Le moineau 番外編

ハプスブルク家640年の栄華を辿る

ウィーン観光最後の朝。
そういえば、ウィーンのホテルでは朝ご飯の写真を撮っていなかった。さほど種類豊富な内容じゃなかったからかな…? このホテルは小さくて古いが、個人旅には抜群のロケーションの至便さと、スタッフの感じの良さとで、私の中ではかなり「ポイント高い」宿である。3日の滞在ではやはり到底見ることの出来なかったウィーン…おそらくまた何日か立ち寄る機会もあるだろう。その時には常宿にしたいホテルである。

そういうわけで、朝食堂のスタッフも感じがいい人ばかりだ。3日間、毎朝食事をサーブしてくれたのは2人の女性。すらっとした金髪美人の若いコと、多分アジアの血が混ざった感じの小柄な中年女性。
この小柄な女性はキビキビてきぱき動いて、ホントに気持ちいい働きぶり。
若い女のコの方は、大変な美人なのだが、ツンとしていなくむしろおっとり…いや少しぽーっとしている。動作や受け答えもゆっくりしていて、でも愚鈍な印象はしない。ぼーっとした感じが可愛い、というか…。テーブルの片付けでも、グラスをひとつ取り忘れたままクロスをはがしてしまって、絨毯を水浸しにしてしまったり。でも、キビキビ女性の方は、そんな彼女にイライラもせず「あらあら大変! 濡れなかった?」みたいにてきぱき手伝ったりしている。なんか、仲のいい親子か姉妹みたいなのだ。仲良く楽しそうに働いている彼女たちを見ながら食事を取るのは、朝から悪い気分はしない。

ウィーン市内の交通機関・番外編のフィアカー(観光馬車)。交通法規的には自動車と同じ扱いのようで、一般道でも後続のクルマの前を堂々と走っている。4人まで乗れるが料金は高い

今日は、昨日王室礼拝堂にしか入らなかった王宮 Hofburg に再び行く。列車は16時にウィーン西駅発だから、ちょっと忙しいけど。
ホテルのある路地から王宮方向に進むと、まずアウグスティーナ教会 Augustinekirche の塔が目に飛び込んでくる。宮廷教会として、歴代皇帝の結婚式の執り行われた教会。ガイドブックの写真で見た白く清楚な印象の内部を見学したかったが、開くのは10時から。後で来ようね。(とか言っていて忘れてしまった。残念だ)

路地からのぞくアウグスティーナ教会の塔。うっかり内部を見損ねた!

ミヒャエル広場からの王宮への入口。

ハプスブルク家の絶大な栄華の痕跡はウィーン中あちこちで見まくったが、あのシェーンブルン宮殿だって夏用の離宮なんである。やっぱり「本宅」である王宮の内部も見ておきたい。まあ、絵というものは東京に住んでいれば、入れ替わり立ち替わり大抵の名画がやって来る。壁画や天井画、よほどの大作でない限り。だけど宮殿内部のインテリアや調度品は現地で見るしかないのだから…。シェーンブルン宮殿の時に買ったコンビチケットで入れる。

まずは銀器コレクション Silberkammer から。ハプスブルク家の食器を集めた博物館だ。私は熱烈な食器フリークではないけれど、こういう豪華な食器群を見るのは、やっぱり楽しい。
入ってすぐは、お菓子の道具を集めた部屋。ケーキ作りをする人なら、興味津々なのでは? いったい何に使うんだろう?みたいな珍しい抜き型などがいっぱい。以下、きらびやかな銀食器や金細工の食器のテーブルセット──部屋全体がピカピカ光り輝いて眩しい──ため息の出そうな繊細な絵付きの磁器などが、これでもかこれでもかと続く。
料理を盛った皿を乗せる受け皿は、「芸術的絵画」といっても差し支えないほどの綺麗さだ。神話シリーズ、草花シリーズなど、全部手描き1点もの。草花シリーズの中に「カメリア・ジャポニカ」という絵があったが、これはどう見ても日本椿ではない。

