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1年めの検診を迎える

皮膚パッチテストの一週間

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いよいよ入院

乳房再建のためのデザインを施す

手術まで首を洗って待つのみ

手術──再び辛く長い一夜

なんでこんな手術受けちゃったんだろう……

再建乳房と感動の初対面!

再び苦しむ激痛の夜

入院生活のタイムテーブル

快復停滞の分岐はどこにあるの?

そろそろ退院が視野に入ってきたかな

30日ぶりで外の世界へ

背中の大怪我、続行中

ドレーンを入れての強制排液

「カサブタ剥いじゃおうね」

恐怖の溶解脂肪ダダ漏れ事件

医療従事者と患者との間には温度差がある

傷口が裂けちゃった!

背中の傷に植皮を開始

遺伝性乳癌による予防的乳房切除に思うこと

いっこうに脂肪流出が止まらない

乳癌治療に関するいくつかのニュース

そろそろ心が折れてきた

身体はちゃんと頑張っていたんだね

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そろそろ心が折れてきた

縫合跡が決壊して溶解脂肪がダダ漏れたのは4月4日の夜のこと。それから2ヶ月、じわじわ漏れはまだまだ止まる気配はない。傷の治癒はまだまだ長い道のりではあるけれど、身体は少しずつ日常生活へとリハビリしていかなくちゃならない。長時間の散歩などはだいぶ前からしていたけれど、そろそろ負荷をかけた運動をしていい汗がかきたい……ということで、5月29日からスポーツジム通いを復活させた。まだ上半身ストレッチは無理だし、マシントレーニングなんかも駄目そうだし、エアロビクスなんて論外の外だろうけれど、ウォーキングマシンやエアロバイクならOKだろう。さらにサウナでいい汗が流せるし。
気分的にも体調的にももう少し前から復帰したかったのだけど、シャワー後の傷口ケアが大変すぎて、ジムの更衣室で人目を避けてちゃちゃちゃっと出来るレベルではなかったのだ。なにしろ胸と背中と両方だったものね。とりあえず前だけなら、薬塗ってガーゼ当ててテープで貼ってブラつけて……をシャワーブースの個室の中で完結できるのである。
初日は1時間ほどのウォーキングのみにとどめた。背中がまだ動かしづらいので腕が大きく振れず、腰も固定しなくてちょっと不安定な感じはするけれど、当たり前の日常生活に戻ってこれた気がして嬉しかった。明るい陽性のパワーをもらって、心も晴れ晴れとした。だってスポーツジムって基本的に “元気な人たち” の集まる場所だから。基本的に “どこかしら不具合を抱えている人たち” の集まる病院とは充満している空気がまるで異なる。

6月10日は執刀医S先生の術後初めての診察だった。術後3ヶ月めのGW直前あたりで受ける予定だったけれど、私の場合はちょうどその頃に脂肪漏れまっただ中で全然先が見えなかったものだから。そういうわけで、ダラダラと4ヶ月半が経過してしまったのだ。
「先生〜〜〜、脂肪まだ止まってませーーん!」診察室に入るなり挨拶もそこそこに叫ぶ。
「これって止まるんでしょうか。ぺしゃんこになるまで溶け続ける流れ続けるってこと、ないですよね?」
「アハハ、大丈夫大丈夫。止まらなかった人いないから」S先生の口調は拍子抜けするほど屈託ない。
「でも……もう2ヶ月以上なんですけど」
「そうねえ、半年近く止まらなかった人もいたねえ」
「ええっ、そういう希有な例にはなりたくないんですけど……」
「今まで作った胸が跡形もなく崩れちゃったことって1例しかないから」
「ええええっ、そういうことあったんですか? じゃあ、私が2例目になっちゃうかもしれないじゃないですか!」
「あれはね、患者さんの体質とか既往症とかいろいろあって起きた特殊なケースだから! あなたの場合は大丈夫大丈夫」

そこで、神のお告げのように突然閃いて以来、頭にこびりついて離れない「縫合糸異物認識疑惑」を先生に問うてみたところ、
「もうとっくに糸なんて残ってないよ〜〜」と、アッサリ否定されてしまった。そりゃあ術後4ヶ月半経った今はもう糸だって大半が溶けきってきるだろうけど、漏れ始めたのは2ヶ月ちょいの頃だし、溶けた脂肪が溜まって痛み始めたのは1ヶ月半頃なんだから、その時はまだたくさん残ってたでしょうに──そう思ったけれど、本当の原因を追求したって今さらなので、反論はすべて頭の中だけにして言葉は飲み込んだ。

S先生いわく、脂肪がすべて定着する人は皆無なので、それを見越して若干大きめに作ってあるのだということ。私の場合だって、これだけ溶けてダダ漏れてなおデコルテ部分はいまだにちょっと厚めなので、もう少し小さくなっても全然問題ないのだ。というか、むしろ少し小さくなった方が左右が揃うくらいなのだ。陥没した穴だっていずれはちゃんと盛り上がってくるし、気になるなら「乳頭再建のついでに切ってちょちょっと縫えばOK」だそうだ。
「うん! 大勢に影響なし!」S先生は明るく言い放った。まあ、つまり、あんまり取り合ってはもらえなかった……ってこと。

同じ拡大広背筋皮弁法での再建手術をした人とは15人くらい知り合ったが、ドナーになった背中の皮膚が壊死して皮膚移植した人はそのうちの5〜6人。だいたい3分の1の人には起きてしまうので、少数派側ではあるけれど特段に珍しいトラブルというわけではない。でも脂肪が溶けて外に漏れたのは15人の中で私だけだ。1000例以上も自家組織再建しているS先生から見れば「時々あること」なのだろうけど、割合としては6〜7%以下ってことだ。きっともっと少ないはず。
起きてしまったことは仕方ないとはいえ、いちいちマイノリティ側に入っちゃうとメゲるなあ……。

6月も下旬になり、梅雨に入ってからというもの、背中の傷も胸の傷も痛んでつらい毎日だった。早々と台風4号が来ていたわけだが、一定以下の低気圧がいけないのかな? ピリピリした低周波のような回復痛は常にあるけれど、突然キリキリとくる引きつりは、一瞬「ぐっ!」と歯を食いしばる系の痛みだ。これはまだ古傷になりきってないからなのか、それともこの季節は一生こうなのか。
脇の下や体側部はずっと痺れていて感覚がなかったのだけど、ここも戻りつつあって常にビリビリしている。服の縫い目などが触れると痛気持ち悪い。
溶けた脂肪は相変わらず流れ続けている。いったん量が減りかけたけど、最近はまた増えて痛みも強くなってきている。新しい腫れや炎症は起きていないから悪化はしてないのだろうけど、まだまだ当分続きそう。どうなっちゃうんだろう……? 時間の経過を待つしかないのだろうけど、それにしても先が見えなさすぎる。

7月に入って不快指数もあがってきた。7月8日にはまたT先生の外来予約があるが、やっぱり脂肪は漏れ続けている。でも一時期ほどの量は出ていないし、体液混じりでだいぶ水っぽくなってきているし、何よりも痛みがずいぶん軽減してきた。おそらくそのうち止まるとは思うけど……。
それよりつらいのは、3ヶ月間ずっとヌトヌトベトベトしてた上に汗ばむ季節になったので、傷穴周辺がオムツかぶれのように赤くただれてきたこと。痛痒くて涙目になりそう。

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