Le moineau 番外編 シチリア巡遊 - 海と岩とミクスチュア文明の島を歩く -

急にシチリア行きを思い立ったわけ

どうしてシチリアに行きたくなったのかというと、前年5月と今年5月のアドリア海巡りがきっかけ。最後の数日を過ごした特異な町ヴェネツィアはやはり美しく素晴らしい場所ではあったけど、物価の高さとオーバーツーリズムの人混みにはつくづく辟易した。その前年のドゥブロブニクもそうだった。超A級観光地の宿命とはいえ、「あー、人が少なくて安いところでのんびりしたいなあ〜」としみじみ思ってしまったの。それなら南イタリアかな、と。南なら晩秋や初冬でも寒くないしな、と。
ヴェネツィアのバーカロで食べた小さなアランチーノがあまり美味しくなかったことも理由のひとつ。「何これ、シチリアのアランチーノに全然敵わない、あー本場の食べたいなー」と、やっぱりしみじみ思ってしまったの。ついでにシチリアでカンノーロも食べたくなってしまったの。

去年上梓した本が順調に版を重ねていたことも背中を押してくれた。私の本業ではひとつの仕事に対しひとつの報酬なので、増刷の印税って棚ぼたのボーナスみたいなものなのよ。私の著書を購入いただいた皆さんに感謝しつつ「これって行くっきゃないよね!」となったわけ。

今回もエアーはアリタリアの785便ローマ行き。成田空港のチェックインカウンターはとても混んでいた。今まではウェブチェックインしておけば優先的に進めたのに、なぜか今回はすべて一緒くたに並ばされる。これまではスマホに送信されてきたPDFがそのまま搭乗券となり、バーコードを読ませて荷物を預けたのに、今回は画面を見せると不要だと言われる。わざわざ紙のボーディングパスがプリントされる。これまでは2〜3組待ち程度で5分で終わってた手続きが何だかんだで30分近くかかった。なんかさあ、ウェブチェックインしておくメリット、どこいっちゃった?

AZ785便は定刻どおりに成田を出発し、定刻どおりにローマ・フィウミチーノ空港に到着した。私の購入した航空券には19時着とあったのに、実際は18時着で、それが定刻だということ。なんでかな? 航空券買った時にはまだ夏時間だったからかな? でも1時間儲けた気分(^^)
最終目的地はシチリアだけど、今回は同日ではなく翌朝乗り継ぎにしてある。だって夜中にパレルモに着くのが嫌だったんだもの。でもわざわざローマ市内までは行かない。空港直結のヒルトンホテルに泊まることも考えたけど、朝食なしシングルでも€150以上するので馬鹿馬鹿しくなってやめた。で、空港のあるフィウミチーノの町に泊まってみることにしたのだ。

フィウミチーノ市内アクセスは意外によくない

ところが、想像に反してフィウミチーノは空港からのアクセスは不便だった。ローカルバスもあるんだろうけれど、ネットで検索してもヒットするのはローマ市内への空港バスばかり。フィウミチーノの町へのバス会社の名前すらわからない。予約したホテルには乗合シャトルサービスがあるのでそれを利用することにした。€8するけれど。
予約完了時にホテルから来たメールには「空港からのシャトルの予約は不要。第3ターミナルの3番出口を出て、道路を横断し、右側歩行者エリアを進み、黄色のラインが引いてある路面に BUS-SHUTTLE と刻印してあり、停留所ナンバーは1で、停留所名は Langiano である」とあった。わかりやすい英文だったし、これだけ丁寧に説明してあればきっとすぐ見つかりそうだと普通は思うよね。周辺のホテルいくつかとの乗合シャトルなので40〜50分おきで、発車時刻もきちんとメールには添記してあった。

ローマのイミグレッションはガラガラで、預け荷物もスムーズに出てきた。なんか順調だわ、幸先いいわ。
到着ロビーには迷彩服のイタリア兵がたくさん。数人固まって談笑している人たちもいるけれど、自動小銃を持っている人もところどころにいて、こんなに物々しい感じは初めて。あ、でも前回はヴェネツィアに、前々回はボローニャに乗り継いだんだった。ここがローマだからかな? それとも時期的なこと? 行き交う人たちは意に介してる様子はないので、善良な旅行者は気にしなくていいってことね。

急げば18:50のシャトルに乗れなくはなかったけど、きちんとトイレや化粧直しをすませたかったので次の19:40に乗ることにした。トイレ行きたいとか思ってソワソワしていると注意力が散漫になるし、よれよれの疲れた顔でぼーっとしているのもカモにされやすい。シャキッとしてなきゃ。

シャトルの時間まで余裕があるので空港のバールでカフェ・マッキャート。あー、これこれ、この苦みと濃さ! イタリア来たーーッ!」と実感してシャキッとする

まったりカフェ休憩して、20分以上も余裕を持ってシャトル乗場に向かった。で、文面通りの場所を探したのに……見つからなかった。スーツケースを持って行ったり来たり行ったり来たり。諦めて、結局タクシーにしようとしたら運転手が声をかけてきた。確か空港タクシーはローマ市内まで定額じゃなかったっけ?
「私、ローマ市内じゃなくてフィウミチーノに行きたいんだけど?」と問うと、彼は自分はローカルタクシーだからOKだとのこと。料金を尋ねたら荷物込み€25だって。まあ、仕方ないか。1人だとこういう時に割高よねぇ……