銀器コレクションの最後の部屋は、ハプスブルク家がコレクションした東洋の陶磁器がずらりと並んでいた。古伊万里の壺や大皿なども見事なものがたくさんある。華やかな伊万里は、この時代の欧州貴族たちにはとても人気があったのだろう。じっくり見入っている人たちに「これはね、私たちの国のものなんだよ。綺麗でしょう?」と、にわかナショナリストとなって自慢したい気持ち。

次のエリアに移る前に、王宮内のカフェでひと休み。
メニューのデザインが同じだったので、一昨日のシェーンブルン宮殿のレストランと、昨日のカフェ・モーツァルト、この王宮内カフェが全部同じ経営の店だと気づいた。ガラスケース内のケーキのラインナップも、カフェ・モーツァルトと同じだった。

アイスカフェ。アイスコーヒー部分はきりきりに冷たいワケではないが、ぬるくないだけマシ。アイスクリームは美味しかったが、こんなに生クリームはいらない。ビールのように見えるが、左はアップルジュース。こっちは文句なく美味しい

ゆっくり休憩しながら人物ウォッチングも欠かさない。
私たちのテーブル担当のウェイターは、長身のとても痩せた、上品な「おじさま」よりは「おじいさま」くらいの年配の男性だった。ヨーロッパのカフェやレストランでは、結構年配の人がホールをキビキビ歩いているよねー、という話題になる。自分も学生時代にやったクチだが、日本のサービス業は、若いアルバイトが質を低下させたんだと思う。日本においてサービス業のプロっていったら、一握りの高級ホテルマンか、老舗旅館や料亭の女将くらいしかいないのではないか?
で、カフェやレストランで働く人って、年配でもデブっていないよねーという話にもなる。少なくとも太鼓腹体型は少ない。やっぱりさー、運動量が違うんだよ、歳とってても皆機敏だしさー。ウィーンくんだりまで来て、私ら親子して何を話しているんだか(笑)。

カフェを出て、皇帝居室 Kaiserappartments へと進む。ハプスブルク家・事実上最後の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世と、美貌の皇妃エリーザベト(シシィ)の居室が22室だけ公開されている。ちなみに王宮は全2600室。成婚150年を記念して去年、そのうち6室がシシィ・ミュージアム Sisi Museum に作り変えられている。
シシィの愛用した道具の数々や、衣装、専用列車の実物大レプリカなどなど。彼女の肖像画の前には、絵と同じ衣装やアクセサリーを等身大の人形に着せて展示してある。私たち親子も中年ムスメとバアさんとはいえ女性だから、綺麗な装身具や豪華なドレスの現物を見れば、やっぱりウットリしてしまう。
ドレスを見る限りでは、ウェストが50cmそこそこというのは本当だったようだ。等身大人形の横の壁は鏡貼りになっているので、映る己の体型を見ると思わず目をそむけてしまうのだが…。あの鏡はやめてくれぇ!

それにしてもまあ、大変美しい人である。無機質な人形のようではなく、親しみやすい美女だ。フランツ・ヨーゼフ1世が生涯彼女を愛してやまなかったのもわかる。でも彼女は皇帝の愛情がわからなかったのよね……宮廷の格式に馴染めず、大公妃との確執(嫁姑問題はどこでも深刻?)、子供だけを連れて旅ばかりに出る日々、最後は旅の途中スイスで暗殺され…。エリーザベトの物語については、文献も映画もたくさんあるから、これ以上は割愛。

シシィ・ミュージアムのパンフレット。エリーザベト妃は本当に綺麗な方です

お土産用のCDは綺麗な丸い缶に入っている。モーツァルト・コレクションやワルツ・コレクション、カラヤン・コレクションなど手軽に楽しめそう。少年合唱団のものを買った。全18曲入り12.80ユーロはお手頃価格。ケーキレシピの絵葉書も可愛い

