疑惑〜確定診断編 >>>>

「まさか自分が」と誰もが思っている

発端は検診での再検査

人生初のMRI検査だ!

組織採って調べてみませんか?

またも結果は持ち越しなのか……

Y先生との出会い

もう一度エコーとMRIをやる

浸潤性小葉癌かも?

痛い痛い痛い針生検

確定診断の日

「いい癌でよかったね」

知識武装して恐怖に立ち向かう

手術日と術式の決定

形成外科を初受診

どんどん気持ちが滅入ってくる

先生におまかせいたします!


摘出手術・治療編 >>>>


乳房再建編 >>>>


乳頭乳輪再建・経過観察編 >>>>


ついにサバイバー編 >>>>


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確定診断の日

ついに確定診断がおりた。2011年7月12日、この日付を私は多分一生忘れない。

病理部に提出した3本の組織すべてから癌細胞が見つかった。Y先生はまっすぐ私の目を見てそれを告げた。それはTVで見るようにドラマチックなものではなく、事務的に過ぎるということもなかった。
3ヶ月近くに及ぶ宙ぶらりん状態にいいかげん疲弊していた私は、不思議なことに癌であったという事実に逆にホッとしたのである。ようやく敵の姿が見え、立ち向かって行く対象が現れたわけで、だからその気持ちをそのまま先生に伝えた。先生は「ああ、そういうものかもしれないね」とゆっくりと頷いた。

これまで2回の診察では少し素っ気ないように感じたY先生だったが、今日はとても親身に労るように丁寧に説明してくれた。病理レポートは基本的に英文だ。単語のひとつひとつにアンダーラインを引きながら下に和文を書き込んでくれる。
・乳管癌。
・おそらく非浸潤癌。
・ホルモン受容体エストロゲン90%、プロゲストロン70〜80%以上の強陽性。
・Her2は浸潤部がないのでわからないけど+2相当?
・Ki67(癌細胞の増殖の強さを示す数値。14%が良性と悪性の境目)が1〜5%

乳腺の状態を描いたカラー図版にも、私の癌の種類や位置や広がり方などをひとつひとつ書き込み、どういう治療をしていくかなど、じっくり話をしてくれた。待合室にはまだまだ患者さんがたくさん待っているというのに……

MRI画像で見る限りでは、私の癌は、乳頭直下から放射状に広がる乳管の中を4cm四方以上の範囲に這うように進展していた。右乳房が左に比べてこころもち小さく固いのも、左右の乳頭の色が違うのも、右乳頭が内側から引っぱられてよじれたようになっているのも、みんな癌のせいだと言う。でも、その左右差は言われて初めてそう思う程度の違いでしかない。Y先生は、穴の開くほど凝視していた視診と念入りな触診でこのかすかな違いや変形に気づいていたということだろうか。

「これは決して早期というわけではないよ」Y先生は言った。癌細胞が最初に発生したのは、10年くらい前か、もしかしたらそれ以上前かもしれないと。
ちょうど10年前の2001年1月、私は17年間勤めた会社を辞めて独立開業した。その前後数年は、公私ともにストレスフルなことが重なっていた。もしかすると、あの頃に私の乳腺の細胞はひっそりと癌化したのかもしれない、きっとそうだ。
私の癌はとてもおとなしく進行の遅いタイプで、毎日見ていた私自身が気づかないうちにゆっくりゆっくりと広がっていたのだ。これだけ広範囲なのにステージは0期。乳管から外へは浸潤していないために明らかに触知できるしこりはない。本当によくぞ見つけてくれた!という感じだった。

「ああ、前の針生検の組織ね、もう一回うちの病理で見たけど、癌は見つからなかった」
やっぱりM先生が刺した針は癌細胞のある組織には命中しなかったのだ(癌がまばらなので針が逸れたということか)。刺した感触が柔らかいので違うのではないかというM先生のカンもまた間違っていなかった。どうしてもこだわってこだわって追加の検査を勧めてくれ、“見つけてくれる人”に紹介してくれた。M先生には感謝してもしきれない。

この頃は震災からちょうど4ヶ月目。放射性物質が検出されたのされないの、その数値が信用出来るの出来ないのと、安全を証明しろだなんだと世間は騒いでいる時期だった。
一部だけを抽出して悪いものがあるかないか調べるとき、ひとつでも見つかれば「悪いものがあった証明」は出来る。でも、見つからなかったことは存在しないこととイコールではない。「100%悪いものはない証明」なんてすべてを切り刻んで調べなければ不可能だ、ありえないんだとつくづく実感した。

「でも先生。最初、浸潤性小葉癌かもって仰いましたよね」
初めて聞いた小葉癌という言葉、私はすぐさま調べまくったのだ。乳癌全体の割合としては4〜5%の少数派で、肺や肝臓へ転移するケースも多く、腹腔内に転移することもあり、何ヶ所かに同時に出来たり両乳房に出来たりもする、つまり予後が悪いタイプの癌だった。なので、今日は少しばかり悲壮な覚悟を持って診察にのぞんだのである。
「うん、でも違ったね。あなたの癌は顔つきもおとなしくて穏やかな癌だった」
先生はこともなげに言う。おそらく私よりもっともっと言葉ひとつに振り回されてパニックになる人がいるから、確かなことがわからないうちは断定的なことは口にしなかったのだろう。画像や触診などの間接的所見と組織診の直接的所見とが食い違うと、医師を嘘つき呼ばわりする人もいるし。

「いい癌でよかったね」
Y先生はさらにとんでもないことを言った。にこにこしながら!

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