み入っている上に高低差があるので、方向感覚や距離感がめちゃくちゃになる。こんな時こそ GoogleMap 先生のお世話になるのだ。ありがたやありがたや。

グッビオへのバス時刻は、事前にウェブでも昨日の到着時にも11:05発と確かめてある。料金は往復で€11だった。まだ20分ほど時間があるのでターミナル併設のバールでカフェ・マッキャートを飲み、駐車場をぶらぶらした。でも駐車場からの展望はたいしてよくないので、わざわざ端っこまで歩いて見に行く意味はなかった。
まだ午前中なのに陽射しはすでに凶暴で暑くなる気満々、この後が思いやられる。少し目眩がして身体が火照るような気がするけれど、きっと暑さと寝不足のせいだろうと思っていたし、この時点ではまだ元気(なつもり)だった。

ペルージャからグッビオまでは直線距離では30〜40km程度だけど、山ひとつ越えていかなければならない。バスはくねくね山道をガンガンかっ飛ばす。一面に黄色い花の咲き乱れる平原の中や、曲がりくねった尾根伝いの道路を走り抜け、ウンブリアの一番美しい季節であろう風景をこれでもかと堪能した。いや、おとなしく車窓の景色だけを眺めていればよかったものを……。写真を撮ろうとして、美しい一瞬を捉えようとファインダーを覗きっぱなしにしていたことで、激しく車酔いしてしまった。

山間に抱かれた歴史あふれる美しい町グッビオ

ペルージャを出て1時間10分ほどでグッビオに到着した。グッビオはウンブリア州の最東端、隣のマルケ州との州境インジノ山中腹の急斜面に広がる小さな町。町の入口のクワランタ・マルティニ広場 Piazza dei Quaranta Martiri がバスターミナルになっている。広場に面して16世紀末の織工組合の建物のロッジア(開廊)が印象的……なはずなんだけど、照りつける強烈な陽射しに車酔いしている私はフラフラ。胃もムカムカする。

ペルージャは縦長だけどグッビオは横広がりの町。3本ほどの主だった通りが斜面に並行して走り、あみだくじの横線のようにいくつもの坂や階段がつないでいる。一番低い位置にあるクワランタ・マルティニ広場に立つと町の全体が見上げられるわけだけど、同時に斜面の急っぷりに圧倒もされる。とりあえずロッジアの脇のレプッブリカ通りVia della Reppubbulica の坂道を登ろう。
よろよろと登り始めて数mほどですぐにゼエゼエしてしまった。予想以上に車酔いの気持ち悪さのダメージがきている。さらに少し登ると公共エレベーターの表示を見つけ、小さなプレートの示す建物の中に入っていくと、奥に普通のエレベーターがあった。
エレベーターの到着先は今は市庁舎として使われているプレトリオ宮 Palazzo Pretorio で、扉が広くとそこは赤い煉瓦敷きのグランデ広場 Piazza Grande だった。正面にはまるでお城のようなコンソリ宮 Palazzo dei Consoli。ここまで一気に来られるのは助かった!

40マルティニ広場からはグッビオの町全体が見上げられる。左側の柱の並ぶ二階建ての開廊が織工組合のロッジア

レプッブリカ通りの急坂は登っていくのを一瞬躊躇してしまいそうだけど、通りの中ほどに公共エレベーターの乗場がある。表示はとてもさり気ないので見落とし注意!

