Le moineau 番外編

チェコからスロヴァキアへ

1993年にチェコと分離・独立した小さな内陸国、スロヴァキア。微妙に考えが違うからと修羅場なく別れて友人関係を続ける元夫婦みたいなもんでしょ。乱暴な例えだが。
この国への短期旅行のビザが不要になったのは、たった3年と2ヶ月前のこと。おかげで気軽に国境越え出来る、なので、ウィーンに行く前に1日だけ立ち寄ってみようと思ったわけ。小さな国の小さな首都へ、いざ!

列車の切符は一昨日のうちに予約席を買ってある。チェコ国鉄の窓口は、簡単な英語も通じないゾと、初心に立ち返って詳細を書いたメモを渡した。そしたら、その日の窓口の男性は英語ペラペラだったんである。…ま、世の中って得てしてそんなモンよね。プラハ〜ブラチスラヴァは533コルナ。
列車の時間はプラハ本駅10:00発。充分、余裕がある。で、スーパーマーケットに行って、再両替できないチェココルナのコインを使い切ってしまうことにした。ヒナコを置いてひとりで向かう。

ベヘロフカもいろんなサイズで売ってる

チェコで一番有名な『プスゼニュスキー・プラズドロイ』ドイツ語読みの『ピルスナー・ウルクェル』の方が有名かも…安売りしてたので購入。キリンビールが日本に輸入してるんだけどね(笑)

ポケットの小銭を数えながら、売場をウロウロ。ミネラルウォーターやビール、薬酒のベヘロフカの小瓶などをいくつかカゴに入れてレジに行く。
私の並んだレジは、ふたつ前の客で何やらトラブっていた。レシート用紙が紙詰まりしてるみたい。レジ係は、ぼーっとした感じのヘラヘラっとした若い男のコ。以下、言葉はわかんないけど雰囲気から推測。

男のコ「あのぉ…、○○さーん、何かレジ詰まっちゃったンスけどお」
ベテラン風オバサン店員が遠くから叫ぶ「ちょっと待ってて! 今行くから」
男のコ「うぃ〜っす」(客に「ちょっと待ってください」と言うでなしに、ぼーっとしている)
どすどすと歩いてくるオバサン店員「また、アンタなの! いったい、どうしたのよ。…ココ! ココ押すのよッ!」どすどす去っていく。
男のコ「えー、駄目ッスよお?」
客の女性「ちょっとぉ。まだ?」
再びどすどす来るオバサン店員「なんなのよ! こうだってば! ほら!」どすどす去る。
男のコ「あ。どうもッス」(相変わらず客には何も言わない)
客の女性「早くしてよね」
男のコ「………」

…てな、やり取りの間に、私の後ろに並びかけた人たちは、どんどん別のレジに移っていってしまった。私も少し気持ちが動いたが、意地になって待っていた。

ようやく私の番。チーン!と出た合計金額を見たところ…1.5コルナばかりコインだけでは足りない。消費税みたいなのが加算されたのかな? げげー、一生懸命暗算したのにぃ。昔から算数苦手なんだわよ、私。日本円にしてたった6〜7円なんだけど、足りないモンは足りない。札を崩したら、コインを使い切るという目的からはずれてしまうし。
「…ごめんなさい。このビール1本…やめます……」
男のコはヘラヘラ表情のまま再び固まった。
「……○○さーん、取り消しって、どうやるんッスかぁぁ?」
再び来るオバサン「だから、なんなのよッ! いちいち呼ばないで自分で出来ないわけ? アンタは!」
男のコは無言でヘラヘラ…
後ろの客たちは、ため息をついて再び別のレジへ散っていく。

いやぁ、彼のレジには面倒なことばかり起きてしまうのね。私も悪かったけどさ、彼もレジ係としてはちょっとどうかと思うよ? でも、日本のスーパーやコンビニでも同じような光景、見かけるなあ(笑)。

