イタリア Italy -part3-

Perugia - ペルージャ

「イタリアの緑のハート」ウンブリア州の州都にして
古代文明エトルリアの12の同盟都市のひとつ。
現在も街の城壁や城門には2000年以上昔の歴史の跡が随所に残る。


ペルージャ立体迷宮 -1-
(145×209mm)


大聖堂の横から出た道と裏側から出た道はいつのまにか上下に交差して、さらに斜め上から昔の水道橋をそのまま転用した道が出てきていつの間にか足の下くぐって……と、旧市街北部は立体迷路状態になっています。
地図だけではよく理解できない構造が、そこまで行ってはじめて「なるほど!」と感心することしきり。

ペルージャ立体迷宮 -2-
(148×206mm)


アクアドット通り周辺の立体迷路を視点を変えて描いてみました。かつての水道橋を跨ぐ道の上に立つと、同じ建物の連なりにもまるで違う表情が見えてきます。


Gubbio - グッビオ

山間に抱かれた美しい町グッビオはウンブリア州の最東端、
隣のマルケ州との州境インジノ山中腹の急斜面に横長に広がっている。
旧石器時代にすでに文明を持つ歴史あるれる小さな町は、
今も残る中世の街並とともに山岳の自然と美しく調和している。


初夏の陽射しのコンソリ通り(316×223mm)

メインストリートのコンソリ通りには、14世紀の頃の石造りの重厚な建物が立ち並び、通り沿いには食料品店やスーベニアショップが何軒も。カンカ ン照りの初夏の日、陶器店の白髪のお爺さんは古いFIAT500の前で直射日光にあぶられながら佇んでいました。熱中症には気をつけてね。

コンソリ宮の窓から(143×215mm)

中世期の執政官の宮殿だったコンソリ宮。今は博物館になっている館内からグッビオ市街を覗き見します。明るい陽光の屋外とひんやり暗い室内との対比は巧く描けたでしょうか……

山に抱かれる町(198×198mm)

町の入口のクワランタ・マルティニ広場は一番低い場所にあります。広場近くのカフェから見上げると、階段状に連なる街並と豊かな緑のインジノ山。お城のようなコンソリ宮のずっと奥には、山頂近くのサント・ウバルト聖堂も見えています。


Spoleto - スポレート

中世時代にスポレート公国の都として栄えたウンブリアで最も古い町。
小高い丘の上に立つ旧市街の頭上には崖に囲まれた孤高の城塞、
その下のドゥオモからは石畳の細い坂道が入り組んで迷路のよう。


路地裏の夕暮れ(146×213mm)

裏路地に迷いこみ、誰にも行き会わない散歩道。だけど地元の人たちの生活はちゃんとあって、開け放した窓から音楽が漏れ聞こえてきたり、夕食の支度らしき匂いが漂ってきます。
朝夕の太陽光線は面白いですね。狭くて起伏のある小道に傾いた陽が建物の隙間から射し込んで、この時間ならではの表情が生まれるのが楽しいです。

坂の下の聖堂(214×147mm)

普通、ドゥオモは町の一番高いところにそびえ立っているものですが、この町では緩やかな下り坂のアプローチになっています。広場を抜けて路地をふたつみっつ曲がっていくと、突然この坂道が横に現れます。その驚きと感動といったら!


Montefalco - モンテファルコ

「イタリアの最も美しい村」加盟の小さな村モンテファルコ。
ウンブリアの手すりと呼ばれる眺めの美しさはむろんのこと、
サグランティーノという土着品種ぶどうで作られるD.O.C.Gワインでも有名。


サフィニアの咲く街角 -2-(311×230mm)

まったく同じモチーフを一回描いたのですが、納得できなくてちょっぴりアングル変えて描いてみました。

サフィニアの咲く街角 -1-(203×146mm)

私が訪れたのは「CRONO SAGRANTINO」という自転車レースがあった直後らしく、ワインをイメージした鮮やかなマゼンタピンクの自転車と花々で村中がデコレーションされていました。