お城のようなコンソリ宮とグランデ広場には、何はともあれ最初に辿り着くべき場所

広場には団体観光客のための記念撮影のような台がある。広場全体が見晴し台のようになっていて、すぐ眼下にバスの到着したクワランタ・マルティリ広場が、広場に面して特徴あるロッジアが、その反対側には真っ白な教会が、そしてその向こうに広がる緑の丘陵と長く連なる山々……あの峠を超えてここまで来たのだ! 身体を反転して山側を見上げれば、いくつもの建物が積み上がっていて、ここが町の中心なのだということがわかる。陽射しの凶暴さは相変わらずだけど、美しい眺望と吹き抜ける風の爽やかさに、気持ち悪さは鎮まった……と、その時は思った。

まずはコンソリ宮の見学をしなくちゃ

広場からの眺望堪能もそこそこにコンソリ宮 Palazzo dei Consoli に入っておこう。たぶん13時で閉まってしまうからね。グランデ広場から階段を登って大広間に入ると市立博物館 Museo Civico のレセプションがあり、ここで€5のチケットを買う。大広間にはローマ時代の発掘物や大理石の彫刻や中世の武具などの展示があるけれど、広すぎて散漫な印象になってしまっているような……。2階に通じる階段の途中から見下ろした方が、逆にダイナミックさを感じることができる。階段壁面の大きなフレスコ画もなかなか見事だわ。

2階には陶器や土器のコレクションがある。マヨルカ陶器や薬壺などを展示した美しいロジェッタの間 Sala della loggetta や、幅の狭い廊下のような通路にはさまざまな古今の陶器や陶芸作品。この通路は細かく入り組んでいて、秘密探検をしているような楽しさもある。

宮殿内のパラティーナ礼拝堂 Cappella palatina だった部屋には、イグウィウムの青銅版 Tavole Eugubine という紀元前3世紀からの碑文が7枚も麗々しく展示されていた。イグウィウムとはグッビオの古名で、ここの最重要所蔵品だということだけど、悲しいかな考古学知識皆無の私にはあまりわからない。とてもとても古くて貴重なものなのだろうなあ……ということはわかったけど。一番古い碑文は古代ウンブリア文字で書かれていて、見慣れたアルファベット文字とは異なる造形に、グラフィックデザイナーとしての興味はそそられた。

3階は絵画館になっていて、12世紀から19世紀にかけてのウンブリア派やトスカーナ派の絵画がある。古いフレスコ画や聖具箱の飾り絵などは素晴らしいけれど、時代の新しい絵はあまり巧くないように思う。単に好みの問題かも。

コンソリ宮に入ってすぐの大広間は、天井が高くダイナミックな空間だ

絵画館になっている3階部分は、かつての「貴族の間」だったそう

最上部のロッジアは、グランデ広場が見下ろせ、グッビオの町が見渡せ、遠くウンブリアの平野や山々も望める気持ちのいい場所。吹き抜ける風と美しい展望が心地いい

グランデ広場をはさんで対面にはプレトリオ宮。広場の山側にも美しい建物が積み重なっている

それにしても暑い。直射日光の当たらない館内をぼーっと歩いていただけなのに、あまり気分がすぐれず軽く息切れもしている。頭や身体が重く、怠く、眠い。最上部のロッジアでベンチに腰掛けたまましばらく風に当たっていた。ぽつりぽつりと人が来ては、眺望に感嘆して何枚か写真を撮り、ついでに私にシャッター押しを頼んだりしてはすぐに去ってしまう。ウンブリアの丘陵を遠望したり、グランデ広場を見下ろしたりしているうちに、少しずつ怠さは鎮まってきた……と、その時も思った。

いつまでもここに座ってるわけにはいかないな、まだまだ見るべき箇所はいっぱいあるんだし。トイレに寄ってから外に出ようと階段を降りていくと、地下は考古学博物館 Museo archeologico となっていた。彫刻や石碑、石器や陶器などの出土品がところ狭しと並んでいる。先住民の生活道具のようなものまであった。このフロア、見落としちゃう人多いかもしれない。地下からの出口はグランデ広場の裏側にある。カッと照りつける陽射しに目眩がして、一瞬グラリとなった。