シシィ・ミュージアムからは、皇帝居室へと続く。サロンやベッドルーム、バスルーム。自身の美を保つことに懸命だったシシィの専用トレーニングルームなどは興味深い。

昨日のデーメルの店内でも、迷惑な子供を野放しにする若い親がいたが、ここにもいた。4歳くらいの女のコを連れた夫婦。こんな展示、子供には面白くなくて飽きるのは当然である。最初おとなしくしていた子供も途中でグズって泣き声をあげ始めた。またその声がデカいんである。脳天にガンガン響く。
それでも父親の方は、子供をあやしてなだめようとするのだが。母親はというと、子供が大声をあげ始めるとスッと離れて「どこの子かしら?」みたいな態度で知らんぷり。父親がなだめておとなしくなると仲良し親子連れに戻るのだが、グズり出すとまた他人のふりをしている。えー、何なのよ、あんたは!

市内を駆け足一巡り

コンビチケットではまだ王宮家具調度品博物館 Kaiserliches Hofmobiliendepot にも入場出来るのだが、残念なことに月曜休館だった。王宮からL字形に続く新王宮内にも、ヨーロッパでを群を抜くという鎧のコレクションの中世武器博物館 Hofjagd und Rüstkammer 、モーツァルトやベートーヴェンやシューマンなどの楽器を所蔵した古楽器博物館 Sammlung alter Musikinstrumente などなど、興味をそそられる場所があるのだが、いかんせん時間が足りない。

王室のスペイン乗馬学校 Spanische Reitschule での馬術の集団演技も観たかった。ワルツに合わせてステップを踏む馬たち…。これも時間と曜日が合わなくて断念。昨日の王室礼拝堂での日曜ミサとどっちにするか悩みまくったんである。

エジプト美術と古代ギリシャをモチーフにしたという、クリムトの壁画がエントランスにある美術史博物館 Kunsthistorisches Museum だって行けなかった。遺恨残しまくりのウィーン探訪。いいや、また来よう。街の装飾が綺麗なクリスマスシーズン、オペラやコンサートを愉しみに再訪するのもいいな…。いつになるかわからないけど。

列車の時間まで、町中を散策して歩こう。交通フリーパスだってあるしね。

王宮庭園はのんびり散策には気持ちよさそう

緑豊かな王宮庭園 Burggarten にはト音記号の形の花壇があり、モーツァルト像が立つ。

スーパーマーケットでばらまき土産用のお菓子も買う。
ザッハ・ホテルの売店でザッハ・トルテも買う。大中小のサイズがあって、常温で2〜3週間保存可能だから、お土産にも出来るのだ。結構いい値段だから、ばらまき用にはならないけれど。
しかし、ここの店員は態度が悪かった。
「売ってやる」みたいな態度。こちらがショーケースの前に立っても、呼ばなければ接客に来ない。接客中なのを邪魔したわけではない。店員同士お喋りしているくせに。
「カード使える?」の問いにも無言で頷くだけ。
レシートと紙袋をどん!と目の前に置いて、「サンキュー」も「ダンケ」も言わず、さっさと引っ込んでしまう。ちゃんとした店であれば、客がレシートやお釣などをしまう間は待っていて、商品を手渡して「ありがとうございました」ってのが正しい接客でしょう? 次に他の客が待ってるわけでもないのによ? たとえ待っていても、相手をした客には商品手渡して見送るまでが礼儀である。ましてここはスーパーマーケットではない、老舗高級ホテルの売店なんだから!