Castiglione del Lago - カスティリオーネ・デル・ラーゴ

20州の中で唯一、海外線も国境線も持たないイタリア中部のウンブリア州。
海のない州の真ん中の大きなトラジメーノ湖の中にでべそのように突き出した小さい村は
「イタリアの最も美しい村」にも加盟している自治体のひとつ。


湖の城塞の村(207×207mm)

城壁で囲まれた楕円形の小高い半島は、まるで湖に浮かぶ大型船のようです。自分の目線ではそれが表現できないので、美しい村協会に載ってた写真を見本に描きました。めちゃくちゃ陽射しの強い暑い日で、その時の感情が甦ったのか影も強めに塗ってしまいました。

小さな村の店先にて(146×202mm)

ささやかなメインストリート沿いには地元特産の食料品を売る店がいっぱい。イノシシのハムやサラミはカスティリオーネ・デル・ラーゴの特産品のひとつ。だからといってウリ坊の剥製で可愛くディスプレイするってのはどうなんでしょ?


Orvieto - オルヴィエート

『世界一美しい丘上都市』と呼ばれているオルヴィエートの町は
葡萄やオリーブ畑の緑の丘陵に囲まれ岩の上にある。
城壁に囲まれた崖の中央には大きく美しい大聖堂がそびえ立っている。


オルヴィエート遠望(259×197mm)

くねくねの山道をカッ飛ぶバスの車窓から、カーブで振り落とされそうになりながら遠望したオルヴィエートの町。樹々の隙間から見る風景はちょっと北斎を意識し、彼に影響されたモネをも意識し、前を走ってたクルマはFIAT500に変えて描きました。

オルヴィエート大聖堂
(151×222mm)


この町の大聖堂は、町の規模からは考えられないほどに美しく豪壮で荘厳で、ウンブリア一番とも言われるほど。聖堂へのアプローチはとてもドラマチックで、ショップや飲食店の並ぶ路地をくねくね進むと、建物の隙間から美しい装飾のファサードがちらちら見え隠れし、一歩ごとに心が高揚していきます。終点は聖堂前広場の広大な空間へと突き抜けて……

丘の町の三叉路(154×231mm)

町の中心部からちょっと逸れたあたり、登る道と下りる道と平行な道の三叉路、その角が何故か印象的でした。イタリアの丘上都市ではよく見る風景ですが、こういう三叉路に斜めから光が当たると、陰陽がくっきりしてとても魅力的です。


Assisi - アッシジ

緑あふれるウンブリアの豊かな自然の中に、聖フランチェスコは生まれ、
彼を慕って巡礼に訪れる人々の絶えない小さな街アッシジはひっそりとある。
1997年の地震による大被害からも、復興は進み、教会などは数年後にはほぼ修復は終わっていた。
これから新しい世紀を刻む建物や街にエールを送りたい。


聖なる町の陽と翳(308×226mm)

聖フランチェスコ聖堂から土産物店の並ぶ通りを下ってくると、壁にマリアさまのある二叉路に出ます。下り坂の先には夏の陽光に輝く聖ピエトロ教会。深い影を落とした上り坂の先にはどこへ続いているのでしょう?

ホテル・ジオット(207×148mm)

アッシジで宿泊したホテル・ジオット前の展望台から。折しも季節は秋。城壁や折り重なる家々の屋根、それを縁取る緑と黄色に色付いた大地は、絵本の世界のよう。ぜひ最低2泊して、穏やかな夕暮れや静かな朝の雰囲気をゆったりと味わいたい街です。

聖フランチェスコ教会(145×212mm)

ロザリオや絵葉書などの土産物が並ぶ通りを抜けると、この街の象徴・聖フレンチェスコ教会が姿を現します。地震で粉々になった天井画は、ほぼ完全に修復を終えていました。世界中からボランティアが集まり、ジグソーパズルのように破片を繋ぎ合わせたそう。

アッシジの街角(143×204mm)

本当に清潔な雰囲気の街です。ゴミなどが少ないという意味でなく(実際少ない)、流れる空気じたいが清冽でした。建物は、地域特産のほんのりバラ色がかった白茶の石で築かれ、曲がりくねった細い路地や小さな階段には、そこここにフランチェスコの精神が息づいているよう。

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