中世の面影を残す重厚な街並を巡る

コンソリ宮の裏口から少しだけ坂を登って、メインストリートのコンソリ通り Via dei Consoli を歩く。斜面の等高線に沿って走っている通りなのでアップダウンはないけれど、横に出る枝道はどれもみな急坂あるいは階段だ。
通りに並ぶ建物はどれも重厚な石造りで、14世紀頃のものも多いらしく中世の趣がいっぱい。街全体の色合いとしては、ほんのり茶色みのあるグレーで、ペルージャよりは石の色が黒ずんでいる。今日は明るい陽光が燦々と降り注いで(降り注ぎ過ぎでもあるが)いるので、しっとりした雰囲気にはいささか欠けるけど、天候や季節によってはずいぶん印象が異なってくるんだろうな。重くたれこめる冬雲の下、小雪舞う中でこの街並を見てみたいような気持ちもする。つまりは、そんな妄想を抱くほどに暑いのよ……

やはり観光客をターゲットとしているのか、通り沿いに並ぶのは土産物店ばかり。でも、陶器を売る店やいわゆるスーベニアの店よりも食料品店が多い。いたるところに「Tartufo(トリュフ)」の文字がある。その中の一軒に入ってみた。
店の一番奥の冷蔵ケースにはサラミや生ハムやチーズがたくさん。これは日本に持ち帰ることはできないのよねぇ……。乾燥トリュフや乾燥ポルチーニなどもあり、どうやって使ったらいいのかわからないようなさまざまな種類のパスタも楽しい。トリュフ風味のポテトチップスまである。
たぶん手軽なお土産の筆頭格なんだろう、トリュフペーストの瓶詰めが売場の広い部分を占めていて、試食用に薄切りパンに塗ったものが置いてある。大瓶や中瓶もあるけれど、黒トリュフと白トリュフとポルチーニ茸の小瓶の3個セットがびっくりするほど安い。同様のものを日本の輸入食料品店で買ったら5倍くらいする。イタリア国内でも都市部ならもっと高いんじゃないかな。少なくとも想像する半分以下の値段だ。

コンソリ通りにはこのような食料品を売る店が何軒もある。地元産のサラミやハムやソーセージやチーズ、トリュフやポルチーニの加工品、さまざまな種類のパスタ、オイルやビネガー、ワイン………

トリュフペーストの瓶詰めでも4倍くらいの値段のものもある。きっとトリュフの質が違うか、塊のトリュフが入っているのだと思う。でも試食した結果、安い方でも十分に美味しい、ていうかとっても美味しい。白トリュフペーストもポルチーニペーストもきっと美味しいはず。3個セットを自分用とお土産用にいくつか買おう。

少し重くなってしまったバッグを抱えて、そのままコンソリ通りを歩く。その先のバルジェッロ宮 Palazzo del Bargello は何かのミュージアムになっているようだけど、この時間は閉まっている。バルジェッロ宮の前にはバルジェッロの噴水 Fontana del Bargello があり、噴水じたいは彫像もレリーフもない何の変哲のないものだけど、とても絵になる一画だ。

迷い彷徨い流浪の果てに、超美味ラグーソースに出逢った

暑さは依然凶暴で、身体の怠さやむかつき、頭の重さや時折の目眩はかなりつらくなってきていて、座ってゆっくり休憩がしたかった。昼食の時間帯なのだけど、お腹は空いているような気がするけれど食欲がない。観光客仕様のコンソリ通りにはシンプルなバールがなく、パラソルのテラス席はあちこちにあるものの、その下でみんなが食べているのはちゃんとした食事ばかり。一軒だけ見かけたジェラート屋にはベンチがあるだけで長く休憩できる感じではない。道なりに緩やかに下ってクワランタ・マルティーリ広場まで下がってみると、こちら側には安価にすませられるサンドイッチやピッツァやケバブの店などがあった。でも、食指が動かない。その時の私は「パンっぽいもの」が喉を通っていかない気がしていたのだ。

