紫(むらさき)
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R125:G43:B123 |
#862C88 |
C58:M89:Y5:K7 |
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ムラサキ科の多年草ムラサキソウの根で染めた色。日本の基本色名のひとつです。上代、冠位によって服色が定められてから、最も高貴な色とされてきました。
「紫の我が下紐の色に出でず恋ひかも痩せむ逢ふよしを無み」
──作者不詳 万葉集・十二・二九六四(平安初期)
「花も糸も紙もすべて、なにもなにも、むらさきなるものはめでたくこそあれ」
──枕草子・八六・めでたきもの(10世紀後)
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濃紫・深紫(こきむらさき)濃色(こきいろ)
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R79:G33:B78 |
#4F214E |
C66:M87:Y25:K38 |
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濃い紫色。紫は色の代表という考えから、「濃色」「薄色」だけで紫を指すようになりました。ムラサキソウの根で染める回数を重ねるごとに濃い色になっていきます。大化の改新後、七色十三階の冠位制度が出来た時、その最高位の服色が深紫でした。
「紅にあらぬ袂のこき色は焦がれて物をおもふなりけり」
──山家集・下(12世紀後)
「紫 真の濃紫は黒の如く也。〜(略)〜古は濃紫一位の袍色故に禁色と云て免許を得ざれば他人は得着ざる也」
──随筆・守貞漫稿・一七(1854)
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中紫(なかむらさき)
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R134:G65:B132 |
#864184 |
C58:M82:Y13:K0 |
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深紫と浅紫の中間の色。
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薄紫・浅紫(あさむらさき)薄色(うすいろ)
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R163:G114:B154
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#A3729A
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C43:M60:Y15:K0
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紫根染めの回数を少なくした薄い紫色。
「白き袷(あはせ)、うす色の、なよよかなるを重ねて、晴れやかならぬ姿」
──源氏物語・夕顔(11世紀初)
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若紫(わかむらさき)
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R152:G55:B138 |
#98378A |
C48:M86:Y0:K0 |
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明るい紫色。「若」の形容は明るく新鮮なイメージです。実際は古代の草木染めではここまで明るい彩度の色は出せなかったでしょうが…。
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古代紫(こだいむらさき)
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R84:G31:B98 |
#541F62 |
C78:M94:Y24:K14 |
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黒みがかった紫。近世では合成染料によって彩度の高い紫色を作れますが、紫根で染めていた時代には望むべくもないことでした。今日の紫に対比して暗い鈍い調子の紫色を称しました。
「雨はふる、ふる雨の霞がくれに ひとすぢの煙立つ、誰が生活(たつき)ぞ、銀鼠にからみゆく古代紫」
──北原白秋 畑の祭.海光・雨中光景(1920)
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江戸紫(えどむらさき)
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R63:G24:B95 |
#3F185F |
C92:M98:Y27:K11 |
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江戸で染めた紫色。ムラサキソウは全国各地で自生したり栽培されていたりしましたが、京都産のものと武蔵野産のものとでは染め上がりの色が違いました。京都のものよりくすんだ青味の紫色です。
「江戸紫の鉢巻に、髪は生締め」
─歌舞伎・助六廓夜桜(1779)
「襟は薄色の金茶に白と江戸紫で」
─尾崎紅葉 多情多恨(1896)
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京紫(きょうむらさき)
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R96:G21:B80
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#601550 |
C62:M96:Y30:K27 |
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赤味を帯びた紫色。江戸時代、江戸紫に対して呼ばれるようになった名前です。
「今世は京紫を賞せず江戸紫を賞す〜(略)〜是今云江戸紫者青勝也、京紫は赤勝にて」
──随筆・守貞漫稿・一七(1854)
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似紫(にせむらさき)
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R85:G45:B110 |
#552D6E |
C78:M87:Y16:K13 |
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江戸時代に流行した紫染め。本来、紫色とはムラサキソウの根で染めた色を指しますが、大変高価なので、蘇枋(すおう)にミョウバンや灰汁などを媒染にして紫に似せた色を作りました。廉価で「なんちゃって○○」を楽しむ心は江戸庶民ならではですね。
「明野が原の茶屋風俗さりとてはおかしげに似せ紫のしつこくさまざまの染入」
──浮世草子・好色一代女(1686)
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二藍(ふたあい)
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R97:G78:B109 |
#614E6D |
C56:M59:Y17:K34 |
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紅花で染めた上に藍で染めた色。紅と藍の比率は、若年ほど藍を淡く、年長になるほど紅を淡くしたそうです。なので、二藍の色は使用者の年齢によって各種ありました。
「直衣こそ、あまりこくてかろびためれ。非参議のほど、何となき若人こそふたあひはよけれ」
──源氏物語・藤裏葉(11世紀初)
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半色(はしたいろ)
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R151:G114:B142 |
#97728E |
C39:M53:Y16:K15 |
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濃薄色ともいいます。深紫と薄紫は禁色であり染色材料の分量がきちんと決められていましたが、その標準色と違う半端な色を半色といい、許色とされて身につけることを許されました。
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