お手軽シーフードで軽くイタリア到着気分を味わう

空港からホテルまではクルマでわずか10分だった。

予約しておいたのは Academy Hotel という3星ホテル。シングルで€49、Booking.com の即時決済割引で€44.90になった。空港からのアクセスは若干難ありだったけど、建物も設備も新しく、高級感はないけれど機能的で使い勝手はよさそうな中級ホテルではある。トランジットやフライト前泊に使われることを前提としているので、シャトルサービスも朝の4時台から出ている。空港行きは予約が必要なので、6:35のシャトルを予約し、前払いしてバウチャーも受け取っておく。でも、シャトル料金€8というのは2人以上の場合で、1人だと€10なんですと。宿泊費が€45なのに、往復交通費が€35かあ……なんだかなあ、と思わないでもないけれど、それでも空港直結のヒルトンより全然安いし。

ダブルルームのシングルユースなのに、アサインされたのは4人部屋で、一泊だけなのが申し訳ないほどの広さ! ドア内側に貼ってある正規料金によると€200とあった。おお!

バスルームが広い! バスタブもある! それどころか深くて大きい! さらにはジェットバス! これは長いフライト後の身体には嬉しいわぁ

まだ20時過ぎ。ホテル周辺には手頃なシーフードの店が集まっているようなので軽く食事に出てみることにした。せっかくだからイタリア到着気分を味わいたいもんね。

運河沿いの Via della Torre Clementina には綺麗な石畳の舗道が整えられ、テラス席を持つ飲食店がずらっーと並んでいた。シーズンオフだからほとんど閉まってて真っ暗だけど、地元の人のためにか3分の1ほどは店を開けている。その中の一軒の《Un Posto Al Sole》という店に入ってみた。
氷の上に並べられた新鮮そうな魚介が店頭にあり、テントに覆われたテラス席はそこそこ高級そうに見えるけれど、カウンターで注文して先払いするシステムの気取らない店だった。お店の人たちもフレンドリーでとても感じがよかったし。

前菜にはムール貝のパン粉焼き。ホントは一皿はもっと多かったようだけど5個だけにしてもらった。まずは無事のイタリア到着を祝してビールをきゅーっと。ウマ〜〜っ(^.^)

続いてカラマリのフリット。いかの身は柔らかくてゲソもカリッと揚がってて美味しい。三角錐の紙パック入りなのは、手に持って食べ歩きできるようにらしい

ムール貝は小ぶりだけどちょっとトマトソースがピリ辛で美味しい。揚げたてのカリッと熱々カラマリもすごく美味しい。美味しい……半分くらいまでは。12時間の飛行機乗って来た時差ボケの胃には、後半ちょっともたれてくる。ちょっと山盛り過ぎるよなぁ……半分でいいんだけどさぁ……と、呟きながらも80%まで何とか頑張って食べた! 支払いは€14ナリ。たぶん、ローマ市内よりずっとお安い。

果たして旅のスタートは幸先がいいのか悪いのか

帰ろうとしたら急にザーザー降りの雨。えー、傘持ってないよ! 10分ほど待って小やみになった隙に帰ろうとしたら、もうスッキリ上がっていた。早まって外に出ないでよかった。

漁船が舫る運河沿いの遊歩道も、シーズンオフの夜なのでこのありさま。夏ならそぞろ歩きも気持ちいいだろうけれど、今は暗くて寒くて何もない

旅の初っぱなではあるけれど、出発時から気になっていることがある。実は、この時点でほぼ一週間便秘しているのよねぇ。これって深刻かつ重要な問題。生活リズムも食生活も変わるし、時差もあるし、行きたい時にトイレに行けないので、海外では排泄が狂いがち。だから日本にいるうちに整えておきたかったんだけど……。カラマリが胃もたれしたのはすでにお腹が張っていたせいもあるかも。なのでジェットバスがあるのはホントに嬉しかった。温泉の素を入れて身体をしっかり温め、水流をお腹にガンガン当て、マッサージ。さらに湯上がりにしっかりストレッチ。もちろんマグネシウムの便秘薬も多めに飲む。もう5日間は飲み続けているのに。いろいろ食べたいものあるのに、詰め込みっぱなしってわけにはいかないのよ、頼むよ〜〜〜 !!!

腸の調子がよくないことに加えて、さらにちょっと気の滅入ることがふたつ。
その1。洗面具入りポーチを持ったら湿ってる。詰め替えた化粧水のフタが甘かったようで4分の1量になっている。たっぷり使ってパックもしようと多めに詰めてきたのに、これから2週間この量をケチケチ使わなくてはいけないとは、トホホだわ。
その2。ハーブティを飲もうとお湯を沸かしたら沸騰の瞬間にバチっと火花が飛んで簡易湯沸かし器が逝ってしまった。セラミックの棒をコップに突っ込むだけのシンプルな湯沸かし器はとても便利でこれが2代め。10数年も海外旅行のお供をしてくれてそろそろ壊れる頃合ではあったけど、何も初日に逝かなくてもなあ。

スタートに若干ケチがついたけど、どうか旅がつつがなく進みますように。願いつつ21時半にはベッドに入った。真ん中の大きなダブルベッドで伸び伸びとね。




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