朦朧としながら再びレプッブリカ通りのエレベーターを使ってグランデ広場に戻り、ランチ出来そうな店を探した。競い合うかのようにどの店にも€15〜18くらいのランチコースがある。前菜、パスタ、メイン、デザート、カフェとすべてセットのようだから相当にお得なんだろうけど……今の私にはとてもとても無理。そんなふうにまた一番下のクワランタ・マルティーリ広場近くまでおりてしまった。妥協してこのへんの店に入ってしまおうか? でも「パンっぽいもの」がどうしてもどうしても嫌だった。バカみたいだけど、またエレベーターでグランデ広場に戻る。たぶん思考力が半ば麻痺していたんだと思う。

フラフラになりながら行きつ戻りつして悩み、コンソリ通り中ほどの一軒の店で足を止めた。この店は最初から気になっていたので、こういう時はインスピレーションに素直に従う方がいい。「本日のランチコース」という立看板にラグーソースのタリアテッレとあって、ラグーソースいいなあ食べたいなあって思っていたのだ。これだけ食べたいけどダメなんだよね、きっと。入口脇のアラカルトメニューのプリモの項にはマルケ風ラグーソースのニョッキがあった。しばらく考えて、お店のお姉さんにパスタだけでもいいか尋ねて、ようやく椅子に腰をおろすことがかなった。

マルケ風ラグーソースのニョッキはもちもち柔らか。なんか塩味が薄いなあ、パンチが足りないなあと思っていたら、風味づけのピンクペッパーをちゃんと混ぜていなかった。最後の方になって唇がピリピリ

実はニョッキってあんまり好きではないのだ。タリアテッレで作ってもらえないか聞いてみたけど、ランチコースのみとのことなので仕方ない。ワインを飲む気には到底なれなくて、ガス入り水のみ。水分はしっかり摂らなくちゃと思って大瓶でがぶがぶ飲む。
食べたいと思っていたラグーソースは本当に本当に美味しかった。食欲がないと思っていたのに、するすると食べ進められる。あんなに「パンっぽいもの」が嫌だったのに、皿に残ったソースが勿体なくて、拭うために2切れ食べてしまった。
もうひとつ実はというと、私は普段はラグーソースを積極的には食べない。出されれば美味しく頂くけれど、自分で作ることもわざわざ注文することもない。それなのにあの黒板の手書きの "ragu" という文字に吸い寄せられてしまったのよ。ラグーの神様からの啓示としか思えないわ。
ニョッキは私が思うよりずっと美味しく、さらにラグーソース効果で完食したけれど、本当はロングパスタで食べたかったな。

>> ラグーソースのマルケ風ってどういうことかなあ、ウンブリアやトスカーナとどう違うんだろうと思って帰国後に調べてみた。どうやらいろいろなお肉や部位を複数種使うものらしい。そういえばハーブ類の余計な香りはあまりなく、トマトの酸味もほとんどなく、肉の滋味と旨味がストレートに伝わるソースだったけど「これは何の肉!」とハッキリわからなかった。あれはいろいろな肉の融合した美味しさだったわけか……

水とカフェと合わせて€15。やっぱりランチコースは相当お得になってるのね。隣のテーブルの老夫婦がコースを食べていたので逐一観察していたのだけど、しっかりボリュームがあって満足度の高そうなものだった。身体さえ万全なら食べてみたかった。

鳥かごリフトで山の上の聖堂へ

美味しい食事とゆっくり休憩したことで元気になった(と、その時は思った)ので、次の行動に移ることにする。

コンソリ通りをグランデ広場まで戻り、そこから先は Via XX Settembre と名前を変えた通りをそのまま直進していく。こちら側も中世の趣ある建物が連なっている。小さな教会がポツリポツリとあるものの、お店の類いが一軒もないので、何だか裏ぶれて寂し気な印象。コンソリ通りから一直線につながっているのにね。でも、数m先に母親と女の子2人の親子連れが楽しそうに歩いている。彼女たちと私の目的地はおそらく同じだと思うのよ。町外れにある小さなロマーナ門 Porta Romana を出て、ちょっとだけ進むとそこには目指すリフト乗り場があった。町の背後にそびえ町を見下ろしているインジノ山 Monte Ingino に登るの!