ザッハ・トルテをお土産に渡した方々は、とても喜んでくれたので、それは救いだが、買う時はまったくもって不愉快だった。隣のカフェも相変わらずごった返していたし、これでは優雅なケーキタイムは満喫出来まい。声を大にして言いたい。ザッハ・トルテを食べる時はレストランの方に行きましょう! そちらの接客は一流ホテルのものだから。

バラまき土産のお菓子たち。ザッハ・トルテだけはエラそうなパッケージ。ちゃんと木箱に入っている

ウィーンで2番目に古いペーター教会 Peterskirche は、外部よりも内部必見。内陣の天井画は騙し絵になっていて、実際よりもずっと高く見えて面白い。バロック様式の祭壇も綺麗。

アム・ホーフ(宮廷前広場)Am Hof は、てっぺんにマリア像のある柱を取り囲んで歴史的な建造物が並ぶ趣きある広場。他の観光スポットに通り抜けられる場所ではないので、あまり観光客でザワザワしていない。なので、路上駐車のクルマを意図的に目に入れないようにすれば、往時の雰囲気がそのまま味わえる。

さあ、どんどんタイムトライアル状態になってきた。トラムや地下鉄をちょこちょこ乗って、忙しくピンポイント観光。これも3日間さんざんうろついて、いろんな位置関係が身体に入っているせいで出来ること。フリーパスの元なんて完全にとっている。

絵葉書からスキャンしたアムホーフ広場。人々の服装が違うだけで、町並は今も同じである

ペーター教会の見事な祭壇

市庁舎の対面にあるブルク劇場。階段上の天井画は若きクリムトの作品らしい

尖塔の美しい市庁舎

市庁舎 Rathaus は、5本の尖塔な見事なネオ・ゴシック建築。彼女の琴線のどこに触れるのかはわからないが、ヒナコはゴシック様式の建物の前では必ずウットリする。
「ゴシック様式の建物が好きなんだねー」と言うと
「そんな難しいことわかんない。こういう尖ったのが好きなの!」
だから、こういう尖ったのがゴシック建築なんだってば。
市庁舎の前は広場になっていて、両側には遊歩道の巡らされた公園もあるのだが、そこを散策する時間はない。

道路をはさんで対面には、ネオ・バロック建築のブルク劇場 Burgtheater 。上演されるのはドイツ語の劇ばかりというから、内部は予約制の不定期ガイドツアーでしか見られないだろう。イタリアのタオルミーナの劇場がモチーフだそうだが、私はシチリアはまだ未訪なのでわからない。

さあ、大忙し。最後にカールス教会 Karlskirche の壮麗な内部を見たい。近くは何度か通っているのだが、夕方だったり朝だったり昼休みだったりして、中に入れなかったの。市庁舎前の停留所からトラムに乗る。しかし、私は車窓の景色を勘違いして覚えていて、降りるべき停留所を通り過ぎてしまった。慌てて乗り換えたら、路線を間違えてしまった。でもって、戻るトラムがなかなか来なかったりもする。
無駄に大回りしてカールス広場までやって来たが、もう時間切れ。急いで見られないこともないけれど、列車の時間までもうあまりない。ホテルで荷物をピックアップしなくてならないし、まだ切符も買っていないのだ。

仕方ない、諦めよう。が、アセるとロクなことはないもんである。ここからホテルまでは地下鉄1本なのに、さんざん乗り降りした駅なのに、反対方向に飛び乗ってしまった。次で乗り換えると、よりによってその駅は、逆方向のホームは階段を使わなくてはならない駅だった。ああ、ヒナコの足が遅い! 戻る電車は行ってしまう。

カールスプラッツの旧駅舎越しに望むカールス教会。ねじり棒みたいな柱が印象的。内部まで辿り着けなかった…

乗る予定の列車は16:00ちょうどのウィーン西駅発。ブラチスラヴァからの列車は南駅に着いたので、西駅はまだ行ったことがない。ホテルで荷物をピックアップした時はすでに3時40分だった。
スーツケースと出張用ショルダーバッグに加えて、さっきお菓子類をどっさり買った紙袋や、観光時に持ち歩いた小さなバッグがある。移動時に荷物の個数があるのはよくないので、まとめたいのだがそんな時間はない。ヒナコに持たせては急げないので、全部私が持つ。……すごく持ちにくい。