スロヴァキアの首都・ブラチスラヴァ行きの列車は、10:00ちょうどにプラハ本駅を出発。国境越え4時間20分の旅だ。6人がけのコンパートメントは満席。スーツケースは隣のおじさんに網棚にあげてもらった。
コンパーメントの場合、空いていれば足元にスーツケースを置けるし、個室の中で貸切気分でゆったり出来るけど、満席の時は大きい荷物を網棚まで持ち上げるのが大変。たいてい誰か男性があげてくれるけどね。下ろすのはなんとかなるのだけど。
混んでいる時はオープンタイプの座席の方が、逆に開放感もあったりする。スーツケースだって座席の背中の間に差し込める大きさだし。一長一短てところかな。
初めてヨーロッパの鉄道旅をした20年近く前は、このコンパートメントタイプの列車というものに、日本にはない旅情をかき立てられたものだった。ここのところは、新しい列車はどんどんオープンタイプが主流になっているが、長距離列車ではまだまだ古いコンパートメント車両も健在だ。

途中、同室の客は入れ替わって、最後は私たちと爺さん二人連れだけになった。この二人の爺さん、ヒナコとどっこいどっこいか、それ以上のお年寄り。なんかやたら平均年齢の高い部屋である。このまま彼等とブラチスラヴァまで一緒なのかな…となると、スーツケースは自力で棚から下ろさないとならないな。上げるのは無理でも下ろすのならひとりでも何とかなるかな……。
そんなことを考えていたのだが、爺さんたち、さすが「女性には親切に」を子供の頃から叩き込まれているだけのことはある。70歳超となっても立派に男性であった。手を添える程度であったが、二人がかりで下ろすのを手伝ってくれた。

14:20、ブラチスラヴァ中央駅到着。まずはスロヴァキアの通貨入手である。1泊だけだし、物価も安いだろうし、どの程度用意したらいいのかな…。当分アメリカに行く予定はないから引き出しの奥にあったUSドルを持って来ていた。$25と余ったチェココルナの紙幣2100コルナ分と、合わせて両替する。だいたい3500スロヴァキアコルナになった。これが日本円でいくらくらいになるのかは、ゆっくり電卓をはじいてみないとわからない。

註)チェココルナのレートから換算すると、1スロヴァキアコルナは¥3.4ほどだった

駅ですませる用事を一つ一つこなしていく。明日、ウィーンに行く切符も買っておこう。窓口に並ぶと、ココは国内線用だからあっちへ行けと言われる。ウィーンまでは308コルナ也。事前にネットで時刻表は調べてあるが、念のため駅でも時刻表を確認。14:32というのがちょうど良さそう。丸24時間のスロヴァキア滞在である。

今日の宿はドナウ川沿いのホテルを予約してある。まずはトラムに乗らなくちゃ。中央駅から1番トラムが旧市街へ向かっている。ホテル近くの停留所名は不明だけど、トラムのルートから類推するに、ドナウ川沿いに出たところで降りれば迷うことはなさそう。タクシーの群れを無視してずんずんと進む。駅前はバスの停留所がずらりと並んでいる。おかしいな、トラムのロータリーもあるはずだけど?

バスもトラムも切符は共通なので、目についた販売機で買っておこう。75コルナの24時間券を買うか悩む。1回券は10分以内は12コルナで30分までが14コルナ。でも販売機はコインしか使えない。ちょっと戻った場所にキオスクみたいなスタンドがあったな。そこで聞いてみると、ここには置いてないから機械で買えと両替してくれた。また販売機の前に戻って悩む。
旧市街は狭いエリアだし、駅の往復にしかトラムは使わないかな。1回券でいいか。だいたい自動販売機は5コルナコインまでしか使えないんである。75コルナ×2人では30枚もコインが必要だし。ちなみに自動販売機からはおつりは出ない。1枚は14コルナぴったり投入したんだが、もう1枚は15コルナ入れて切符しか出なかった。

切符は入手したんだが、トラムの乗場が見つからない。地図では駅の斜め前あたりに、輪っかになったトラムロータリーが書いてあったんである。おかしいなぁ……。

今日は、それなりに初夏の陽射しの日である。プラハでの何日間ほどの猛暑ではないけど、ウロウロしていると焦りもあって汗がじっとりしてくる。その時、バスロータリーの向こうの緑地帯の下のあたりに、パンタグラフらしきものがスーッと動いていった。あそこがトラムウェイ? そうか、一段低い場所にあったんだ!
テラス状になった緑地帯と歩道の下は、ループのトラムロータリーになっていた。うーん、乗場はわかったけど……どうやってあそこまで降りたらいいの??

トラムウェイを見下ろす歩道を行ったり来たり。かなりの傾斜なのと荷物が重いのとで、またも汗だく。「もぉぉ! あそこに行きたいだけなのに!」日本語で怒鳴っていると、通りがかりのオバサンが教えてくれた。スロヴァキア語みたいだけど身振り手振りで。どうもありがとう!