ケーブルカーのことをイタリア語で Funicolare(フニクラーレ)ということは知っていたけど、ロープウェイやリフトのことは Funivia(フニヴィア)っていうのね。なるほど。
往復€6の切符を買って、ちょっとドキドキしながら乗場に向かう。なぜドキドキかというと、鳥かごのようにスケスケの立ち乗りリフトだから。2人乗りだけど、私はひとりで乗ることになるから。怖かったらどうしよう? 親子連れは先に乗って行ってしまった。子供の甲高い声が響いているけれど、はしゃいでいるのか怖がっているのかわからない。

さあ、これからこのインジノ山に登る!

定員2人の立ち乗りリフトは、足元もスケスケなので高所恐怖症の人はきっと無理でしょうねえ

鳥かごのようなリフトで、ゆらゆらのんびり7〜8分の空中散歩

最初はちょっと怖くてもすぐに慣れて気持ちよさが勝ってくる。だってだって、この眺めですよ!

スキー場のリフトと同じで、動いているままのところに乗り込む。乗場で速度を落としてくれるとかそういう高性能な作りではない。待っている時の立ち位置が決まっていて、2人の時は2mほど離れて時間差で飛び乗ることになる。もちろん係員がちゃんと誘導して補佐してくれる。

係員のおっさんが「ジャンピングで乗るか? ストップさせて乗るか?」と聞いてきたので「ストップさせて」と答えた。
「OK」とウィンクしたくせに、ケージが近づいてくると私の肩と背中を押しながら「Go! Go! Go! Juuump!!」と飛び乗らさせられた。そして「Good Luck!」と親指を立ててまたウィンク。
あのなあー! 東洋人は若く見えるだろうけど、丸顔で童顔の私は特に若く見えたんだろうけれど、実は結構歳いってるわけよ! あんまり認めたくないけどね、膝とか腰とかね、いろいろあるわけね。機敏にはいかないのよ。覚悟してならともかく、予期せずこういうことするとね、膝にねダメージくるんですけど!

リフトのスピードは思ったよりはゆっくりで、キコキコ軋みながら進み、鉄柱を通過する時にゴトゴトと音を立てて揺れる。最初は怖くて、がっしり両手でつかまって、身体を山側に向けて山頂だけを見つめて硬直していた。途中で子供か高齢者の乗降りのためかいったんリフトが停まり、慣性の法則でゆ〜〜らゆ〜らと揺れるものだから、かえって怖い。網目になっている足元を恐る恐る見ると、地面までは3〜4mといったところで、このスピードだし「落っこちても怪我はするけど死なないな」と思った。まあ打ちどころ悪ければ死ぬんですが。でも勝手に気持ちが楽になって、思い切って身体の向きを変えてみると、眼下にはそれはそれはパノラミックな絶景が広がっていた。その瞬間に恐怖心は全部吹き飛んだ。ひとりで歓声をあげ、シャッターを切りまくり、空中散歩を満喫。帰りもまた乗れると思うと嬉しくなるほどに気に入った。

山上の聖堂から町の聖堂へ

リフトを降りて遊歩道のような小道を少しだけ登ると、サント・ウバルト聖堂 Basilica di sant'Ubaldo がある。聖堂前の広場はグッビオの町が一望できる展望台になっていて、ベンチもいくつもあるけれど、ここから眺めている人は誰もいない。だって、あまりにも陽射しが強烈すぎるんだもの。ここまでのアプローチはリフトのみではなく、きちんとハイキング道が整備されて、この炎天下の中、歩いて登ってくる人たちも見かけた。遠回りになるけれど、ちゃんと自動車道もある。