ここから西駅までは直通の地下鉄で5駅。毎日使ったので乗場はわかっているが、今度は絶対間違えられない。西駅での国鉄の連絡が不安だが、ウィーンの地下鉄の表示はとても見やすいので多分大丈夫だろうと踏む。電車の中でも足踏みしたい気持ちだが、私がアセるとヒナコはそれ見たことかとばかりに文句を言うのだ。
「大丈夫だから。大丈夫だからね」と言い聞かせる。事実ザルツブルク行きの列車はまだ何本かあるんだから。16時のに乗れば到着後の都合がいいだけに過ぎない。

連絡表示はとてもわかりやすかった。切符売場の表示も。売場に行列があったらアウトだが……空いていた! あーよかったぁ!!
ウィーン〜ザルツブルクの料金は30.85ユーロ。日本の特急ほどバカ高ではないが、チェコやスロヴァキアに比べれば倍くらいか。

ザルツブルク行きの列車は混んでいた。
2席並んだシートに座って、バラバラの荷物をまとめていると、ひとりの男性が来た。彼はその席の予約切符を持っていた。えッ!と思って見ると、シートナンバーの横に予約表示の紙が入れてあった。日本のように指定席車両があるわけではないのだ。どっこも指定席になってないのに、どうしてここひとつだけ予約してあるのよぉ。バラしかけた荷物を持ってわらわらと移動する。気をつけないとこういう時に大事なものを無くしたりするのだ。注意注意。

ようやく並びの空席を見つけることが出来た。急がされたヒナコはブツブツ言っているが、いいじゃん、間に合ったんだからさぁ…。ザルツブルクまでは3時間、少し昼寝でもしてなよ。今日はケーキ食べそびれちゃったね。

どこの国でも今はそうだが、携帯電話の着信音は車内でもあちこちで鳴っている。
そういえばチェコでは、携帯の着メロは皆同じだった。機種の関係かね? オーストリアでは、日本と同じく着メロの種類はバラエティに富んでいる。若いコたちが一心にメールを打っているのも同じ光景。

「塩の城」という名のザルツブルク

定刻ちょうどの18:57、ザルツブルク中央駅に到着。観光インフォメーションは駅のホームにあり、20:30まで開いている。これはポイント高し。
早速、市街地の地図をもらい、ザルツブルクカードなるものも購入。ウィーンカードは交通フリーパスと観光スポット割引だったが、こちらはほとんどのスポットが無料になる。1日〜3日用が選べるが、48時間用を買った。28ユーロ。

予約してあるホテルはホテル・シュテーグルブロイ Best Western Hotel Stieglbräu 。インフォメーションで道も教えてくれた。荷物とヒナコつきで歩いて12〜13分。ヒナコなしなら8分てとこか(笑)。格式と伝統ある宿ではないが、チェーンのホテルらしく清潔で機能的ではある。高級ではないが庶民的なレストランがそこそこ人気だというので、朝ご飯は期待出来るかも。

今日はウィーンでも薄寒く、時折雨がパラついたりする天気だった。今回の訪問地の中で、このザルツブルクが、もともと一番気温も低く、天候も不安定な土地。何だか今は、欧州中に寒波が来て低気圧真只中にあるようなのに、よりによって……一番晴天に恵まれにくい場所に来ちゃうとは! 部屋の窓から見上げる空は、どんより重く、気温も薄寒いを通り越してキッパリ寒い。
まだ日は暮れていないけど、もう7時半回ってるから、夕食に行かなくちゃ。今日はおやつもお昼も抜きだから、お腹ペコペコだよ。

ザルツブルクカードがあるので、もう市内のバスには乗れるのだが、到着したばかりなので、散策がてら歩いて旧市街に向かう。フロントの女性が教えてくれた景色のいい道を通って行こう。
アメリカ人と日本人にとって、この町の何が有名って、あの映画『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台であるということだろう。ロケ地を巡るツアーは大人気だという。昔観た覚えがあるけれど、旅行前に改めてビデオを借りた。やはり名作である。ストーリーや音楽の素晴らしさは勿論のこと、ザルツブルクや近郊のザルツカンマーグートの景色がとても美しかった。