教えられた通りに行くと、そこは鉄道駅の裏口だった。つまりトラム乗場は駅の脇からエスカレーターで直結してたんである。このブラチスラヴァの駅には、空港やヨーロッパの鉄道駅に必ずあるピクトグラム(絵の表示)がなかった。スロヴァキア語で「トラム乗場はあっち」の表示なので気がつかなかったよ。

話はそれるが、言葉のわからない国でピクトグラムにはホント助けられる。絵は世界共通言語だ。エスカレーターやエレベーター、トイレや非常口などの、一目でわかるマークの重要性──。グラフィックデザイナーをしている私は、こういうものをデザインする仕事を時々誇りに思う。
話は戻る。
トラム乗場に向かうエスカレーターをがこがこと降りながら、ヒナコお得意の「何かヘンだと思ったのよ」が出た。「普通、駅からすぐ連絡してるはずだもの」
……むっ。普通? 普通って何をもって普通って言うの? 駅の正面出口をまっすぐ出るという行為は、初めて着いた場所で充分「普通」なのではないの? でも、ま、いいか。結果オーライだしね。
結局、両替から切符購入、トラムの乗場探しで乗り込むまで、約1時間を中央駅近辺で使ってしまった。サクサクとは進まないところが、こういう旅での醍醐味でもある。

しっとり落ち着いた小さな首都

1番のトラムに乗って5分ほど走ると、旧市街入口近くまで来る。そのまま旧市街エリアの外側を廻りこんで、ドナウ川沿いの道に出た。見当をつけて降車すると、予約したホテル・ダニューヴ Hotel Danube は停留所の真ん前だった。正確にはホテルの真裏が停留所。

現代的な高級ホテルだった。ロビーに入った途端、びしっとしたビジネススーツの「高級ビジネスマン」たちが談笑していた。レセプションの女性の制服もスチュワーデスみたいなの。壁にずらっと並んだ時計は世界各地の時刻を表示している。勿論「TOKYO」の文字も。これまでの宿にはなかった世界である。えーと、チノパンにGジャンなんだけどな、私。

館内も室内もブルーが多用されて、明るい雰囲気である。室内のデータポートも無線用と通常モデム用とふたつある。超高速インターネットでお部屋がそのままオフィスになります…てのが売りのようである。もう、必要ないんだけど(笑)。
ヒナコを感激させたのは、トイレがバスルームとは別の個室になっていたことであった。彼女の年齢では、私以上に風呂場にトイレがあることの抵抗が強いのだ。
つまり、今回の旅で、一番最先端の設備を備えていたのが、スロヴァキアのホテルであったわけ。

ブラチスラヴァ滞在は24時間こっきりなので、あまりダラダラしないで町に出る。

スロヴァキアが晴れてひとつの主権国家になったのは1993年。長い間、ハプスブルク支配のハンガリー民族、さらにハンガリー支配のスロヴァキア民族という二重構造になっていた。ハンガリー王国独立後もオーストリア=ハプスブルク支配は続き、ようやくの独立後もナチス支配、ソ連の介入による社会主義国家へ…という経過はチェコと同じ。

ホテルを出てすぐ正面は、歩行者専用の細長い広場になっている。広場というより公園みたい。カフェやショップが並び、街路樹が影を落として、クルマがなくて……最初から読んでいる方にはおわかりでしょうが、こういう場所には雀たちがたくさんいるんである!
今さっきホテルを出たばかりだが、早速そのへんのベンチに腰掛けて、バッグからパンをいそいそと取り出す。観光客の多いチェスキー・クルムロフでは、雀と遊べなかったんだもの。

スロヴァキアの雀ーず。人が素朴だと雀も素朴なのか、踏んでしまいそうなほど足元まで来る。このまま連れて帰りたいくらい可愛い

雀ーずがたくさん棲息していた広場。広場というより、道路か公園の雰囲気

存分に雀たちと遊んだ後、歩いて5〜6分で中心部のフラヴネー広場 Hlavné naám に出た。
中央に噴水があり、土産物屋台やカフェが並んだ石畳の綺麗な広場。広場に面した塔のある建物が旧市庁舎 Stará radnica 。「Múzeum」の表示があるので、何かの博物館になっているんだろう。旧市庁舎はバロックとゴシックの様式がごちゃ混ぜになっている。フラヴネー広場側からの屋根は赤茶色だったが、裏側の屋根は緑色だった。屋根の色ひとつで全然印象が違うものなのねー。