グッビオの町には《Festa dei Ceri》(ろうそく祭り)という伝統行事があって、巨大な燭台を担いだ3つのチームがグランデ広場からこの聖堂までの一番乗りを競うそうだ。聖堂には小さな博物館があって、お祭りの写真や映像が見られるのだけど、岸和田のだんじり祭りみたいな勢いで町を走って山を登っている。あのグランデ広場も人々でびっしり埋め尽くされている。この小さな山奥の町がこれほど賑わうなんて! 燭台は高さが3m、重さが300kgもあるそうで、これを担いで山を駆け上がるのはさぞ迫力があるでしょうね。日本のお神輿や御神木の考えとよく似てるのかしら……。

山の上のサント・ウバルト聖堂。一番見晴らしのいい場所はカフェレストランが陣取っている

《ろうそく祭り》で使うという燭台。こんなもの担いでこの急斜面を登るのか……!

内部装飾はシンプルだけどステンドグラスもあり、清楚で可憐な雰囲気がある

修道院らしく全体的に簡素な造り

クリーム色のせいもあって教会内は明るい

再び鳥かごリフトで下山する。今度は最初からがっちりカメラを構えてウッキウキで、心ゆくまでパノラマを堪能した。鳥かごリフト、かなり楽しい乗り物だわ。ハイ、もちろん個人の感想です。こんな怖いものはないという声もあるので、ぜひ自己責任で乗ってください。

そこそこ楽しんではいるものの、体調はというとあまりよくない。時々テンションが上がって元気になったと錯覚するのだけど、不意に気分が悪くなってクラっときたりする。静かな田舎町だからふらふらボーっと歩いていられるけど、都会だったらスリや引ったくりのターゲットになっちゃうね。

まだカテドラル Cattedrale di Gubbioドゥカーレ宮 Palazzo Ducale を見なくちゃいけないのだけど、それは町の一番高い場所にある。急坂にくじけかけたところで、また公共エレベーターを見つけた。いそいそと乗り込んだけれど、到着場所はカテドラルらしき建物の裏手であり、山登りの小道の始まり部分。あれ? 変なところに出ちゃった? グランデ広場に出たような感動がない。カテドラルのファサードにはバラ窓の飾りがあるとか、向かい合ったドゥカーレ宮の入口扉は荘厳だとか、仕入れておいた前情報どおりの光景がばばーんと現れると思ったのに……。

裏口のようなところから建物の中に入ってみた。ミュージアムの切符売場らしきデスクが横に見える。多分、カテドラルに併設の司教区博物館 Museo Diocesano Di Gubbio だと思うけど、見ていく気力が出ない。切符売場を横目に少し進んでみると、カテドラル内部につながる入口があったけれど、ロープが渡してあって入れない。ロープ越しに覗き込んでみるとほとんど装飾もなく、とても地味だった。 よくわからないままカテドラル裏口を出る。隣はドゥカーレ宮 Palazzo Ducale なのだが、入ってみたら裏庭みたいなところ。うーん、正面にまわるにはどこから行けばいいんだろう? ちょっと公園のように緑の多い裏庭には展望テラスとカフェがあった。

ドゥカーレ宮裏のテラスからはコンソリ宮と家々の瓦の波が迫ってくる。直線距離はたいして離れていないのにこの高低差、どれだけ急斜面にある町なのかわかるでしょ?

テラスから町の眺めながらしばらく風に当たっていた。やっぱり体調はよくない。もうグッビオ観光は諦めてバス停で待ってよう。16:35のバスで帰らないと次は2時間くらい先になってしまうのだ。結局、カテドラルとドゥカーレ宮が向かい合った広場には出られないまま、とにかく下へ下へとゆるゆる下りていった。急坂や階段ではなかったけれど、どうも旧市街外周の裏道のようなところに入り込んでしまったみたいで、ずいぶん距離を歩いた。具合が悪くてフラフラになってたから長く感じたのかもしれないけど。干涸びた川にかかった小さな橋を渡って少し進むとクワランタ・マルティニ広場の西端に出た。時計を見たら16時15分。

