Le moineau 番外編

長くツラい一日

翌朝、7:00過ぎに起きた。熱はまだ少しある。本当は、早起きして朝粥を食べに行くつもりだったのに……胃は空っぽなんだが、食欲なんて全然ない。ツレは私を心配して黙っているが、きっとお腹が空いているに違いない。自分だけ食べてきてもいいのに…ごめん!

帰り支度をしなくてはならない。飛行機は午後12:45なのだが、なんと8:40にロビーで待ってろというのである。到着日に市中引き回しで最後にホテルに届けられた私たちは、帰国日は一番最初にピックアップされて再び引き回されるのである。自分たちだけなら、10:00過ぎにタクシー乗って空港に向かえば余裕でチェックイン出来るのに、8:40とは!!

「あーあ、夜市行きたかったなー」荷物を詰めながら、思わず口に出た。牡蠣のオムレツとか腸詰とか大根餅とか愛玉ゼリーとか…食べたいモンいっぱいあったのに!
「朝粥も食べたかったなー」台湾の定番朝ご飯.豆乳も。ゴマのついた揚げパンとか肉でんぶの餅米おにぎりとかと一緒に。青菜炒めなんかも添えちゃってさー。まったくもって往生際の悪い私の食い意地である(笑)。あー、悔しい、またリベンジに来なくちゃなんないじゃない。

ブツブツ言いながら、気がついた。一昨日の朝、ホテルすぐ近くの道端で持ち帰り用のお粥の屋台を見かけた記憶がある。お粥横町の有名店までMRTに乗って行くのは、とても無理だが、部屋に持ち帰れば食べられるかも! ツレはあまり周辺を見回して歩くタイプではないので、そんな屋台の記憶はないと言うが…。

行ってみた。歩道に台が置かれ、大きな金属製の保温容器が並んでいる。お粥と温・冷の豆乳、オプションのトッピングだけだけど。ツレがお粥、私は温かい豆乳をもらった。大きな蓋つき紙コップに入れてくれる。お粥が¥60、豆乳が¥30。

豆乳は、日本のものよりは味が濃く、でも臭みはまったくない。胃液すら出し尽くした感のある私の胃には、しみじみと柔らかく優しく甘く美味しかった。

早く、一刻も早く、帰りたいんだよぉ!

迎えに来たガイドさんは、顔全面に「私は『いい人』です!」と書いてあるようなおじさんだった。ちょっとホッとする。

しかし、今日のこの状態での市中引き回しは、かなりツラかった。ぐったりシートに横たわる私に気づいてガイドが心配してくれる。でも「大丈夫です」って言うしかないでしょ。
なのに、帰りも免税店に寄るというのだ。車の中で待っていたかったが、ホテルのセーフティボックスにパスポートを忘れてきた「バカ客」がいた。みんなが免税店にいる間にガイドと一緒に取りに戻るというのだ。仕方ないので、降りる。売り子の攻撃を振払うバイタリティのない時に、買う気もない店の中を歩かされるのは…拷問だ。元気なら、どうということはないのよ!

空港に着く頃には、もう「ぐにゃぐにゃ」だった。チェックインの行列に立っていると、貧血状態になり、顔色はほとんど真っ白。ツアーなんだから、ガイドがまとめてチェックインしてくれるかと思ったけど、9.11テロ以降、本人じゃなきゃ駄目なんだって? ツアー使ったことないから、わからないんだけど。

ところが!
ホントにツライが、あと少しの辛抱だから…とじっと耐えているというのに、飛行機のバカヤローは出発が2時間半遅れるとか抜かしやがるのである! その程度のことは日常茶飯事だが、今日のこの状態ではキチンと飛んでいただきたかった…(涙)。食事券が出た。要らない、なんにも食べたくない、早く帰りたいよぉぉぉ…………(滂沱)。

『いい人』顔のガイドさんは、ゲートで見送るまでずっと心配してくれた。

また熱が上がってきたようだった。背筋に悪寒が走り、顔が上気してくる。食欲はないが、胃腸の具合は悪くない。1分1秒を拷問のように感じながら、ただひたすら搭乗開始を待つ。

乗り込むなり、毛布を3〜4枚余分に貰った。アスピリンも貰った。あとはもう機内で何があったのか知らない。いつ離陸したのかも、飲み物や機内食をいつ配っていたかすら知らない。わずか3時間のフライトだが、ようやくじっと眠っていられるのである。乗務員に紙を渡される夢を見た。着陸の衝撃で目を覚ますと、手に何か握っている。

外国人用の日本国入国カードだった。台湾人に間違えられたようである。

機内で貰ったアスピリンがようやく効いてきたのは、新宿へ向かうリムジンバスの中だった。ここで、持ち直したかに見えたが、翌日から3日間、私はひどい風邪で寝込むことになったのであった。
食い倒れ台湾ツアーは、本当に倒れる結果となってしまった。リベンジは絶対果たしてやる! 決して「悔い倒れ」ではない。

+ + +

台湾は現在、日本のJRの全面協力のもと2005年11月の開通に向け新幹線の建設を進めている。開通すれば、特急で4時間かかった台北〜高雄は1.5時間で結ばれる。今回は見るのを見送った世界最高101階建てのTAIPEI 101の展望台も、その頃にはオープンするだろう。
かつては、海賊版&ばったもん天国でもあったが、取り締まりが強化され、版権や著作権などへの意識も浸透し、正規ルートの文化が入ってくるようになったようだ。
アジア独特の猥雑な魅力が薄れ、どこもかしこも小奇麗な平均的都市になってしまうのは寂しい気もするが、これは一方的な見方に過ぎない。東京だって結局は同じなのである。都市は日々急速に変化していく。変化=発展とは単純には言えないが。

次に訪ねる台湾は、また今日とは違う台湾になっているのだ。楽しみである。

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