旧市街エリアはホントに狭い範囲だ。フラヴネー広場を基点にどっちの方向へ歩いても10分か15分で旧市街の外に出てしまう。これならトラムの24時間券なんて必要なかったし、地図すら必要ないくらいだわ。
さまざまなカフェやショップが色とりどりな狭い通りを抜けると、唯一残った城門のミハエル門 Michalská brána が見えてくる。かつて旧市街を取り巻いていた城壁も、少し残っている。その向こうはもう、大きな「四角い」建物の並ぶ新市街。大通りを車がガンガン行き交っている。

首都の町の中心広場としてはそれほど広いわけではないけれど、美しく整ったフラヴネー広場

旧市庁舎の表情は、表側と裏側でこんなに違う。裏側は屋根のモザイクがキュート

ミハエル門に続く通りには洒落たカフェのテラスがズラリと軒を連ねている

ブラチスラヴァの旧市街は、小さいけれど、しっとり落ち着いた綺麗な町だ。漂っている空気も、何となく長閑。ベンチや樹の下で長々と昼寝している人もいる。凶悪犯罪などの匂いもあまりしない。いずれは安全面に関しても「西側化」していくんだろうか。この国には近隣のチェコやハンガリーほど観光の目玉は多くないので、観光客が押し寄せると同時についてくる「良からぬ人々」の流入はまだまだ少ないようだ。
社会主義から民主化に移行してそれが落ち着いた頃合。若い人たちには何の問題もなく英語が通じる。でもまだ治安はさして悪くなく、物価はぐぐっと安い現在のスロヴァキアが、一番旅行しやすい時期なのかもしれないなぁ。

町を歩く若い女性も皆美人揃い。チェコ人よりもスロヴァキア人の方が、スラヴの血は濃いのだから当然か。本当に美人ばかりだ。チェコの美人たちもとても感じがよかったが、こちらの美人たちもツンツンした態度は全然ない。すごく綺麗なのに純朴な感じ。彼女たちに比べたら、ツンツンしたパリジェンヌなんか「あんた、その程度でずいぶんエラソーな態度じゃんよ」とか言いたくなるね。
あー、でも、チェコと同じく、買物袋をぶら下げて歩いているオバサンたちは超重量級である。人形のように綺麗な美人たちも、末路はやっぱりああなっちゃうんだろうか。

スロヴァキアの料理とワインと音楽と

今日は10時から2時半まで列車移動し、ホテルに着いたのは4時近かったので、お昼はおろかおやつすら食べていない。そろそろ6時半を回ったところだけど、もうお腹ぺこぺこ。
気候の気持ちいい日なので、路上にズラっと並んだカフェやレストランにはたくさん人々がいるのだが、見回したところビールやお茶の人たちばかりで、食事らしきものをしている人は誰もいない。
うーん、この国では夕食の始まり時間はドイツやチェコほど早くなさそうだな。

かつてのヒナコは、こと食事時間に関して「郷に入っては郷に従え」ではなかった。スペインやイタリアなんて夜の9時10時がディナータイムである。レストランなんて8時でも開いてなかったりする。彼女は老人の常で、普段5時半頃夕食を摂るものだから、まるで私のせいみたいに文句を言ってたもんだ。最近は少し適応してきたようだけどね。

どうももう少し時間をつぶした方が良さそう。でも、博物館の類いの入場時間はもう終わってるし、散策してても狭いエリアなので同じ場所ばかりウロウロすることになる。で、ヒナコの常で、またも不機嫌になってきた。だけど私は、食事時間みたいなものは、その国の「普通」に合わせた方がいいと思うのだ。日本みたいに24時間どんな食事でも出来る国は稀なんだから。
同じ場所の行ったり来たりがイヤなら、他の人たちと同じようにカフェでお茶して時間つぶそうか? 私の提案は「どうせ食事するのに何でお茶飲むのよ!」と却下される。…うーん、しょうがないなあ。何かまだ微妙に早いような気がするんだけどなあ。