本格的に体調が悪くなってきた

クワランタ・マルティニ広場近くにはサン・フランチェスコ教会とかローマ時代の競技場とかもあって、バス待ち時間にちょこっと見るのに最適なんだけど、まったくもってその気力も体力もない。まだ20分あるからとロッジアのベンチでへたっていたら、バスが停まってるのが見えた。運転手らしき人影も車内に見えるので、もう乗せてもらえるかも! バスに乗り込んでぐったりと窓にもたれかかって目を閉じた。本当にだるいし気持ち悪い。

グッビオは小さい町なのに見どころが多くて、暑くて体調が悪かったせいもあって、結局半分しか見られなかった。再訪してみたいけど交通の便が悪過ぎるよなあ……。ペルージャからは近いけれど、そもそもペルージャが地方都市なわけだし。

>> 帰国後調べてみたら、ローマのティブルティーナ駅から16時発19時着のSulga社のバス便がある。夜着いてグッビオ宿泊して翌日ゆっくり……が可能なわけ。考えてみたらカテドラルは昼休みの時間帯だったし、ドゥカーレ宮は相当に充実した絵画美術館らしいし、12月にはインジノ山の斜面いっぱいにクリスマスツリーの電飾がされるらしい。シーズンオフの冬に立ち寄るものありだなあ

ペルージャからの往路は高速山越え急カーブだったが、復路ももちろん同じだった。同じようにウンブリアの美しい山岳風景が次から次へと車窓に現れるけれど、窓にもたれたまま薄目でぼーっと眺めるにとどめた。撮影しようとファインダー覗いてたら酔っちゃったんだもん。

ペルージャのバスターミナルには18時前に着いた。バス内でしっかり休んだはずだけど体調は芳しくない。地下遺跡内のエスカレーターは涼しいけれど、外部に出た途端にむあーっとした熱気が押し寄せてくる。朝に準備し始めていたイタリア広場周辺の骨董市は大盛況で、熱気はそのせいもあるかも。ぼーっと露店を一巡してみた。骨董市とガラクタ市の境界は曖昧な感じ。古い絵や絵はがきを売る店があって、古い手描きの小鳥の水彩画が20枚セットで€15で、ちょっと心惹かれた。もう少し気力があれば丹念に見ていくのも楽しかったと思うんだけどねぇ……。

それにしてもだるくて頭が重くてフラフラする。冷たくて甘いものが欲しいけれど、今欲しているのはジェラートじゃない。コーラ類は嫌だ。グラニータとかなら飲めるかも。本当は冷たい麦茶なんかをきゅーーっと飲み干したいんだけど……。
目についたバールで葉巻型のお菓子とカフェを頼んで椅子にへたりこんだ。お菓子は、ヨックモックのシガールをバター控えめにして極太葉巻サイズまで何層にもぐるぐる巻いてチョココーティングしたようなもので、普通に美味しかった。もうちょっとチョコレートが滑らかに練られていれば言うことないけれど。写真撮る気力もなく、値段も覚えてないけど両方で€3くらいだったと思う。

B&Bに戻るとケーキを焼く甘い匂いがフロアいっぱいに充満していた。わあ、きっとパオラが明日の朝食用に焼いてるんだわ。キッチンに向かって軽く挨拶してから自室のベッドに崩れ落ちた。体調がどうにもすぐれない。晩ごはんどうしよう……?

「軽く一杯」のスタンスでディナー

15分か20分ほどベッドでぐったりしていただろうか。このまま何も食べずにいるわけにはいかない。20時半を回ってしまうとちゃんとしたディナー体制になってしまうから、その前に「夕食前に軽く一杯やりながらつまんでるんです」というスタンスで晩ごはんをすませてしまおう。とっととすませて、とっと帰って、とにかく早寝だ!