フロントで教わった通り、ミラベル庭園 Mirabellgarten 内を通り抜ける。空が暗いのが残念だが、花壇や樹木が整えられた美しい庭園。真正面の高い丘の上から、ホーエンザルツブルク城の厳めしい城塞がこちらを見下ろしている。

ミラベル宮殿の庭園。マリアと子供たちがこの庭で「ドレミの歌」を唄ったシーンは超有名。真正面にホーエンザルツブルク城が見える

庭園を抜け、ザルツァッハ川にかかる歩行者専用の橋を渡れば、向こう岸は旧市街。
ドイツ・ドレスデンでのエルベ川はそうでもなかったが、チェコでのヴルタヴァ川、ブラチスラヴァでのドナウ川は、歌詞で言うほど青く美しくはなかった。むしろ茶色だった。でも、このザルツァッハ川はかすかに白緑色をしている。削られた氷河が溶け込むスイスの川ほど乳白色ではないが、ここがアルプスの山にぐっと近い土地であることは感じられる色。

それにしても寒いよお。橋の上なんぞに立つとなおさらだ。Gジャンの下にシャツを重ね着してきたのだが、まだ寒い。とうとう雨も降ってきた。うわーん。
旧市街をウロウロ歩くが、ザルツブルクはレストランの数が少ない。昨日までのウィーンと比較すると、やっぱり田舎都市なんだ……。夕食時間も比較的早めみたい。結構のんびり庭園散策をしてしまったので、もう9時を回っているし。冷たい雨の中を探し回ると、またヒナコが「もうご飯いらないモード」になってしまう。
よさそうなレストランをやっと見つけたら、団体客がいるからと断られてしまった。ちなみに日本のツアーだった。店の選択肢はない。入れてくれればそれでいいって気分。ようやく見つけた。OKだったが、店内は食後の談笑をしている客がほとんど。ペースあげて食事しないとね。

ビールの銘柄が豊富な店だったので、ワインでなくビールにした

お味はというと、不味くはないがすご〜く美味しいというのでもなかった。今日はビールをお代りする余裕はなし。
ポテトスープはカレー風味。残ったカレーを夜食のスープにしたような、なんか安心出来る味だが、レストランでわざわざ頼むまでもないような気もちょっとする。
ソーセージには山のようにフライドポテトが付け合わされていたが、メニューのカテゴリでは温かい前菜にくくられていたんである。肝心のソーセージは焼き過ぎで、皮がカチカチ、中身の脂も落ち過ぎでいまイチ。
鶏の胸肉のフライは美味しかった。でも、胸肉2枚は多いよ……。こっちのじゃがいもは茹でただけなのでサッパリと完食出来た。コールスローの小鉢もおまけについてくる。甘酸っぱいドレッシングの味は相変わらず、ヒナコには合わない。

ザルツブルク風ポテトスープ。何故かカレー味だった。残ったカレーをお芋が溶けるまで煮込んでブイヨンで伸ばしたような味。すごく美味しいというほどでもないが、久し振りのカレー風味にちょっとホッとした

チキンフライ。これは手羽でももも肉でもなくて胸肉が2枚なのだ。骨はいっさいないので肉ばかり。サクサク&ジューシーで美味しいが、すごいボリューム!

ソーセージは固くてあまり美味しくなかった。なんとか食べたが、こんなにたくさんのフライドポテトまではとても無理。今回の旅で初めて残してしまった

様子を伺ってみて大丈夫そうだったので、食後のコーヒーだけはもらった。合計で26.10ユーロ。ウィーンに比べれば、そしてこのボリュームを考えれば大分安い。店内の客はもう私たちともう1組みだけだった。ウェイターは奥の席で伝票の整理を始めている。ごめんなさいね、遅くまで。

外の雨は降り続いている。帰りはバスでホテルまで戻った。旧市街側から来ると、降車場所がホテルの真ん前なのが助かった。
しかしまあ、とんでもなく寒い。明日は着るものを考えなくちゃならないな。せめて雨があがるといいんだけど…。

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