ゴネるヒナコを説得して、7時を10分くらい過ぎるまで広場のベンチで待った。
目星をつけていた古い修道院地下のワインレストランに入る。看板は出ていたし、店員の男性は奥の席に案内してくれたので、大丈夫みたいだけど……。中は暗い。広い店内の客は誰もいない。が、私たちが入ったので灯りがついた。生演奏するらしき人たちが音合わせをしている。やー……な予感がするけど、もう入っちゃったんだから仕方ない。

ドイツとチェコでは、美味しかったのでビール三昧だったけど、ブドウ栽培の盛んなスロヴァキアでは、やっぱりワインでしょ! スロヴァキアの銘柄なんてわかんないから、お店の人におすすめの赤を選んでもらった。甘味や酸味は少なくて結構渋みもある。あんまり経験したことのない味だ…なかなか美味しいんじゃない?スロヴァキアワイン。

満足してメニューのチョイスに入る。一皿の量がわからないので(周りの客の様子も伺えないし)、とりあえず前菜カテゴリからハムロールとソーセージをオーダー。
このあたりで、やー…な予感が的中していたことを知る。いや、ワインも料理も美味しいんである。中世風の内装だって、最近東京にもこんな雰囲気の店は増えてきたが、歴史の風格が違って素敵だ。そしてアコーディオンとヴァイオリンの生演奏。……店の選択は、ばっちりなんである。でも時間の選択は全然ばっちりじゃなかった。
他に客がひとりもいないもんだから、私たちは生演奏の集中砲火を受けることになるのだ。

お店の人に選んでもらったスロヴァキアワイン。割と軽いのだけど、かなり渋みも強い

しばらく専属演奏家のように色々弾いてくれたおじさんたち。最後にハンガリー舞曲をリクエストした。スラヴ舞曲の方がよかったかな…?

私は演奏する彼等に背中を向けた位置なので、まだいい。ヒナコは真正面である。で、彼等は「コンバンワ〜」「メシアガレ〜」「オイシイ デスカァ」「コノ キョク、スキ デスカァ」などと演奏の合間にぽつりぽつりと言う。そのたびにヒナコはフォークを置いて、うんうんうんとうなずいている。ご苦労さま。
彼等は、アジアのどっかの国みたいに、日本人と見てとるなり頼んでもいない「上を向いて歩こう」や「昂」を押し付けがましく弾いてチップをもらうまで側から離れない…などということはしない。ただ、他に相手がいないから、私たち専属みたいになっているだけなんである。
この生演奏集中砲火は、8時近くになって他の客が何組か入ってくるまで、40分以上続いた。私はBGMだと割り切っていたが、ヒナコは気疲れでヘトヘト。

砂糖を入れない生クリームにホースラディッシュを混ぜてハムで巻いたもの。これは美味しい! チェコ&スロヴァキアではぜひこの前菜を断然おすすめ

このソーセージは皮がパリっとして、中の肉も思い切り荒挽きで、めちゃくちゃ美味しかった。辛子も日本のものに近く、ツンと鼻に抜ける辛さで嬉しい

ハルシュキ。おろしじゃがいもと小麦粉を練って茹でたもの。チーズがけのものを頼むんだった…これは味が全然しない

コーンサラダはマヨネーズのかかったシンプルなものだった

メインはチキンの胸肉・チーズとハムのはさみ焼き。骨のない胸肉が3枚もあって、すごいボリュームなんだけど、炭火で焼いただけなのでくどくなく、全部平らげてしまった。しかし、つけ合わせのぶわぶわデカきゅうりは何とかならんもんかね…カリカリの細い日本のきゅうりが恋しい

ハムロールとソーセージだけでは少ないので、追加した料理をつつきながら彼女に言ってやった。
「…だから言ったでしょ。有象無象の中に平均的に埋もれてるのがいいんだよって」
「…うん。すごくよくわかった。音楽聞きながら食事するのは好きなんだけど。何かやっと味がしてきた気がする」
食後のコーヒーまでもらって合計990コルナ。ワインフルボトル開けて¥3000ちょっとってのは安いなあ。

夜のフラヴネー広場も綺麗

レストランを出てから、アイスクリームを買った。シングルのコーンで¥60〜70程度だ。舐めながらぶらぶら歩きでホテルに戻る。せっかくなので、夜のドナウ川沿いの遊歩道も散策。川を渡る風がワインの酔いに心地よい、涼しさの気持ちいい夜。

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