ピエトロ・ヴァンヌッチ通りにずらりと並んだテラス席はどこもガラガラだった。"夕食前に一杯やりながらお喋り"の人々は去り、本格的にディナーを食べようという人はこれから来るという時間帯。スタンドのメニューボードを覗き込んだりしていると、暇なカメリエーレが声をかけてくれたので「アンティパストだけでいい?」と聞いたら快く受け入れてくれた。

道の真ん中のテラス席に座った目線で眺めてみると、通りの両側に面した店はほぼ全部がブティックなどで、リストランテやトラットリアは建物の隙間の路地の奥にある。もちろん厨房も奥にあるから、カメリエーレたちはみんな路地を歩いて料理を運んでくる。食器を下げにいくのも会計のレシートを取りにいくのも、いちいち路地を往復するので、彼らの歩行距離は相当なもの。でも客の立場からしてみれば、冬場は路地の奥まで行ってわざわざ店に入らないといけないし、店の雰囲気も外からでは伺いがたいけど、夏は気軽でいいよね。

タコとパプリカのカラブリア風オイル煮は、ピリ辛がいい刺激。ワインは白だけどコクも酸味も強く、なかなかしっかりと重量感があった

アンティパスト一皿では申し訳ないので、ハウスワインでなくボトルワインを頼んだ。幸いこの店はハーフボトルも何本か取り揃えている。ペルージャ近くの町トーディ産の白。オーダーは何にするか迷ったけれどタコとパプリカのカラブリア風オイル煮というのにした。真っ赤な色はトマトではなく、パプリカと唐辛子オイルの色。玉葱とパプリカの甘みにペペロンがピリリといい刺激で、今ひとつだった食欲もなんとか進む。コペルトでついてくる4〜5切れのパンを全部食べきった。ホント、日本人のオバちゃんにはこの量で十分だよ。〆のカフェまでもらって€21.50。

パステッチェリアのウィンドウが魅力的。イタリアのお菓子はあんまりこういうデコレーションしないんだけどね、フランス風かな?

風が強くなってきた。昼間の暑さが嘘のように肌寒く感じるほど。
まっすぐ宿に帰り、まだ9時前なのにバッタリ寝た。幼稚園児かよ。路地をはさんだ向かいのバールで若い人たちが騒いでてて少しうるさい。でも土曜の夜だしなあ……夢うつつにそう思った。

きっと私は熱中症になりかけてたんだ!

9時前にベッドに倒れ込みそのまま眠ったものの、激しい動悸がして目覚めてしまった。時計を見たらまだ12時半、向かいのバールで騒いでる人たちの声がする。後頭部が熱っぽく重だるく、頭痛もしている。

とりあえず持参のカモミールティーを淹れて、ゆっくり飲みながら考えてみた。もしかして私は熱中症になりかけていたのではなかろうか。
5月の東京はまだここまでの気温になっていなかったし、一日中外に出ていることもなかったから、暑さと陽射しに慣れてなかった。水はたくさん飲んでいたけれど、お腹がちゃぷちゃぷするばかりで、すぐに尿ばかり出てしまって、身体は常にカラカラした感じ。きっと時差による寝不足で自律神経が狂っていて、水分の吸収も排尿機能もおかしくなっていたんだと思う。
アジアの湿度が汗をかくことを誘発しているんだということもよくわかった。汗腺の多い日本人は発汗して体温を下げる体質なんだもの。カラっと湿度の低い暑さの中、うまく汗がかけずに体内に熱がこもった感じになってしまったのだ。

変な時間に目覚めたまま眠れなくなってしまい、カモミールティーのおかわりを淹れ、つらつらとフェイスブックに書き込んだりしていた。日本は夜の9時や10時という時間帯なので、リアルタイムで返事がくる。「イタリア版ポカリみたいなものがあればいいのにね」「薬はひととおり持ってきたのに粉末ポカリ忘れちゃった」などとやり取りする中で、ポカリって塩と砂糖じゃん、だったら"ポカリもどき"を作ればいいんじゃないかと思いつく。

 
       

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